2025年4月から始まる3Dセキュア義務化とは?ECサイトが今から取り組むべき対策を徹底解説

  • 2025/3/14

2025年4月1日、日本のECサイトをはじめとするオンラインクレジットカード決済において、EMV 3Dセキュアの導入が義務化されます。これにより、加盟店や事業者はセキュリティ強化のための対応が必須となります。しかし、具体的にどのような変更が必要で、どのような影響があるのか、不安を感じている経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、3Dセキュア義務化の背景から企業が取り組むべき具体的な対策まで、分かりやすく解説します。

3Dセキュア義務化の基本と背景を理解する

クレジットカードの3Dセキュアとは何か?

3Dセキュアは、クレジットカード決済時の不正利用を防ぐための本人認証技術です。従来の「パスワード入力」に加え、ワンタイムパスワード(OTP)をSMSやアプリで送信するなどして、決済時にカード所有者本人かどうかを確認します。たとえば、Visaの「Verified by Visa」やMastercardの「ID Check」が代表的です。これにより、第三者による不正利用リスクを大幅に軽減できます。

なぜ3Dセキュアが義務化されるのか?

義務化の背景には、オンライン決済を狙った不正利用の増加があります。ある調査では、2023年のネットショッピング関連の詐欺被害額は前年比1.5倍に拡大しています。特にECサイトでは、カード情報の漏洩や不正利用が後を絶たず、国際的なクレジットカードブランド(Visa、Mastercard、JCBなど)が協調してセキュリティ基準の強化に取り組んでいます。2025年4月以降、3Dセキュア未導入の加盟店は、不正利用被害時の補償対象外となる可能性もありますし、そもそもこれに対応しない場合、決済代行会社から契約解除などの措置を受けるリスクがあります。なお、これに取り組まなかったことにより、法的には直接的な行政処分や罰則の対象となるのは決済代行会社ですが、EC事業者も間接的な影響を受ける可能性があります。

対象となるクレジットカードブランド

義務化は、Visa、Mastercard、JCBなど、日本で使われている主要ブランドがすべて対象になりますので、避けては通れません。各ブランドは加盟店に対し、3Dセキュアの導入を必須とする方針を発表しています。Visa、Mastercard、JCBで日本のクレジットカード利用者の90%以上を占めますので、自社サイトで取り扱うカードブランドを確認し、早急な対応が必要です。導入に際しては、クレジット取引セキュリティ対策協議会の「EMV 3-Dセキュア導入ガイド」に従うことが推奨されています。

3Dセキュア義務化の具体的な変更点

3Dセキュア導入後は、ECサイトの決済画面で3Dセキュア認証画面が自動的に表示されます。顧客は、カード会社から送られるSMSやアプリ経由のワンタイムパスワードを入力しなければ決済を完了できません。これにより、カード情報を不正に入手した第三者でも、本人認証を突破できない仕組みが強化されます。

ECサイトが今から取り組むべき4つの対策

決済代行会社との連携確認

まずは、自社が利用する決済サービスプロバイダー(決済代行会社)が3Dセキュアにしっかり対応しているか確認しましょう。そして、その対応方法を確認しましょう。決済代行会社側に一任できるようであれば設定の有効化をお任せしてしまえますが、未対応の場合は自社側でのシステム改修や契約変更が必要です。特に、独自の決済システムを構築している場合は、クレジットカードブランドの技術基準に沿った開発が求められます。もちろん、Squareにつなぎこんでいる場合など、決済部分を決済代行業者に委託している場合には基本的には自社内での開発は必要ありません。

ユーザーへの周知とサポート体制の構築

3Dセキュア導入後、顧客は初めてワンタイムパスワードの入力を求められるため、混乱が予想されます。ECサイトには「認証方法の説明ページ」や「よくある質問(FAQ)」を用意し、スムーズな決済をサポートしましょう。また、SMSが届かない場合の問い合わせ対応や、携帯電話番号の登録漏れへの注意喚起も重要です。また、カード会員の属性情報(個人情報)の送信に該当するため、個人情報保護法に基づき、利用規約の変更や適切な同意の取得をする必要があります。

テスト環境での動作検証

自社で開発をおこなう場合、実際の導入前に、テスト環境で認証フローを確認しましょう。顧客視点で「パスワード発行までの時間」や「入力画面の操作性」をチェックし、不具合があれば改善します。特に、スマートフォンからの決済では、画面遷移や文字表示の最適化が必要です。

不正利用防止とユーザビリティのバランス

3Dセキュアはセキュリティを強化しますが、認証ステップの追加によって購入離脱が増えるリスクもあります。これを防ぐため、認証画面のデザインをシンプルにしたり、パスワード入力の手順を分かりやすくしたりする工夫が求められます。また、低リスク取引では認証を省略するリスクベース認証の活用も検討しましょう。

よくある質問と対応のヒント

3Dセキュアはユーザビリティを低下させる?

認証ステップが増えるため、一時的に購入離脱率が上昇する可能性はあります。ただし、多くのECサイトでは、認証画面の最適化や事前説明によって離脱率を抑制しています。たとえば、決済ボタンの近くに「次にワンタイムパスワードが届きます」と表示するだけで、顧客の心理的負担を軽減できます。

義務化の対象外となるケースは?

一部の少額決済や定期購入、事前登録済みの顧客については、認証が免除される場合があります。ただし、免除条件はクレジットカードブランドごとに異なるため、決済代行会社と詳細を確認しましょう。

導入コストはどの程度かかる?

既に3Dセキュア対応の決済サービスを利用している場合は、追加コストが発生しません。一方、システム改修が必要な場合、費用は数十万円~数百万円が相場です。ただし、不正利用被害の防止や信頼性の向上を考慮すれば、中長期的なメリットが大きいといえます。また、決済代行会社によっては、今回の対応のための3Dセキュア追加に対して追加料金を取らない方針にしているところも多いようです。

他所の事例から学ぶポイント

早期に3Dセキュアに対応しているECサイトでは、不正利用率が最大60%減少したというデータがあります。成功の鍵は、顧客教育と認証フローの簡素化です。たとえば、とあるECサイトでは認証画面で「カード会社に直接移動します」と明記し、顧客の不安を軽減しています。

まとめ

2025年4月の3Dセキュア義務化は、EC事業者にとってセキュリティ強化と顧客保護の重要な転換点です。対応が遅れると、不正利用被害時の補償対象外となるだけでなく、顧客からの信頼を失うリスクもあります。まずは自社の決済システムを確認し、プロバイダーや開発チームと連携しながら、ワンタイムパスワード認証などの導入を進めましょう。ユーザビリティと安全性の両立を目指し、早めの対策で競合他社に差をつけてください。

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