アフターコロナを見据えたIT投資を Part.1 ~ テレワークはなぜ進まない?

RemoteWork

コロナ禍で、在宅勤務、いわゆるテレワークを導入している会社が増えてきました。しかし、とある調査[1]によれば、正社員数の多い大企業は積極的にテレワークを導入しているものの、正社員数が少なくなればなるほどテレワークの導入率は下がっています。

正社員数が少ない会社ほどテレワークの導入率が低いのはなぜなのでしょうか。数多くの企業の業務プロセス改善や効率化を手がける、株式会社ジュリエット代表 青木治夫さんが、原因を解説してくださいました。

テレワークを導入しない理由

テレワーク導入に消極的な人や会社の“できない言い訳”上位に挙がるのが、「テレワークで行える業務ではない」「テレワーク制度が整備されていない」です。

「よーしパパ、緊急事態宣言でてるけど出社しちゃうぞー」

とか言ってるわけです。もう見てらんない。

得意げな顔して何が、出社、だ。

お前は本当に出社したいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。

お前、出社して頑張ってるアピールをしたいだけちゃうんかと。

すいません、言いすぎました。上記は、ネットの定番ネタ「吉野家コピペ」を改変したものです。

これらの、テレワークができない言い訳が、たやすく言い放たれてしまう理由を考えてみると、以下に大別されます。

テレワークするための機材が揃っていない

従業員の自宅にパソコンやインターネット回線がないというようなケースは、それなりに見受けられます。それなら、従業員にテレワーク用のパソコンを会社から支給すればいいのですが、会社に金銭的な余裕がないかもしれません。

これはある意味仕方がないことです。しかし、お金さえあれば何とかなる話です。コロナ禍の昨今はなおさら、テレワークに使うパソコンの購入費用に充当できる助成金も存在します。これらをうまく使って投資と考えてみてはいかがでしょう。

いろいろなシステム屋さんが、テレワーク向けのシステム製品を提案しています。たいそうな専用システムを導入せずとも、従業員の自宅に一般的なパソコンとインターネット回線さえあれば、予算的に余裕がない中小企業でも最低限のテレワーク環境を構築することが可能です。

例えば、グーグルのChrome リモートデスクトップや、NTT東日本-IPAのシン・テレワークシステムはどうでしょう。これらを導入すれば、無料で従業員の自宅から会社のパソコンにリモート接続できます。天下のグーグルやNTT東日本が、こんな便利な仕組みを無償提供しているのです。

テレワークするための仕組みが整っていない

これは例えば、稟議書を紙の状態で回付して、印鑑で上司の承認をもらう仕組みだから、テレワークでは対応できないというケースです。

なんという前近代的な仕組みでしょうか。こういう文化はさっさと滅びたほうがいいでしょう。

このような仕組みは、テレワーク前提に作り変えればいいのです。稟議書を回覧して承認をもらうワークフローをオンラインで完結できるシステムなど、いろんな製品やサービスが登場しています。これを使えばいいのではないでしょうか。内部統制の観点からも問題ないような製品もあります。

なお、こういった事例が“できない言い訳”として挙がる背景にあるのは、システムの問題だけではないと思われます。社内ルールが未整備であるが故に、テレワーク時の就業の基準がよくわからず、わからないからテレワークを認めない、という本末転倒な話も聞きます。

些細な例では、出社を前提として作成された就業規則に沿うと通勤手当を支給することになっているが、テレワークのときにはどうすればいいのだろうというケース。そのようなことは、規定やルールを労使で一緒に考えて作り替えればいいのです。

既存のルールに縛られる必要はありません。

経営者にやる気がない

これは、テレワーク導入に乗り気ではない場合に聞く決定的な言い訳です。経営者に対して、テレワークさせてほしいと直談判でもしようものなら、「うちはそういう会社じゃないんだよ!」と言い返されるケースですね。

その理由としてよく聞くのは、テレワークにすることで生産性が落ちるとか、従業員がサボって売上が落ちるとか、経営者のいらぬ心配です。「コロナだけど、売上落ちるのは嫌だからテレワークはダメ!」と言うわけです。

逆に、出社をすれば従業員はサボらず、売上も維持できるのか、と問いたくなります。

私の経験則から言えば、サボる人は出社していても出社していなくてもサボります。つまりどちらでも一緒です。サボる従業員のことなど気にしていてはいけません。

コロナ収束後を見据えたIT投資を

テレワーク導入へのやる気がみじんも感じられない経営者の言い訳として「パソコンの使い方がよくわからない」というものもあります。

つまりテレワークのシステムを使いこなす自信がないというものです。これは大変に根深い問題です。自分がパソコンやIT機器をうまく使いこなせないことを理由に、新しいビジネス環境に移行するチャンスを逸してしまっている状態です。これはテレワークに限らず、社内のあらゆるIT投資を躊躇してしまうことにも繋がります。

この課題と、そこから生じる機会損失については次回「Part.2 ~ ITシステムへの理解が乏しい経営者には未来が見えない」でお話しましょう。

[1] 株式会社パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

青木治夫

青木治夫
株式会社ジュリエット 代表

投稿者プロフィール
オリックス銀行、オリックス社長室での新規事業企画を経て、ライブドア勤務。
転職したわけではないのにライブドアがLINEに買収されたのでLINEに移る。その後、転職したわけではないのにまた事業買収されてミクシィに移る。
しまいに買収する側の業務もおこなうようになり、買収後の企業のPMIにも従事。
ITツールを駆使して、事業承継期やベンチャー期にある企業の業務プロセスの改善や、バックオフィス業務の効率化をおこなっている。

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