人と事業のポテンシャルを解き放つ――人の才能を起点にした組織変革の実現

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前回インタビューから早2年。現在は組織開発や事業開発を含む経営支援を手掛けるEvangely株式会社の代表、左近司賢尚氏。採用支援の現場で数多くの企業と向き合い、「採用だけを改善しても本質的な課題は解決しない」との気づきから、現在は、個人が持つ才能や特性を見極め、最適な役割設計をするなどの組織変革を支援しています。さらにAIを活用しながら、人材配置やリーダー育成、組織開発にも取り組んでいます。人と組織のポテンシャルを最大化するために何が必要なのか。採用の枠を超えた独自のアプローチと、その先に描く未来について語っていただきました。

採用課題の本質は、組織と事業の構造にある

Z-EN――Indeedで採用マーケティングの第一線でご活躍後、起業された左近司さん。現在は、採用に限らず、組織や事業の包括的な支援に軸足を移されていますが、その背景について教えてください。

左近司賢尚氏(以下、左近司氏)―ーIndeed時代は、人材会社や派遣会社、紹介会社などの支援が中心でした。
当時から感じていたのは、採用そのものを良く見せるだけでは本質的な解決にならないということです。

採用は本来、事業を成長させるための手段です。
しかし実際には、「求人票を作る」「応募を増やす」という手段が目的化しているケースが多い。
マーケティングで言えば、良くない商品をどれだけ上手に広告しても長続きしないのと同じで、採用も、組織や事業そのものに課題があれば、人を採用しても定着しません
だから私は、採用の上流にある組織開発や事業開発まで支援領域を広げるようになりました

「誰を採るか」の前に「誰が何を担うか」を見直す

――具体的な支援の内容について教えていただけますか。

左近司氏―ーまずは事業を伸ばすために必要な仕事を整理します。
その上で、「人がやるべき仕事なのか」「AIで代替できるのか」を切り分けます。

サッカーのフォーメーションでは、背が高い選手と足の速い選手で適したポジションが違うように、「誰が担当すると最も成果が出るのか」が組織でも重要です。
しかし多くの企業では、「営業経験があるから営業」といった単純な配置になっている。

本来は、各人が持つ特性や才能に応じて役割を設計するべきです。
今いるメンバーの配置を見直し、同じ人数でも成果を最大化できるフォーメーションを作る
そのうえで、足りない機能があれば採用する
この順番が重要だと考えています。

――実際にはどのような企業を支援されることが多いのでしょうか。

左近司氏―ー経営者がトップダウンで成長を牽引してきた中小企業が多いです。

社長が優秀だからこそここまで伸びたけれど、次の成長ステージに進むには幹部が自律的に動けるようにならなければいけない。
そうした「成長の踊り場」にいる企業ですね。

特に、広告会社、IT企業、士業、不動産仲介会社などの無形商材を扱う労働集約型ビジネスとの相性は良いです。

その人が繰り返してきた行動に才能は表れる

――特徴的な支援先があれば教えていただけますか。

左近司氏―ー今、支援している企業の1つに、社長がプレイングマネージャーとして会社を大きくし、ほかは若手メンバー4名という組織があります。
当初、社長以外は、頑張ってはいるがパフォーマンスは高くない状態でした。

そこで、一人ひとりの興味関心や得意領域を分析し、セールス、カスタマーサクセス、PMO、プロダクト担当という形で役割を再設計したところ、それぞれが持ち場で力を発揮しだしたんです。

メンバーの経歴や資格を見るだけではなく、その人の人生を振り返り、「何に情熱を感じるのか」「どんな行動を無意識に繰り返しているのか」を分析します。

人の顔と同じように、才能も遺伝と環境によって形成されるからです。
無自覚に、その人が自然にできてしまうことこそが才能なんですね。
その才能に沿って配置すると、本人も組織もパフォーマンスが上がるんです。

AIで可視化する、人の特性と組織の可能性

――その「才能」を引き出す際に、AIも活用されているそうですね。

左近司氏―ーはい。以前から人を見る仕事はしていましたが、AIによって精度がかなり上がりました。

人は、自分が考えていること、話していること、実際に行動していることが一致しているとは限りません。
しかし、人の本質は行動に現れます

私は、その人が人生の中で繰り返し取ってきた行動パターンを分析します。
すると、その人がどんな特性を持っているのかが見えてくる

これまでは、熟練したヘッドハンターや人事担当者の経験に依存していた領域ですが、AIによって属人的だった「人を見る目」を再現できるようになってきています

――組織課題の本質はどこにあると考えていますか。

左近司氏―ー一番大きいのは経営者や幹部の現状維持バイアスです。

私は成人発達理論をベースにコーチングをしています。
多くの幹部は「社長が言ったから」「会社が決めたから」という環境適応型の段階にいます。
しかし、組織が成長するためには「私はこうしたい」という自己主導型のリーダーが必要です。

例えば、表向きは「部下を育てたい」と言うプレイングマネージャーが、本音では「成果を出し続ける自分でいたい」と思っていて、部下に仕事を任せられないでいるケースがあります。
そうした無意識の思考構造を可視化し、「本当にその思い込みは事実なのか」と問いかける
そこから行動変容を促していきます。

時には経営者に対しても、「その組織課題はあなた自身が作り出しています」と率直に伝えます
契約を失う可能性があっても、私が提供する価値はそこにあると思っています。

人の成長を起点に、企業変革と新しいマッチングの未来を描く

――左近司さんご自身が大切にしている価値観は何でしょうか。

左近司氏―ー私の人生テーマは「人のポテンシャルを最大化すること」です。
個人の特性より、その人が本来持っている可能性が発揮されていない状態に強い関心があります。

身体、マインド、事業、組織。
そのすべてを含めて、人という生体系の出力をどう最大化できるのか
それを自分自身でも実験しながら探究しています。

だから私がやっていることは、本当の意味での人的資本経営支援だと思っています。

――AI時代において、人間にしかできない価値は何だと思いますか。

左近司氏―ー想像力だと思います。

事業というのは、経営者の自己表現です。
何を実現したいのか、どんな価値を世の中に残したいのか
それは人間にしか生み出せません。

私は経営者に対しても、「あなたは何を体現したいのか」「どんな未来を作りたいのか」を問い続けています。

今後、新たに関わりたい領域などがありましたら、お聞かせください。

左近司氏―ー現在は組織コンサルティングが中心ですが、将来的には事業再生や企業変革にも挑戦したいと考えています。
一般的な事業再生は財務改善や業務改善が中心ですが、私は人の成長を起点に会社そのものを変革したい
営業、マーケティング、採用、組織開発の経験を組み合わせながら、うまく機能していない企業を再生することに興味があります

また、最終的には、採用やマッチングそのものを変えたいと思っています。
今の採用市場は経験や資格が重視されますが、本来はその人固有の才能や情熱を見極めるべきです。
人生の中で何度も繰り返してしまう行動の中に、その人らしさがあります。
そうしたユニークネスと仕事を結び付ける仕組みを作りたいですね。

左近司賢尚
Evangely株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
1984年生まれ。千葉県出身。
独立系SIerの株式会社ソルパックに新卒入社し、ソリューション営業、新規事業開発を経験。
2015年に不動産会社のデジタルマーケティング支援の株式会社マーサリーに入社し、デジタルマーケティングコンサルタントとして、クライアント企業のオウンドメディアマーケティングを支援。
2016年に急成長期前のIndeed Japan株式会社に入社。人材業界向けの営業、営業マネジメント、パートナー経営渉外に従事。社内外に向けてデジタルマーケティング、ソリューション営業、求人原稿クリエイティブなどのトレーニングプロジェクトをリードする。
2024年10月にEvangely株式会社を創業し、現在に至る。
ビジネスリーダー人財向けのプロコーチであり、柔術家(BJJ紫帯)として活動している。

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