【書評】雑談は相手が主人公、聞き役を意識すると関係良好に

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雑談をする時、つい向き合った相手より自分の方が多く話していることがありませんか。コミュニケーションを深め、相手との距離を縮めるには、話す相手を「主人公」と考え、ある「方程式」にのっとった質問をすることが有効なようです。「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子著「世界最高の雑談力」では、雑談が苦手な人もすぐに実践でき、仕事でも日常でも活用できる雑談のポイントを伝授しています。本書をナビゲートしてくださるのは、企業支援のエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏です。世界最高の雑談力 岡本純子
(東洋経済新報社)

本書の要約

世界のスーパーエリートは、話し相手を「いい気分にさせること」を優先したコミュニケーションを行なっています。
大切なのは、「質問→聞く→質問→聞く→時々自分の話をする」というサイクルを回し、相手に話してもらう時間を増やすことです。
相手の話を聞くことを心がけた雑談ができれば、「感情の共有」が可能となり、相手との距離を一気に縮めることができます。

話し相手を「いい気分にさせる」ことの意味

「あなたが好き」という気持ちは、「あなたといるときの私が好き」という意味だということです。その人といると、いい気分になれる。勇気や元気が出る、特別な気分になれる。その人が自分に与えてくれる力こそが、好意の源なのです。

著者の岡本純子氏は本書のなかで、これまで日米のスーパーエリートから学んだ雑談に関するスキルを惜しげもなく、私たちに伝えてくれています。

超一流のグローバルエグゼクティブの雑談・会話スタイルには、いくつかの共通点があります。
それは「その人と話しているときの私が好き=いい気持ちになれる」という気持ちで人に接することです。
つまり、彼らは、話し相手を「いい気分にさせること」を優先したコミュニケーションを行なうことで自身の好意を表し、自らの力の源泉としているのです。

雑談の時は相手が「主人公」

コミュニケーションにおいて大事なのは、「何を言うか」より「(相手を)どんな気分にさせるのか」。

私たちは「話すこと」ではなく、相手の話を上手に引き出すことをもっと意識すべきです。
雑談する際には、相手を主人公にして、目の前の人に話してもらう環境を整えるようにします。

自分のことを話すと「快楽ホルモン」分泌

ハーバード大学の神経学者が被験者の脳をMRlで調べたところ、自分のことを話すときには、食事やセックス、お金やドラッグを使うときなどと同様に、「快楽ホルモン」と呼ばれるドーパミンを分泌するシステムが活発化することがわかりました。

相手の話を傾聴することで、人間関係をより良くできるのですから、まずは相手が話したいと思えるようにする必要があります。
雑談で自分の好意を伝えるには、まず上手に質問をし、相手に話をしてもらいながら、自分の話を織り交ぜるようにします。

方程式は「『ど』×『5W1H』」×『3お』」

雑談においては、最初に「質問」をし、返ってくる話を聞くことで、相手に「いい気分」になってもらうことができます。
その質問は、「『ど』×『5W1H』」×『3お』」のコミュニケーション方程式を活用することで、会話が弾むようにすることだと著者は言います。

  1. んな〇〇が、好きですか?
  2. んな〇〇が、すすめですか?
  3. 〇〇について、う思いますか?
  4. うしたらいいと思いますか?
  5. 調子はうですか?
  6. この出身ですか?

4種類の質問を使い分けよう

気持ちの自己開示、つまり、気持ちや感情を共鳴し合うことによって、人間関係はいっきに深まるからです。この質問で相手の秘めた感情を引き出すことができれば、距離はぐんと縮まります。

ハーバード・ビジネス・スクールの研究によると、質問の種類は次の「4つのモード」に分けられるそうです。

  1. 「調子はどうですか?」「元気ですか?」などの「導入質問」
  2. 言われたことと同じ内容をオウム返しで聞く「聞き返し質問」
  3. 相手の答えをさらに深掘りする「フォローアップ質問」
  4. 話題を変える「ギアチェンジ質問」

質問の角度を変えてみると、今まで知らなかった相手の気持ちに気づくこともあって、共感し合い相手を身近に感じられることがあるのです。

自分の話は時々織り込む

「質問→聞く→質問→聞く→時々自分の話をする」というサイクルを回し、相手に話してもらう時間を増やしましょう。
自分が話す量を、話したい量の8割ぐらいに押しとどめる「話八分目」を目指すと、結果的に、話す量が「相手6:自分4」ぐらいになります。
そして、このサイクルを使った雑談によって「感情の共有」が可能となり、相手との距離を一気に縮められます。

感謝や褒め言葉で良い感情を伝える

大事なことは人を見ることだ。あなたのためにドアを開けてくれる人、あなたにコーヒーを注いでくれる人……。その存在を認め、敬意を表すことだ。(ビル・クリントン)

興味のベクトルの方向性を「自分」から「相手」へと転換し、会話の際には相手にフォーカスを向けるようにします。

  1. 「承認(みとめる)」
  2. 「共感(きょうかん)」
  3. 「賞賛(ほめる)」
  4. 「感謝(かんしゃ)」

の4つの心の動きを「ミカンほかんの方程式」として覚えておき、相手との会話で活用するようにしましょう。
感謝や褒め言葉を組み合わせることで、よい感情が相手に伝わるようになります。

相手の話す時間を増やし、感情をこめて、感謝の言葉を伝えたり、誉めたりすることで、相手から好かれるようになります。
「質問→聞く→質問→聞く→時々自分の話をする」というサイクルを上手に回して相手に会話の主人公になってもらい、良好な関係性を築くツールとして雑談を活用しましょう。

徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)

出典:起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!「世界最高の雑談力―『人生最強の武器』を手に入れる!『伝説の家庭教師』がこっそり教える一生、会話に困らない超簡単50のルール(岡本純子)の書評」

この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
iU 情報経営イノベーション専門職大学特任教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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