気分一新するときは先ず人心の一新を

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リーダーを支える重職(管理職)の心得を記し、聖徳太子の十七条の憲法になぞらえた「重職心得箇条」。連載コラム第8回目(最終回)は、経営者を支える者の心得の最終章、第17条です。今回は、一般社団法人数理暦学協会の代表理事 山脇史瑞氏が、新制度がスタートするときの重職の役割について考察しています。

人君の初政は、年に春のある如きものなり。
まず人心を一新して発揚歓欣はつようかんきんの所を持たしむべし。
刑賞にても明白なるべし。
財帑ざいど窮迫の処より、徒に剥落厳沍はくらくげんごの令のみにては、
始終行立ゆきたたぬ事となるべし。
此手心にて取扱ありたきものなり。

(重職心得箇条 第17条 佐藤一斎)


重職心得箇条とは、幕末の儒学者である佐藤一斎が、自藩の重役たちに向け、藩の重職の心構えなどについて書き記したものです。第17条では、組織トップの交代は気分一新の時であるから、人心を一新するのにいいタイミングだと説いています。


M&Aや事業継承時など、
新しく事業をスタートさせる際に
最も注意すべきことは、
新春を迎える際の、あの清々しさ、
明るく楽しく、
そして厳かな雰囲気で、
行うことが出来るかどうかだ。

生命現象あるところにリズムあり

四季折々の学校行事で成長したが、
社会に出ると、
その時間感覚が希薄化され、
曖昧な時間の中で、
その日を過ごしてしまい、
リズムがとれずに
目標を見出せない人が増えてくる。

運命とはリズムであり、
リズムが伴わないと運もつかめない。

春夏秋冬の自然のリズムは、
大地のリズムであり、
生態系のリズムであり、
体内リズムであり、
組織のリズムでもある。

たとえ真冬の季節に、
新規事業を始める場合でも、
新春の雰囲気で行うことこそ大切だ。

合理的なだけでは人は動かない

新春に大切なのは、
冬をしっかり終わらせること。

それまでの事業の成果や評価を
冷静に、公平・明確にして整理し
処理しておかない限り、
清々しいスタートは始まらない。

財政が苦しいからといって、
倹約や減俸など、

気分が滅入るような
厳しく、
寒々した命令や言葉ばかりでは、
新芽は芽吹かず、
新たな展望は見いだせない。

折角新しい事が始まるのに、
重苦しい空気感では
意気消沈してしまい、
上手くいくものもいかなくなる。

どのような厳しい状況でも、
清々しい明るい空気にもっていく。

それこそが、組織を支える管理職(重職)の大切な役割ではないか。

出典:Wikipedia

佐藤さとう一斎いっさい(1772~1859年)は、美濃(岐阜県)岩村藩の代々家老を務める家柄に生まれ、幼少の頃から聖賢の経書に親しんだといわれています。22歳の時、大学頭・林簡順の門を叩き、儒学で身を立てることを決意。林家の養子となり、34歳で林家の塾長に抜擢されます。多くの門弟の指導に当たり、70歳のとき、現在の東京大学総長の立場である昌平黌の儒官に任官。日米和心条約の外交文書の作成にも携わりました。

出典:東洋古典運命学「始める時は春のある如き 人心を一新せよ
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

山脇史端
一般社団法人数理暦学協会 代表理事
算命学カウンセラー協会主催

投稿者プロフィール
13代算命学宗家・故高尾義政氏・清水南穂氏直門下生として、清水氏に20年師事。当協会の学理部門を総括する。
一般社団法人数理暦学協会代表。
担当講座は、干支暦学入門講座・干支暦学1級講座・講師養成講座・数理暦学講座など。
IT事業、企業研修、オンラインシステムの運営を担当

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