『あるちゅーる』で変わるコミュニケーションのかたち――人と人をつなぐ体験設計の挑戦

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あるちゅーる』は、お酒そのものとしてではなく、人と人とのコミュニケーションを生み出す体験型商品として注目を集めています。開発を手掛けた株式会社EPIC代表の谷口諒馬氏は、これまでシェアハウス事業や不動産事業、バナナジュース専門店など、多様な事業に挑戦し、「商品を消費すること以上に、その体験を楽しんでもらう」という発想を共通軸にする起業家です。発売から約1年半で100万本規模の展開が見込まれる『あるちゅーる』は、ガールズバーやキャバクラなどを中心に導入が進み、新たなコミュニケーションツールとして存在感を高めています。谷口氏が描く人と人とのつながりを生み出す新しい体験価値の創造について、詳しく伺いました。

大事なのは体験を楽しむこと!違和感から始まった商品開発

Z-EN――現在事業の中心である『あるちゅーる』は、どのような発想から生まれた商品なのでしょうか。

谷口諒馬氏(以下、谷口氏)――きっかけは、みんなで乾杯して盛り上がる、テキーラなどのショット文化でした。
僕自身あまりテキーラが好きではなかったので、空気的に飲まないといけない雰囲気に違和感があったんですね。

だから、お酒そのものではなく、体験で盛り上がれる商品があってもいいんじゃないかと思ったんです。
食べさせ合ったり、会話が生まれたりする仕掛けがあれば、今までとは違う楽しみ方ができる。
その発想から生まれたのが『あるちゅーる』です。

――商品化するまでにはどのような試行錯誤があったのでしょうか。

谷口氏――最初は、今とは全く違う形を試行錯誤していました。
ただ、新しい型を作るのはハードルが高く、日本中の工場に問い合わせても実現が難しいという回答ばかりでした。
そこで既存のパウチ型ゼリーを活用できないかと考え、現在のスティック型にたどり着きました。

また、単なるアルコール商品ではなく、お酒が苦手な人でも参加しやすいものにしたかったので、苦味を抑えたり、コラーゲンやプラセンタを配合したりと改良を重ね、女性にも受け入れてもらいやすい商品になりました。

ビジネスの原点は、「体験を売る」という一貫した発想力

――これまで谷口さんがどのようなことをされて来たのか、ご経歴について教えてください。

谷口氏――24歳頃から約7年間、シェアハウス事業を運営していました。
当時はまだシェアハウスへの認識が今ほど一般的ではなかったので珍しく、新しいものが好きな自分には非常に合っていました。

その後、不動産関連事業を経て、次に取り組んだのがバナナジュース専門店です。
ただのバナナジュースでは面白くないので、パウチの中に丸ごとのバナナを入れ、お客様自身が叩いて潰して完成させる商品を作りました。
飲むだけではなく、「作る体験」を提供したかったんです。

話題性としてよかったみたいで、多くのメディアで取り上げていただきました。
コロナ禍ということもあり、自宅で楽しめる体験型商品として通販でも広がりましたね。
その経験から通販ビジネスの可能性を感じ、「もっと通販向きの商品を作れないか」と考えて誕生したのが『あるちゅーる』です。

――様々な事業に携われてきた谷口さんが、事業を続けるうえで大切にしていることは何ですか。

谷口氏――僕は昔から、人から言われたことをそのままやるのが苦手なんです。
失敗するかどうかよりも、人に言われてやる方が後悔するから、「自分で考えて、自分で決める」ということを大事にしています。

そして、お金を稼ぐこと以上に、自分のアイデアが形になっていくことに楽しさを感じますね。
と同時に、自分にできることとできないことを客観的に把握することも重要だと思っていて、商品開発以外の不得意な分野は、信頼できる人に任せています。

会話を生み出すコミュニケーションツール『あるちゅーる』

――ご経歴のなかでも斬新ともとれる『あるちゅーる』は、どのような価値を提供しているのでしょうか。

谷口氏――『あるちゅーる』は、お酒ではなく「コミュニケーション」を提供する商品だと思っています。

例えばバーでは、お客様同士が食べさせ合ったり、リアクションを楽しんだりして自然と会話が生まれます。
普通なら乾杯して終わるところが、『あるちゅーる』だと5分、10分と会話が続くんです。

ガールズバーやキャバクラでは、キャストがお客様との会話を広げるきっかけとして活用されています。
「これ一緒にやってみませんか」と提案できるので、お客様が推しのキャストに購入する理由にもなります。

また、シャンパンのように数万円の予算が必要な商品と違い、比較的参加しやすい価格帯なので、多くのお客様に楽しんでもらいやすいという特徴もあります。
結果として「売上向上につながった」という声も多くいただいています。

前例のない市場を自ら切り拓く

――販売開始後はどのように販路を広げていったのでしょうか。

谷口氏――まず製品化のタイミングで『令和の虎』に出演しました。
その後は、ガールズバーやキャバクラなど、夜のお店とのネットワークを持つ企業へ代理店提案を行いました。
求人広告会社など、すでに店舗との接点を持っている会社経由で紹介いただくことで導入が進んでいきました。

現在は自社経由だけでも3,000店舗以上に導入されています。
さらに酒販店経由の流通もあるため、実際にはそれ以上の店舗で取り扱われ、販売本数も発売から約1年半で100万本を超える見込みです。

――事業を進める中で最も苦労したことは何でしたか。

谷口氏――一番大変だったのは製造先探しです。
当時、日本にはアルコール入りゼリーを製造できる会社がほとんどありませんでした。
本当に片っ端から電話しましたね。

その中で1社だけ「面白そうですね」と興味を持ってくださる会社がありました。
そこから試作を重ねて商品化したのですが、最初の問い合わせから完成まで約2年かかっています。
先が見えない期間も長かったですが、自分のアイデアが少しずつ形になっていく過程は楽しかったです。

ブランド体験を広げる次なる挑戦

――現在感じている課題はありますか。

谷口氏――『あるちゅーる』は前例のない商品なので、周辺の仕組みもすべて自分たちで作らなければなりません。

例えばテキーラには観覧車やタワーなどの演出ツールがありますが、『あるちゅーる』にはそういった文化がまだありません。
そのため、陳列什器や演出ツールも一から開発しています。
現在はフォトフレームのようなスタンド型ディスプレイなども試作していますが、見せ方や使い方も含めて最適解を探している段階です。

――今後の事業展開について教えてください。

谷口氏――まずは店舗導入をさらに増やしていくこと。
次に既存店舗で継続利用していただくこと。
そして将来的には小売展開を拡大することです。

ただ、いきなり小売を広げるつもりはありません。
先に夜のお店で『あるちゅーる』の体験価値を浸透させ、その価値を理解してもらった上で一般販売へ広げていきたいと考えています。
現在は通販での販売のほか、池袋西口のドン・キホーテで試験販売も行っています。

また将来的には、お酒という枠を超えてコミュニケーションツールとしての価値を広げていきたいと思っています。
例えばマッチングバーやイベントスペース、ゲーム要素を取り入れた空間づくりなども構想しています。

『あるちゅーる』をきっかけに人と人がつながり、写真や動画がSNSで自然に拡散されるような場所が作れたら面白いですね。
今後も商品改良や新しい企画を進めながら、より多くの方に楽しんでいただけるブランドへ育てていきたいと思っています。

谷口諒馬
株式会社EPIC 代表取締役

投稿者プロフィール
1999年生まれ。大学在学中に起業し、マーケティング支援や複数の事業立ち上げを経験。
事業開発やブランド運営に携わる中で、「お酒をもっと自由に楽しめる形にできないか」という発想から、日本初のスティック型アルコールゼリー「あるちゅーる」の開発に着手した。
2024年に株式会社EPICを設立。ショット文化を手軽に楽しめる新しい飲酒体験の創出を目指し、クラウドファンディングやSNSを活用しながらブランドを展開している。
従来のアルコール商品の枠にとらわれない企画力と発信力を強みに、若年層を中心とした新たな市場開拓に取り組むほか、イベントやプロモーションを通じてアルコールカルチャーの可能性を広げている。

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