クリエイティブで人と企業の可能性をひらくー企業の中に眠る価値を見える形に!

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「価値があるのに、伝わっていない」。そんな企業や人の可能性を、映像やクリエイティブの力で社会に届けようとしているのが、株式会社raw代表の西性大輝氏です。番組制作や広告クリエイティブの現場を経て、現在は、メディアコンテンツ、インタラクティブコンテンツ、AIを軸に事業を展開。企業の専門性や技術、そこで働く人の知見や文化を掘り下げ、社会から認識できる形へと変えていらっしゃいます。クリエイティブを通じて、人や企業、文化の間にある「伝わりにくさ」をどう越えていくのか。西性氏が展開する事業の一部をご紹介します。

企業や人の価値を、長く残るメディアとして社会に届ける

Z-EN——現在、株式会社rawではどのような事業を展開されていますか。

西性大輝氏(以下、西性氏)——弊社は、主に「メディアコンテンツ」「インタラクティブコンテンツ」「AI」の3領域を軸に事業を展開しています。

今回主にお話しする『raw Production』は、その中でもメディアコンテンツ領域を担うプロダクションソリューションです。
企業や商品が持っている価値、そこで働く人の知見や文化を取材・編集し、番組や映像、オウンドメディア、PRコンテンツなど、社会に届くメディア表現へ変えていきます。

インタラクティブコンテンツ領域では、人の動きや操作に反応して、映像や空間の表現が変化するような体験型コンテンツを制作しています。
大阪・関西万博などでも、こうした技術を活用した演出やコンテンツ制作に携わっています。

AI領域では、空間演出を拡張する自社独自の『raw AI』を開発しています。
『raw AI』は、入力された信号をリアルタイムに異なる演出へ変換・拡張する技術で、特許を取得し、実案件でも活用されています。

今回は、その中でも『raw Production』を中心にお話しできればと思います。

——rawがメディアコンテンツを作る上で、大切にしていることは何でしょうか。

西性氏——一言で言えば、企業や人が持っている価値を、短期的に消費される情報ではなく、長く残るメディアとして社会に届けることです。
そのため、再生数や一時的な話題性だけでなく、時間を経ても価値が残るかという視点を大切にしています。

もちろん、短期的な成果が必要な場面もあります。
ただ、企業は数十年という時間軸で事業を続けていく存在です。
その中で積み重ねられてきた専門性や、人、文化まで含めて記録し、時間が経っても価値を失いにくいメディアとして残していくことを大切にしています。

SNSやメディアの形式そのものは時代によって変わっていきます。
一方で、その企業がなぜその商品を作ったのか、どのような人が働き、どのような思想や技術を積み重ねてきたのかという部分は、長く残していけるものだと思っています。

『raw Production』では、「現代社会の中で消費されない、人間の魅力や文化の厚みが伝わるコンテンツを、時代に届くメディア表現で残していく」ということを掲げています。

映像制作の現場で培った「伝える」技術

——西性さんご自身は、どのようなご経験を経て現在に至ったのでしょうか。

西性氏——茨城県で生まれ、学生時代はスポーツに打ち込んでいました。
クリエイティブや映像を専門的に学んでいたわけではなく、大学進学を機に上京してから映像制作を始めました。

その後、IVSテレビ制作でアシスタントディレクター、ディレクターとして番組制作に携わり、人の魅力や背景をどう構成すれば視聴者に伝わるのかというメディアの構造を学び、サイバーエージェントの広告事業部ではブランドクリエイティブを通して、企業の価値を社会へどう伝えるのかを学びました。
その後、rawを設立しました。

見えている格差の先にある「選択肢」の差

現在は会社経営と並行して、大学や栃木の専門学校などで映像を教えています。
こうした自分自身の経歴や、教育の現場で学生と接する中で、強く意識するようになったことがあります。

私が関心を持っているのは、経済的な困窮のように、外から見て分かりやすい格差だけではありません。
外形上は十分な資源や機会があるように見えていても、育った家庭環境や、そこで触れてきた知識、人とのつながりによって、「自分にはどんな選択肢があるのか」という認識そのものに差が生まれることがあります。

社会学では、家庭の中で蓄積される知識や言葉、教育への親和性などを「文化資本」として捉える考え方があります。
また教育社会学では、能力や成績が同程度であっても、社会的な背景によってその後の進路選択が異なることを「二次効果」として説明します。
さらに「ケイパビリティ」という考え方では、制度上同じ選択肢が存在していることと、それを本人が実際の選択肢として持ち、選び取れる状態にあることは区別されます。

「映像」は、自分の能力を示す新しい評価軸

つまり、制度上は同じ進路を選べたとしても、それだけで実質的に同じ選択肢を持っているとは限らないということです。
ある仕事や進路の存在を知っていても、それを「自分も選んでいいものだ」と思えるかどうかは別の問題だと思っています。
私は、こうした形式的には平等に見えていても、実際に持てる選択肢には差がある状態に強く関心があります。

そして、その差に対して介入できる手段の一つが、映像だと考えています。
映像は、過去の学歴や職歴だけではなく、その人が今持っている技術や感性、考え方を作品として社会に提示できます。
それは、既存の評価軸とは別に、自分の能力を示す新しい評価軸を持つことにつながります。

実際は、環境によってその能力を使える選択肢が見えていないケースはかなり多いと思っています。
映像は、その状態を少し変えられる道具の一つだと考え、今も週に一度栃木へ足を運び、大学でも学生たちに映像を教え続けています。

企業の中に眠る専門性を、社会から見える価値に

——御社には、どのような相談が多く寄せられるのでしょうか。

西性氏——特に価値を提供しやすいのは、「自分たちの商品や事業には価値があるはずなのに、それが正しく伝わっていない」と感じている企業です。

実際、広報の方から最も多くいただくのも、「商品の価値を正しく伝えたい」という相談です。
その次に、商品の販促や、採用で会社の魅力を伝えたいという相談があります。

例えば、科学のように分かりやすく専門知識だと認識されているものだけではなく、工場で培った技術だったり、その人の業界の中で培ってきた能力だったり、会社や人が持っている知識やノウハウは、他の業界から見れば専門知識になります。

そういったものを単純に平易な言葉へ置き換えてホームページに載せるだけではなく、実際に人に会い、その人自身の言葉で話してもらう。
なぜその商品が生まれたのか、どんな判断を積み重ねてきたのかまで取材していきます。
そのときの表情や動き、どんなことを話しているかという非言語的な情報も残しながら、会社の魅力に昇華させていく。

企業の中には、外からはまだ見えていない価値がたくさんあります。
『raw Production』は、そうした価値を見つけ、社会から認識できる形に変えていく仕事でもあると思っています。

——実際に企業とは、その後どのような関わり方をしていくのですか。

西性氏——ほとんどの場合、伴走させていただくような形になります。

例えば、企業自身が継続的に情報を発信していく番組型のオウンドメディアであれば、中長期で企画から伴走します。
一方で、新商品の魅力を伝えるPR施策や、採用など特定の課題に対するコンテンツであれば、小さな企画からご一緒することもできます。

また、顧客企業の専門知識を私たちも理解できるくらいには、企業の中に入り、関係者の人柄なども含めてお話を伺いながら仕事を続けていく関係を構築しています。
実際にこれまでも、ものを作っている企業様と仕事をすることが多く、その裏側をコンテンツとして残していくことも多かったです。

製造業のメーカーなども含め、企業が持っているものづくりの背景をコンテンツ化していくような関わり方も得意としています。

——事業を進める中で、壁になったことはありましたか。

西性氏——一番難しかったのは、クライアントと私たちの間で、コンテンツに求める時間軸が異なることでした。

再生数や短期的な認知など、すぐに確認できる成果が必要な場面は当然あります。
一方で、私たちは企業の価値や信頼は、数年単位で蓄積されていくものでもあると考えています。

当時は弊社もまだ若い企業で、実績が十分にあるわけではありませんでした。
そこで、何十社、何百社と話をして、オンラインの商談だけではなく、一人の人間として対話する機会も作りながら、企業のインサイトを理解していきました。
その中で、「今回の施策でどこまでを目指すのか」と同時に、「数年後にどんなメディアやブランド資産が残っていると良いのか」という話をするようになりました。

実際に、1年、2年と対話を続けた末に、ようやく最初の映像制作をご一緒できたケースもあります。
そうした積み重ねを続ける中で、今では弊社が作るコンテンツに芸能人やその業界の著名人に出演していただけるようになりました。
約5年間、さまざまなコミュニケーションを重ね、クオリティにこだわってきたことが、信頼の構築につながっています。

違いをなくすのではなく、伝わるための隔たりを越える

——今後、rawをどのような会社にしていきたいと考えていますか。

西性氏——人や企業、文化のあいだにあるさまざまな隔たりを、クリエイティブの力で越えていける会社にしたいと思っています。
ここでいう隔たりは、地域や言語の違いだけではありません。
育った環境や教育、文化、専門性などによって、同じものを見ていても理解できることや、届く情報、そこから生まれる認識には差があります。

人は、自分が知らないものを理解したり、選んだりすることはできません。
一方で、価値そのものは存在しているのに、それが他者から認識できる形になっていないということも、企業にも人にもあると思っています。
『raw Production』で企業が持っている専門性や文化を社会から見える形にしていることも、教育を通じて一人ひとりが持っている能力を作品として外に示せるようにしていることも、自分の中では根本にある考え方は近いです。

メディアには、見えていなかったものを見えるようにし、知らなかったものに触れるきっかけをつくる力があります。
また、rawではプロダクション事業だけではなく、AIやインタラクティブ表現も扱っています。
言語や文化、身体、専門領域などの違いによって生まれる「伝わりにくさ」に対しても、表現や技術によって別の伝わり方をつくっていきたい。

違いそのものをなくしたいわけではありません。
違いがあることで価値や情報が届かなくなる、その隔たりを少しずつ小さくしていく。
rawを、そういうことができる会社にしていきたいと思っています。

raw Productionについて詳しくはこちら

西性大輝
株式会社raw 代表取締役

投稿者プロフィール
茨城県出身。大学卒業後、IVSテレビ制作に入社。創業50年超えのテレビ制作企業にてディレクターとして『ザ!鉄腕!!DASH』などの制作に携わる。
その後、TOKYO MXではTVディレクターとして、サイバーエージェント広告事業部ではディレクターを担当。同時に、専門学校で3DCGとモーショングラフィックスの現役講師を勤め、現在も継続中。
2021年に株式会社 rawを設立。異なるアイデアを掛け合わせて、これまでになかった新しい価値を生み出すクリエイティブチームでの事業を展開する。
コンテクストが求められる映像を得意とし、アートとデザインの似て非なる混ざらない思考の不一致感を組織で表現していく。

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