ビジネスチャンスはコミュニティにあり!

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※髙野さん(写真中央)の入居するWeWorkアイスバーグにて。この日は、海外のコレクションでも活躍するバルーンブランドEMIJINGUデザイナー神宮エミさん(写真右)とPRの崎間りえさん(写真左)を外部アドバイザーと引き合わせ。日々相談が絶えない。(画像はZ-EN編集部撮影)

ポストコロナ社会では、人々の行動や取り巻く環境が大きく変化したことにより、効率重視の集中から分散、多極化が進み小さな集団が乱立するようになりました。マスマーケティングが機能しなくなるなかで、それぞれの小集団「コミュニティ」で「人」が「何か」と出会う機会を作り、新しいビジネスを生み出すスペシャリスト、CUE代表Opportunity Creatorの髙野一朗さんに、ビジネスにおいてコミュニティが担う役割についてインタビューしました。

分野に囚われない働き方

Z-EN――髙野さんのOpportunity Creatorという肩書は面白いですね。どんなことをなさっているのですか?

髙野一朗氏(以下、髙野氏)――「面白いこと」に重点を置いて、マーケティングコンサルティングやアドバイス業務を行っています。
独立前は、アパレル分野でソリューションやプロジェクトマネージャーなどのCRMを20年やってきました。

独立して6年。
今まで特定の肩書を決めていなかったんですが、知り合いの方がOpportunity Creatorはどうか?と。
いいね!ということで、最近はこの肩書にしています。

――それまで肩書がなかったんですね!どうして肩書を付けようと思われなかったのですか?

髙野氏――自分の肩書をちゃんと言わなくなったことで、分野に囚われずいろいろな相談を持ち掛けられるようになったんです。
肩書…あえて言えば、「株式会社高野一朗」のような感じですかね(笑)

――髙野さんは日々様々な業種業態の方から相談を受けられるそうですね。どのようなきっかけがあったのでしょうか?

髙野氏――専門でやっていたデジタルマーケティング分野は、プラットフォーマー(主にインターネットを通じ第三者にサービスの「場」を提供する企業)であるGoogleやApple社との繋がりが深く、スキルアップのための転職が珍しくないことから、企業の枠を超えた「人」の繋がりがどんどん広がり増えていったんです。
独立3年目には、原宿にあるコワーキングスペース「WeWorkアイスバーグ」のオープニング時に入居したのですが、いつも相談を受けている僕の様子を見ていた他の入居者が興味をもってくれたようで、異なる業種業態の方々から次々に相談が舞い込むようになりました。

「人」と「人」との出会いが新しい価値を生み出す

引用:WeWork Japan HPより

――髙野さんは、会われている方々の写真を集めているそうですね!

髙野氏――はい。
集めているうちに、1年間で1,300枚になってしまいました(笑)
相談を受けては、その相談事をカテゴリー関係なくいろいろな「人」に繋ぎながら、時には自分自身がプロジェクトマネージャーとなって調整役に入りまとめていく。
そんなことを繰り返しているうちに、気づいたらこんなに多くの方々と出会っていたんですね。

――価値観の多様性は言われて久しいですが、コロナ後はさらにその傾向が強まっています。企業の製品やサービス等の開発も既成概念にとらわれず、ユーザーの協力を求めたり、ファンになってもらったりするなど、多様なアプローチで「人」や「コミュニティ」と継続的な関係を築く必要が出てきているようですね。その中で、髙野さんのように業種業態に関係なく横断的に繋いでくれる立場の方は貴重だと思います。「人」と「人」とを繋げる時はどのような想いを持ってやっていらっしゃるのですか。

髙野氏――こんな人を求めている、人を紹介して欲しいという話は日常茶飯事。
紹介できる方は沢山いても、お互いにビジネスマインドが近くないとなかなかうまくいかないと思っています。
僕は結局は人が好きだから、その人の話を聞いて彼らがどのようなマインドを持っているか理解した上で、業界関係なく適していそうな人を引き合わせる。
「どうやってるの?」とよく聞かれるんですが、自分の直感的なものが土台になっているので、その意味での再現性は難しいかもしれません。

――毎日大勢の方と会って話されるのは大変ではないですか?

髙野氏――最近は好きなことしかやらないと決めているんです。
以前、疲れたと発信したら、みんなが会いに来てくれなくなったように感じました。
無理をしても何のプラスにもならないと知り、改めて、自分が何のために「人」を引き合わせているのかを自問したんです。

「人」と「人」とを繋げることでみんなが喜んでくれたら十分意義のあることだから、自分は無理しないと決めて、そうしたら、自然に肩の力が抜けました。
引き合わせる「人」によっては、その場に行かないこともあります(笑)。
逆に、「死ぬか、会うか?!」のような緊迫した気持ちで同席していることもあります。
そのさじ加減が、またよい関係づくりになっているのかもしれません。

人を集める機会を作る

――髙野さんが入居される「WeWork」は日本全体で2万人以上の利用者がいらっしゃるのですね。出会いも多い環境かと思いますが、ビジネスはどのように生まれているのですか?

髙野氏――「WeWork」には立場に関係なく多様な人が集まっています。
入居者は自発的に「部」という名のコミュニティチームを立ち上げて活動しているんですが、僕は「0→1部」(ゼロイチ部)で活動しています。
これは、ビジネスの相談をされたときの「解決しなければならない!」というハードルをより低くし、その時に抱えているビジネスの課題、個人的な悩みなどを誰かが発言したら気軽にみんなで聞き、みんなで解決していこうとする、部活動のような活動です。

テーマと題目だけ決めておき、後はそこに人を集める機会をつくる。
コミュニティメンバーだけでなく、外部の専門家を招集したり、他チームからの飛び入りも歓迎しています。
このような業界や立場の垣根を超えてコミュニケーションをとることこそが問題解決の糸口になり、新しいビジネスを生み出すきっかけになると考えています。

引用:WeWork Japan HPより

――部活動ですか?面白いですね!その中でどのようなビジネスが生み出されているのですか?

髙野氏――今は3社共同でファッションブランドを立ち上げようとしています。
3社の内訳は、他社ブランドの製品を製造するOEMとインフルエンサーマーケティング、そして老舗のマネジメント会社です。
今のファッション業界は、プロダクトベースが減る一方でマーケットインが増える傾向があり、今まではコラボレーションする機会がなかった毛色の違うこの3社が、丁度良くジョインできるタイミングや今後の共生のし方を模索しています。

コミュニティの中で、今熱い企業や「人」がどこにいるのか、その企業や「人」にどのようにリアルでピッチさせればいいのか、小規模なコミュニティだからこそのスピード感とフットワークで繋ぎ、今までにないビジネスが生まれる予感がしています。
コミュニティが人を惹きつけ、新たな仕事・プロジェクトが生まれています。

髙野 一朗
CUE代表(opportunity creator)

投稿者プロフィール
某ファッションセレクト企業に18年勤めたあと、その人脈をいかして、マーケティングコンサルタントやアドバイザーとして活躍中。
川上(企画/開発/製造/卸)から川下(マーケ/小売り/Web&EC/接客/CS)まで業界を横断的サポートする、出会い繋ぎのスペシャリスト。

WeWork日本入居者2万人以上の中からわずか14人だけ選出されるアンバサダーの一人。
日々相談に訪れる人のメンターとして生み出したビジネスの実績は多数。

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