飲食店経営の奇才が語る「成功の秘訣とエンターテイメント性」(後編)

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飲食店は低投資・高回収が基本

初期投資を抑えて柔軟な対応を

――「海苔弁 いちのや」も、そんなお店になっていますよね。みなさん、すごく楽しそうに働いていると思います。

スタッフもいきいきと活躍しています。 写真は店舗ナンバーワンホールディングス(株)提供

三浦氏――それは嬉しいですね。
会社員時代も入れると、累計で2,200~2,300軒くらい作ってきて、8,000人くらいの飲食店オーナーを見てきました。
実は、成功パターンよりも失敗した理由をよく知っているんです。
オーナーから相談されて、切実な問題を片付けながらやってきましたから。
その経験値が、今に活きていると思います。

失敗した理由で多いのは、初期投資が高いことです。
始めてみてダメなら看板を変えていけば良いのですが、こだわりが強すぎるとそういう柔軟さや臨機応変さがなくなります。
ラーメンなら、スープを変えれば同じ設備で別のお店にできるのに、それができません。

僕は、ダメなときは1ヶ月で辞めることもあります。
低投資・高回収が基本です。
自分たちで工事もするから、スタート時にお金をかけない。
1年以内に投資した分も回収します。

高単価商品であれば人も扱いも相応の品質で

最初は反対された海苔弁ですが、今ではスタッフがやる気になってくれています。
だから、やる以上はしっかり事業化したいですね。
オープン前の営業も、スーツを着てオフィス周りをみんなでやりました。
それで、オープン初日からお客様が並んでくれた。

1,000円で売るわけですから、盛り付けも繊細にやっています。
だから、採用でもしっかり人を見ています。
高島屋さんに並ぶということは、それ相応の品質でないといけない。
盛り付けも包装も接客も宅配も、すごく丁寧にやってくれていますよ。

営業は18:00までなので、片づけをしても19:00には仕事を終えられます。
朝は早いと7:00出勤ということもありますが、それでも夕方には帰れる。
飲食店の新しい働き方としても良いと思います。

オープンから約半年が経って、今では1日の販売数が500個を超える日もあります。
あまり急激な出店は考えてないですが、鳥居の前だけに出店場所を限定して、御朱印を押して帰ってもらうとか(笑)。
それは冗談ですが、お花見弁当も用意したので、この春が本当に楽しみですね。

お花見弁当 店舗厨房で丁寧に作る

――新宿以外でも展開していくのですか?

三浦氏――そうですね。海苔弁 いちのやは、フランチャイズ化も考えています。
現在10エリアを計画しています。
こちらで立ち上げて流動化するのも良いかもしれませんね。
立ち上げには自信があります。
例えば、キッチンカーで丸の内や有楽町などでテストマーケティングして、一番売れるエリアで出店していくのも良いと思います。

――それは楽しみです。本日はありがとうございました。

※ W ginzaは期間限定店舗だったため現在は閉店

本稿「飲食店経営の奇才が語る『成功の秘訣とエンターテイメント性』」の前編はこちらから

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三浦正臣
店舗ナンバーワンホールディングス株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
1980年生まれ、神奈川県出身
2002年、店舗流通ネット株式会社に入社。
24歳で取締役営業本部長になり、同社の上場に貢献。数多くの飲食店プロデュースを手掛ける。2008年には「恵比寿横丁」をオープンし、多くのメディアから注目を集める。
2012年に独立し、ストアクリエイティブ株式会社を設立。海外の店舗プロデュースも手掛けるようになる。
2015年1月、店舗ナンバーワンホールディングス株式会社を設立し、これまでに1700軒の飲食店をプロデュースしてきた飲食業界の奇才。

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