声を整えることは、自分を整えること。自分を知ることから可能性を引き出すボイスメンター
- 2026/9/2
- インタビュー

声は、単に歌うためのものではない。声には、その人の心や身体、さらには思考の癖まで表れる――。そう考え、18年で2万人以上の声と向き合ってきたのが、ボイスメンターのCHi7(ちな)さんです。エイベックス、ワタナベエンターテインメントでプロやデビュー前のアーティストを指導し、独立後はプロ向けのレッスンと並行して、一般向けレッスンを同時に提供。現在、プロを除く生徒の9割以上が経営者です。歌唱技術の向上にとどまらず、「自分を知り、自分らしく表現する」ための方法を声から伝える。声を整えることを、自分自身を整えることへ――。その独自の指導に込められた考えと、これから目指す活動について伺いました。

目次
歌の技術だけではなく、声・心・身体を整える
Z-EN――現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
CHi7(ちな)さん――私はボイスメンターとして活動しています。
主にボイストレーニングをやりながら、声やマインドに関する記事を書いて発信しています。
私のレッスンでは「歌を上手く歌うため」だけではなく、「声を通して人間力を育てる」ことを大切にしています。
先生によって教え方はさまざまですが、私は、その人の声と心と体の癖を分析して、その人が感覚を自在にコントロールできて表現を楽しめるようにすることを中心にレッスンをしています。
――ボイストレーナーになったきっかけを教えてください。
CHi7(ちな)さん――大学で声楽やミュージカルなどクラシック音楽を学びながら、並行して2年間エイベックスのアカデミーで歌やダンスなどポップス音楽を学びました。
大学卒業半年前、当時のアカデミー現役生徒の中で唯一スカウトを受け、大学卒業と同時にエイベックス専属のボーカル講師となりました。
大学での学びや面倒見の良さを評価してくれていた当時のアカデミー校長から直々にお誘いを頂き、「父は高校教師だから私が先生になったら喜んでくれるかな」と講師になる事を決意しました。

18年半、2万人以上の声と向き合って見えてきたこと
――講師として18年以上活動されている中で、現在の指導スタイルは、どのように築かれていったのでしょうか。
CHi7(ちな)さん――最初はエイベックスの決められたメソッド通りに教えていましたが、レッスンの数が増えるにつれ多くの生徒さんと向き合う中で、「歌(技術)だけ教えていても限界がある」と感じるようになりました。
歌うのは人です。
心が整っていなければ声にも表現にも表れますし、体が楽器なので、喉や身体との向き合い方も不可欠な要素です。
私自身、講師を始めた頃は声帯を痛めることが多く、レッスン中に声が出ず、筆談で授業をした時期もありました。
その経験から、技術だけでなく、心や体との向き合い方も積極的に伝えていくようになりました。
エイベックスやワタナベエンターテインメントではプロやデビュー前のアーティスト達を指導しながら、ライブイベントでは衣装や選曲、振付、演出までを担当し、約13年間でたくさんのライブ作品をプロデュースしてきました。
そこで実感したのは、「歌が上手いだけでは選ばれない」「ライブには人間そのものが表れる」ということです。
だから今は、「自分とどう向き合うか」「自分をどう魅せるか」を中心に、プロにもプロ以外にも同じようにメンタルのレッスンもしています。
――個々の生徒さんとは、どのように向き合われていますか。
CHi7(ちな)さん――一人ひとり声も癖も違うので、全員に同じ課題は出しません。
アドバイスの仕方も、その人に合わせて変えています。
レッスン後に歌以外の相談を受けることも多く、恋愛や人間関係、仕事の悩みまでお話しすることもあります。
私が大切にしているのは、自分の考えを押し付けないことです。
「こうしなさい」と強制することはなく、「こうするとこう変わりますよ」と選択肢をお渡しするようにしています。
たとえその場で響かなくても、5年後10年後に思い出してくれたら十分かなと思いながら伝えることもあります。

経営者の表現力を、声と感覚から引き出す
――現在はプロのレッスンを除くとほとんどが経営者の方だそうですね。
CHi7(ちな)さん――はい。現在はプロを除く生徒さんの9割以上が経営者の方です。
エイベックスからワタナベエンターテインメントを経て独立し、6年前くらいからフリーランス講師を始めたタイミングで、知り合いの経営者の方に「レッスンを受けたい」と声を掛けていただいたことがきっかけでした。
そこからご紹介や直接出会った方からの依頼が続き、ありがたいことに現在まで一度も募集をすることなく毎月のように新規レッスンの依頼を頂いています。
エイベックス時代には週に200名ほどのレッスンを担当しながら、単発でのレッスンも随時あったので、一度だけ指導した方達も含めると、これまで18年半で2万人以上の声を整えてきました。

「自分を知る」ことから始まる、自在な自己表現
――レッスンを通して、経営者の方にどのような価値を提供されているのでしょうか。
CHi7(ちな)さん――歌が上手くなりたい方々がほとんどですが、話し声やプレゼン、コミュニケーションなどの日常の自己表現を改善したい方も多いです。
実際に、「声が出しやすくなった」「歌が上手いと褒められた」と生徒さんから嬉しい報告がよくあります。
やればやるだけ歌唱力は上がりますし、体力や筋力は下がっても一度得た技術は簡単には下がらないので、「歌にリバウンドはない」と捉えています。
私は、歌を見ながら、その方の思考の癖も見ています。
特に経営者の方々は、頭で考えて論理的に仕事と向き合って来たからこそ成功されていると思いますが、その分、感覚を使うことに慣れていないことが多いです。
メロディやリズムや声や感情は目に見えません。
目に見えないもののコントロールはイメージで動かしていきます。
ゴルフがお好きな方にはゴルフに例えたり、それぞれの仕事の場面に置き換えたりして、その方がイメージしやすい言葉を選んで伝えることを意識しています。
私は「コントロールの半分は把握」だと思っています。
歌をコントロールしたいなら、まず自分を知ることが大切です。
「自分のどこが魅力的なのか」「どんな自分を伝えたいのか」を一緒に言語化し、把握していくことで、その方の表現を魅力につなげています。
――レッスンを受けることによって、健康面にも変化はありますか。
CHi7(ちな)さん――あります。
私も驚いたのですが、40代後半の方がボイトレを始めて3ヶ月たった頃「ボイトレのおかげでずっと悩んでいたいびきが改善した!」と実際に報告を受けました。
他にも、50代前半の方がお正月に実家に帰ったら、「何の美容施術受けたの?と妹に驚かれた」という美容面でのボイトレ効果も実感して頂けているようです。
私のボイストレーニングは、歌の上達だけでなく表情や姿勢、心と体のコントロールの仕方も身につきます。
そして歌うことは、喋る時の3〜5倍以上の大声を出すので、シンプルにストレス発散にもなりアンチエイジングにも繋がります。

声を整え、自分を生きる。その人の変化の“キッカケ”に
――ちなさんが思い描く夢や新しい取り組みなど、今後の活動についてお話いただけますか。
CHi7(ちな)さん――今後は、「声を整えることは、自分を整えること」という考え方を広め、「自分を愛すること」「自分を生きること」をテーマに、誰かの変わる“キッカケ”になれるように自分を発信していきます。
経営者だけでなく、アーティストや表現者のメンターとしても活動して、それぞれが抱える孤独や重圧を笑顔に変えていきたいと思っています。
SNS時代の今は、人と比べて落ち込んだり、求めていない評価が勝手に届いたりするのが当たり前になってきています。
だからこそ、戦略やスキルの前に、「まず自分を知ること」で心を整えることが最初にやるべき行動だと考えています。
講演や執筆に加え、アートや音楽、ファッションも組み合わせながら、たくさんの人が“キッカケ”を楽しく受け取れるように、色んな形で発信・活動していこうと計画しています。
今まで18年以上、教える仕事をしてきて思うのは、「過去と他人は変えられない。変えられるのは、自分と未来だけ」ということです。
私が変えるわけではなく、本人が変わろうと行動するから変わるんです。
私の言葉や作品によって、その人が自分の才能や魅力に気付けたり、それを使って自分らしく輝けるように動いたりするための“キッカケ”になれたら嬉しいです。
それが私の使命であり、強みだと思っています。















