人と企業をつなぐ共創の仕掛け人~遠いものを掛け合わせるから、イノベーションが生まれる!
- 2026/8/20
- インタビュー

日本電信電話(現NTTコミュニケーションズ、以下NTT)、AWS(Amazon Web Services)でIT・AIのビジネス実装に携わり、現在はLINKSPACES株式会社を率いる門田進一郎氏。企業のDXやAI活用を支援するだけでなく、人材、技術、企業、ネットワークといった異なる「強み」をつなぎ、新たな事業を生み出す共創プロデューサーとして活動していらっしゃいます。異分野の組み合わせからイノベーションを生み出す「カタリスト」として、これまで数多くの企業をつないできた門田氏が大切にするのは、企業が自走できる環境をつくること。著書『スプレッドワーク』でも提唱する、学びと出会いを次の挑戦へ広げていく働き方の背景には、知らない分野にも飛び込み、挑戦を重ねながら自らの可能性を広げてきた門田氏自身の姿があります。
目次
AIやITだけではない。「足りないもの」をつないで事業を生み出す
Z-EN――現在、門田さんは主にどのようなことをされているのでしょうか。一般的なDXやAIコンサルティングとの違いや、門田さんならではの強みについて教えていただければと思います。
門田進一郎氏(以下、門田氏)――――LINKSPACESという会社の代表です。
特定の事業を持つというより、法人同士をつないだり、新しい事業を生み出すための共創を支援したりと、状況と求められるものに合わせて提供するものは変わってきます。
これまでさまざまな事業に関わってきた経験があるので、「この会社と組んだら面白いんじゃないか」と考えたり、足りない技術や人材、事業のパーツを持つ企業との化学反応(イノベーション)を楽しんだりしています。
ITやAIを軸にはしていますが、一般的なDXやAIコンサルティングとは少し違いますね。
企業に足りないものがあれば出資したり、既にそれを持っている企業をつないだり、一緒につくったりして、魅力的な新しい事業を形にしていきます。
――企業とは、どのような関わり方をされることが多いのでしょうか。
門田氏――顧問先には基本的に伴走します。
最終的に一番大切なことは、企業価値を高め、成功に共感することです。
企業が自走できる状態をつくることが重要なので、「この人が入れば事業がスケールする」と思えば相性のよい仲間を紹介しますし、技術や企業との橋渡しも行います。
相談内容は、人材不足や組織づくり、カルチャーづくり、ITや生成AIの活用まで本当に幅広いですね。
Amazonでの経験をもとに、組織づくりやカルチャー形成について講演することもありますし、「少し話を聞いてほしい」と経営者の相談相手になることもあります。

AWS時代の門田さん
人と企業の強みを掛け合わせる「カタリスト」という役割
――共創する際に、特に大切にしている考え方はありますか。
門田氏――共創とは、異なるもの同士が組み合わさって生まれるイノベーションだと思っています。
そして、遠い分野同士の方が、新しい価値は生まれやすいんです。
僕は「カタリスト」、つまり触媒のような存在でありたいと思っています。
人や企業が持つ強みを見つけ、それを別の強みと組み合わせて新しい価値を生み出す。
その役割を担いたいといつも思っています。
だから、新しく出会った方とも、名刺交換で終わることはありません。
その人が持っているスキルや人脈、アセットを見て、「何を組み合わせればお互いに成長できるか」を考えます。
目の前の人だけではなく、その先にあるネットワークまで含めて見ています。
遠隔ロボット×デジタル報酬。異分野の出会いから生まれた新事業
――これまでで印象に残っている共創の事例を教えてください。
門田氏――顧問先同士をつないだ事例はいくつもありますが、印象的なのは、デジタル資産の事業を展開する企業とロボット開発を行う企業を結び付けたことです。
後者とは、遠隔で作業する人に報酬を提供できる仕組みができたら面白いという話をしていて、イベントで前者の社長と話した瞬間に、「デジタル報酬の仕組みと組み合わせれば実現できる」と思い、その場で両社をつなぎました。
そこから話が進み、ロボットの遠隔操作を日本の方だけでなく、世界中の国から人材を集めて実装に至っています。
最終的には新潟やフィリピンなど、異なる地域の人たちが参加する試合形式の大会「Eco Catcher Battle(エコキャッチャーバトル)」へと発展しました。
こうした発想は、日頃からさまざまな人の話を聞いているから生まれます。
「以前聞いたあの話とつながる」と気付けるかどうかが大切なんです。

NTTからAWS、そして独立へ。学びながら挑戦を続けてきたキャリア
――そのような視点は、これまでの経歴から生まれたのでしょうか。
門田氏――僕は大学では化学出身で、韓国留学中にインターネット技術が必ず普及すると感じ、ITを学ぶためにNTTへ入りました。
NTTで15年間勤務した後、クラウドやAIが次の社会インフラになると考えてAWSへ転職しました。
学生時代にも応援団長を任されていたのですが、偶然、社会人になってからもNTTで応援団長を任されたのには自分でも驚きました(笑)。
昔から「勉強しながら稼ぐ」という考え方で働いてきましたが、次は経営者としての視点を身に付けたいと思い、コロナ禍で独立しました。
現在は独立6年目で、企業だけでなく銀行や農業、スタートアップなど約50社の顧問を務めています。

――50社もの企業を支援される中で、大切にしていることは何でしょうか。
門田氏――やったことのない分野でも、顧問の依頼があれば引き受けることがあります。
そのために常に勉強し続けています。
陸上風力発電と全く関わったことのない僕が顧問を依頼された時も、知らない分野でも飛び込んで学ぶことで知識も人的ネットワークも広がっていくと、改めて実感しました。
韓国留学もNTTへの入社も同じですが、挑戦しなければ何も始まりません。
もちろん失敗もありますが、失敗は成功までのプロセスだと思っています。
そこから何を学び、次につなげられるかが大切なので、挑戦すること自体はあまり怖いと思ったことはないですね。

才能はどこにでもある。人と地域の可能性をつなぐ「応援団」へ
――今後は、どのような方向を目指していきたいですか。
門田氏――これ以上、やみくもに関わる人を増やすのではなく、今あるエコシステムをどう広げていくかを考えています。
僕は、誰にでも才能があると思っていますので、あとはそれを見つけ引き出せるかがカギで、その結果がその後にも大きく影響します。
今いる場所では評価されない技術でも、別の業界では大きな価値になることがあります。
特に地方には優れた技術を持つ企業がたくさんあります。
そうした企業が、自分たちだけでは持ち得ない人や技術、ネットワーク(絆)とつながることで成長できるなら、そのきっかけをつくりたいですね。
仕事を楽しみながら人と人が協力し、「お繋ぎしてくれてありがとう」と言ってもらえる存在でありたいです。
僕は根っからの応援団なんだと思います。
















