農業体験×食育×農家支援でESG経営に取り組む(後編)

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商品の差別化が難しい今の時代に、果樹園の経営課題を目の当たりにしてファミリーツリー株式会社を起業された安藤仁希さん。前編では、その背景とファミリーツリーのビジョンについてご紹介しました。今回は、果樹園体験を通じて国産の果物を守る意義も提供するビジネスモデルの解説です。農業に視点を置いた食育からワークライフバランスの実現など、マイクロオーナーサービスは安藤さんの大きな夢につながっています。

ファミリーツリーが解消する農家の経営課題

――ファミリーツリーのマイクロオーナーサービスに参画すると、果樹園農家さんにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 安藤 仁希氏(以下、安藤氏)――大きく3つのメリットがあると考えています。
1つ目は“生産効率の向上”、2つ目は“事業計画を立てられること”、3つ目は“働きがいを得られること”です。

生産効率の向上

収穫した果物をJAに卸す場合、果物の大きさやキズの基準を満たしている必要があるため、スーパーなどには画一的なモノが並ぶことになります。
しかし、収穫したモノには大中小と大きさにバラつきがありますし、それにも価値があって、それは果物の個性です。

オーナーになっていただくと農業体験を通じて、美味しい果物の見極め方や食べ方を伝えることができますから、「選ぶ楽しみ」も含めて食育になるなど、付加価値になると思います。
そのため、収穫した果物はあえて選別していません。
選別の手間が減りますし、人を雇って選別している場合は人件費の削減にもなります。

事業計画を立てられること

マイクロオーナーサービスは「予約販売」に近い仕組みですから、出荷や収益の見通しを立てられるようになります。
これが事業計画を立てられるメリットです
オーナーの数がわかれば、事業計画を立てやすいですから、必要な資金調達や採用、苗木の仕入れ、設備投資など、会社経営的な農家経営が可能になります。

働きがいを得られること

農家の方から言われたことなのですが、「木のオーナー」という共通意識があると、日々の仕事に向き合う気持ちが全然違うそうです。
最近は、スーパーで売っている果物にも生産者の顔写真が貼られていたりしますが、農家の方と直接会う機会や会話する機会はなかなかないと思います。
マイクロオーナーサービスでは、オーナーと生産者が直接話す機会があり、オーナーにはその場で喜んでもらえますし、農家の方はそれを間近で感じることができる。
果物の美味しい食べ方や食べ頃などを直接伝えられるというのは、農家の皆さんにとってとても嬉しいことなんです。

ファミリーツリー社提供写真

――なるほど、農家の方々が抱えるさまざまな経営課題をファミリーツリーのマイクロオーナーサービスが解消してくれますね。農家さんは、JAとマイクロオーナーサービスを併用することもできるのですか?

安藤氏――はい。もちろん併用できます。
JAには独自の良いところがありますから、ぜひそちらも活用していただきたいです。
技術指導の提供や農機具購入のための資金調達の支援、安定した販路があることもJAの強みでしょう。

ただし、高く買ってもらえるタイミングで渡すことになるので、実は果物のベストなタイミングではないんですよね。
「本当は、本当に美味しいときに食べてほしい」と願っている農家さんもいらっしゃいますから、それを実現できるのがマイクロオーナーサービスの特徴だと思います。

ファミリーツリーのマイクロオーナーサービスの素晴らしさがよく分かるお話でした。次のページでは、農業に明るい未来をもたらす安藤さんが描くビジョンについて語っていただきます!

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安藤仁希
ファミリーツリー株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
大手自動車メーカー関連会社に就職後、物流生産管理の業務に従事。
オーストラリアで出会った自然や農業に魅了され、帰国後は浜松市のみかん農園で働くように。
農園では、果樹園農家が直面するさまざまな経営課題を間近に感じ、農家支援を行うためにウェブマーケティング会社に就職してマーケティングノウハウを習得する。それらの経験とノウハウを活かし、「日本の農家を救い、国産の果物を次世代につなぐ」ためにファミリーツリー株式会社を設立。農業体験や食育、農家支援などの活動を通じて、環境(Environment)、社会(Social)などの問題に取り組んでいる。果樹園の木のオーナーになれる「マイクロオーナーサービス」を展開中。

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