IEOやDAOへの投資は魔界への入り口か? (後編)
- 2023/6/15
- ファイナンス
暗号資産の新たな資金調達方法IEOのプロジェクトが遂行される現状を、暗号資産投資に詳しい経営戦略アドバイザー中島宏明氏が解説してくださった前編の続編。多くの課題が伴う暗号資産冬の時代を投資家として過ごすには何が必要なのでしょう。後編で詳しくお伝えします。
目次
魔界は「死のへの字曲線」を凌駕する
魔界コイン・魔界銘柄とは
暗号資産を含むweb3には、「魔界」と呼ばれる世界があります。
web3における「魔界」とは、 高配当で魅力的ではあるものの極めてハイリスクなプロジェクトのこと。
なかには、ラグプル(Rug Pull)設計になっていて、詐欺もしくは運営サイドの持ち逃げ(俗にいう“飛ぶ”)の可能性があるものもあります。
ラグプルとは出口詐欺のことで、開発・運営者が投資家を誘い込んで暗号資産やNFTを販売し、その後プロジェクトを突如放棄して得た資金を持ち逃げする行為を言います。
そんな魔界に該当する暗号資産・トークンは、「魔界コイン」「魔界銘柄」などと呼ばれています。
魔界の魅惑と超ハイリスク
魔界コインの中には、年利1000%を超える超高配当のもの、「わずか数分で利益を出すことができる」場合、「魔界コインの価格が1日で10倍以上に高騰する」場合もあります。
そんな投資の常識では考えられない利益を出せるかもしれないのが魔界コインの世界ですが、大きなリターンには大きなリスクがつきものであり、消滅リスクも高いことを知っておきましょう。
魔界コインの「価格10倍超」は日常茶飯事ですから、これだけ聞くと「魔界コインに投資すると儲かりそうだ」と思えるかもしれませんが、高騰の後には必ず大暴落が起こります。
2021年に暴騰したTITANという暗号資産は、リリース当初は1コインあたり1.68ドルで取引が開始され、最高値時には38倍以上の64.19ドルという価格まで高騰しました。
しかし急騰したTITANも、バブルが弾けた途端に価格は42億分の1にまで急落しています。
そんな価格の乱高下が、「魔界」と呼ばれる所以です。
そもそも詐欺として立ち上げられているプロジェクトも数多くあり、「魔界コインを買えたものの、流動性がないので売る場所がない」という事態も起こり得ます。
最悪の場合、魔界コインはただの電子ゴミ・デジタルジャンクに成り下がります。
魔界難民にならないための対策
投資には注意が必要な魔界コインですが、そんななかにも「比較的良い魔界コイン」と「詐欺の可能性が高い悪い魔界コイン」があります。
こうして並べて書くと天使と悪魔のように思えますが、どちらも悪魔です。
見極め1~TVL数量の大きさ
魔界コインに投資する前に必ずチェックしていただきたいのが、「TVLの数量」です。
TVLは「Total Value Locked」の略で、魔界コインを発行するDeFiプロジェクト(流動性プール)の中に預けられた総資産額を指します。
TVLは、魔界コインを換金性の高い他の暗号資産や法定通貨に換金できるかどうかを測るための指標でもあります。
例えば、そのDeFiプロジェクトが保管しているTVLが100万ドルの場合は、魔界コインを換金できるのは最大でも100万ドルということになります。
TVLの数量が大きければ大きいほど、即座に換金できる可能性が高まります。
見極め2~流動性のロック期間が定められている
TVLの他には、「流動性のロック期間があること」も魔界コインを見極めるポイントになります。
流動性のロック期間が定められているということは、「資金を引き出せない」ということで、つまりは「いっぺんに大量には売られない」ということになります。
大暴落やラグプルのリスクが多少低くなり、価格高騰に繋がるケースもあります。
見極め3~盗作の疑いがあるものは避ける
一方で、詐欺の可能性が高い悪い魔界コインの特徴としては、著作権を無視して人気アニメや人気コンテンツを盗作しているものが挙げられます。
また、人気が出た魔界コインやDeFiプロジェクトはすぐにマネされます。
システムやデザインの盗作疑惑があるものは、投資対象としない方が賢明でしょう。
魔界コインは、GameFi関連のプロジェクトに多いのですが、NFT銘柄にもメタバース銘柄にも存在します。
魔界の魔力にハマると、なかなか抜け出せないようです。
資産を守る観点を忘れずに、投機・ギャンブル要素の強いものに投資しないようにしましょう。
投資で資産を失うのは一瞬です。
▶魔界難民にならないための注意点に加え、次のページでは、投資の際の更なる注意点について中島さんが解説してくださいます!