GPS位置情報と閲覧履歴で「今まさに欲しい人」に届けるーロックオンマーケティング
- 2026/6/22
- インタビュー

SNS運用代行からスタートし、独自のマーケティングサービスなどの領域へと事業を拡大してきた株式会社ainak。代表の五十嵐洋介氏は、建築・不動産業界やメディア業界を経て、「誰もが活躍できる社会をつくる」という理念のもと、GPS位置情報やWeb閲覧履歴を活用した独自サービス「ロックオンマーケティング」や、暗号資産復旧支援サービス「ウォレットレスキュー」など、競争の少ない市場を見出し価値を創出してきました。事業誕生の背景や経営哲学、そしてアーティスト・クリエイター支援へ向けた今後の展望について伺いました。
目次
激しい競争市場で生まれた独自戦略「ロックオンマーケティング」
Z-EN――まず、株式会社ainakの事業全体について教えていただけますか。
五十嵐洋介氏(以下、五十嵐氏)――私はもともと建築や不動産開発の仕事に携わり、その後、住宅情報媒体でライターやディレクター、カメラマンとして活動してきました。
2012年に株式会社ainakを設立し、当初はSNS運用代行を中心に事業を展開していました。
しかしSNS運用代行だけでは競争優位性を築きにくいと感じ、独自のマーケティング手法を模索する中で生まれたのが「ロックオンマーケティング」です。
ロックオンマーケティングは、Google広告やメタ広告ではアプローチが難しい、GPS位置情報やWeb閲覧履歴データを活用して、特定の行動を取ったユーザーだけに広告を配信する仕組みです。
例えば、高級マンションのモデルルームを訪れた人、高級輸入車ディーラーに来店した人、富裕層向け投資サービスのサイトを閲覧した人などに対してピンポイントで広告を配信できます。
従来の広告のように不特定多数へ配信するのではなく、「今まさに興味関心を持っている人」を狙い撃ちできることが特徴です。
SNS運用代行も行っていますが、SNSで認知を広げるだけでなく、「ロックオンマーケティング」によって購買意欲の高いユーザーへ直接アプローチすることで、集客や売上向上につなげています。
高単価商材に強い集客戦略
――かなり独自のマーケティング手法ですね。主にどのような企業に価値を提供できるのでしょうか。
五十嵐氏――顧客単価の高い業種との相性が良いですね。
例えば不動産業界、パーソナルジム、学習塾、採用関連サービスなどです。
誰に届けたいかが明確な商材ほど成果が出やすい傾向があります。
採用領域であれば、大学のキャンパスにいる学生や資格試験会場を訪れた人、競合企業の採用ページを閲覧した人などへ広告配信することも可能です。
また、競合他社のホームページを閲覧したユーザーに対して自社サービスを訴求することもできます。
GPSによる行動履歴とURL閲覧履歴の両面からターゲットを絞り込めることが特徴です。
実際に、ホームページへの流入増加やSNSフォロワー数の増加、売上向上につながったという声もいただいています。
失われた暗号資産を取り戻す「ウォレットレスキュー」
――御社のもう一つの特徴的なサービスである「ウォレットレスキュー」とはどのような事業なのでしょうか。
五十嵐氏――「ウォレットレスキュー」は、パスワード紛失等でアクセスできなくなった暗号資産ウォレットの復旧支援サービスです。
富裕層向けマーケティングを行う中で、「暗号資産にアクセスできなくなった」という相談を受ける機会が増えたことが事業化のきっかけでした。
よくあるのは、パスワードを忘れてしまったり、パソコン・ハードディスクの故障によってデータの保存場所が分からなくなったりしたケースです。
また、10年ほど前に購入した暗号資産を長期間放置していて、久しぶりに確認しようとしてアクセスできないという相談もあります。
さらに相続案件もありますね。
亡くなった方が保有していた暗号資産に、ご家族がアクセスできないというケースです。
一方で、詐欺被害によって第三者へ送金されてしまった暗号資産の回収は対応できません。
また、復旧には高度な計算処理や専門エンジニアの協力が必要になるため、資産規模としては1,000万円以上を目安としています。
高度な技術者や弁護士とも連携しながら、法的な整備を含めて慎重に運営しています。
震災とコロナ禍を転機に磨かれた、新市場を切り拓く発想力
――多くの経営者を取材されてきた五十嵐さんの起業の原点や大切にしている価値観を教えてください。
五十嵐氏――会社設立の原点には東日本大震災があります。
当時、風評被害で苦しむ地方企業から相談を受けていました。
SNSが広がり始めた時期でもあり、「SNSを活用して再びブランド価値を高めていきましょう」と提案していたことが今の事業につながっています。
私は以前から「地方を元気にしたい」という思いを持っており、その根底には「誰もが活躍できる社会をつくりたい」という理念があります。
SNSもマーケティングも、単なる集客手法ではなく、人や企業の魅力を伝え、活躍できる機会を増やすための手段だと考えています。
――起業されてから転機となった出来事はありましたか。
五十嵐氏――最も大きかったのはコロナ禍です。
それまではSNS運用を中心に事業を展開していましたが、SNS予算は企業にとって削減対象になりやすく、多くの契約が終了しました。
そこで、「他社が簡単に真似できないサービスを作らなければならない」と考えるようになり、その結果生まれたのがロックオンマーケティングであり、ウォレットレスキューでもあります。
市場ニーズがあり、競合が少ない領域を見つけてサービス化する。
この考え方が現在の事業の軸になっています。
クリエイター支援への新たな挑戦
――現在ボトルネックとなっている課題などはお持ちですか。
五十嵐氏――独自性の高いサービスを持っているものの、それを効果的に展開するための販売ルートや業界ネットワークの拡大が今後も必要です。
特に不動産業界など特定業界に強い顧客基盤や人脈を持つ企業・個人との連携を求めており、自社サービスを既存のマーケティング支援へ組み込めるパートナーの開拓を重要視しています。
また、代理店網の拡充に加え、SNS運用やクリエイティブ制作を担う人材の確保も継続して行っています。

――今後、展開したい事業領域や展望についてお話いただけますか。
五十嵐氏――今後も、「誰もが活躍できる社会をつくる」ために活動していきたいです。
現在はデザイン専門学校で講師も務めており、ファッションやグラフィックを学ぶ学生たちにマーケティングを教えています。
実際、優れた才能を持っていても、発信や収益化が苦手なクリエイターは少なくありません。
また、素晴らしい才能や技術を持っていても、それだけでは食べていけず、夢や表現活動を諦めてしまうアーティストを数多く見てきました。
だから今後は、アーティストやクリエイターを支援する事業にも取り組みたいと考えています。
富裕層や投資家とのネットワーク、海外との接点も活かしながら、自己表現を続ける人たちを支援できる文化をつくり、それぞれの個性や才能が活かされる社会を実現したいですね。


















