フリーランス法違反が続々発覚!次なる標的はゲーム・声優・漫画業界か?

  • 2025/6/27

フリーランス法違反の摘発が加速しています。公正取引委員会による勧告は、小学館、光文社、島村楽器と続き、業界に激震が走りました。多くのフリーランスが報酬未払いや支払期日不明に苦しみ、経営者側も自社の取引に戦々恐々としています。この記事では、具体的な違反事例を深掘りし、ゲーム開発・声優・漫画業界が次に狙われる可能性を分析します。経営者が回避すべき落とし穴を徹底解説しますので、フリーランス法の違反事例が気になる方にも明日から使える実践知をお届けします。

フリーランス法の基本と違反の核心

フリーランス法(フリーランス保護法・特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランス(個人事業主やひとり社長)への不当な取引を防ぐための法律です。違反の核心のひとつが、報酬の不透明さや、支払期日の遅延にあります。公正取引委員会は、取引条件を文書で明示せず口約束に頼る行為を重大な違反と位置づけています。小学館や光文社の事例では報酬額や支払期日を示さない発注が常態化し、フリーランスが80日以上も待たされるケースがありました。島村楽器では、無料体験レッスンの強要が問題視され、経済的利益の不当搾取が認定されています。

フリーランス法の事例から見る違反のパターン

小学館と光文社~出版業界の闇

小学館と光文社の違反事例では、フリーランスライターやカメラマンへの口頭発注が横行していました。公正取引委員会の調査によれば、報酬額や支払期日をメールや文書で明示せず、雑誌の刊行日を基準に支払いを遅らせていたのです。成果物の納品から80日以上も報酬が支払われないケースが散見され、フリーランスの資金繰りを圧迫していました。両社は業界慣行を理由にしていましたが、公取委は「弱い立場のフリーランスを利用する悪質な行為」と断じています。

島村楽器~音楽業界の盲点

島村楽器の事例では、フリーランス講師に「無料体験レッスンを無償で強要」した点が違反とされました。講師たちは「通常業務と同じ労働が無報酬なのはおかしい」と訴えています。さらに報酬の額や支払期日を文書で示さず、支払い自体が遅れるケースが97件も確認されたと言います。公取委は「社内マニュアルがあっても現場への周知不足」と指摘し、業界トップ企業の意識の甘さを批判しています。島村楽器の廣瀬利明社長は今後どのように対応をしていくのでしょうか。

氷山の一角

小学館、光文社や島村楽器のフリーランス法違反に関して反応するSNS上の声から見えるのは、違反が出版・音楽業界だけではないことです。塾講師からは「雇用前の模擬授業を無償でさせられた」との証言もありますし、音楽学校では「2時間拘束で報酬未払い」の事例も報告されています。これらの声は教育・イベント業界で同様の違反が蔓延している可能性を示唆しています。

次に狙われる業界は、発注元が大手で受注側はフリーランスという構造ではないか

ゲーム業界~クリエイター搾取の温床

開発期間中の無償修正やクレジット不記載などもが横行するゲーム業界は、公正取引委員会の監視リスト上位に浮上していると考えられます。大手ゲームメーカーがフリーランスのプログラマーやデザイナーに発注する際、「納品後の修正は無償」「報酬支払いは売上連動」といった不明確な条件がまかり通っている現実があると聞きます。SNSでは「3ヶ月分の報酬が未払いのままプロジェクトが終了した」という声もあり、公取委が注目するような報酬の不透明性、支払期日遅延の典型例といえるでしょう。おそらくフリーランス当事者から公正取引委員会への通報も実施されていることでしょう。

声優業界~ギャランティ未払いの闇

アニメ・ゲーム業界で働くフリーランス声優の、後日修正の無償強要や、ギャランティーの一部未払いも潜在的な違反事例として聞く問題です。例えば問題なのは、発注元の制作会社が「再録音は最初の契約範囲内」と主張し追加報酬を支払わないようなケースです。声優事務所を介さない個人事業主ほど立場が弱く、「クライアントから支払期日を教えてもらえない」という構造的な問題を抱えています。

漫画業界~出版社に続く二次被害リスク

小学館の摘発で表面化した出版業界の違反は、漫画制作の下流工程に連鎖する可能性が高いです。出版社から発注を受けるフリーランスの背景画家やアシスタントは、「ページ単価の不明示」「作画修正の無償化」に悩まされていると聞き及びます。ある漫画家アシスタントは「連載終了後に未払い報酬が判明したが、出版社は『制作会社との契約問題』として取り合わなかった」と語っています。このような多重請負構造こそ公取委が警戒する違反の温床です。

フリーランスが直面する現実

違反事例の背景には、フリーランスの立場の弱さがあります。島村楽器の講師のように「報酬の明示を求めても無視された」という声は典型例です。支払期日が不明確だと生活設計が立てられず不安が増幅します。また無償労働の強要はスキル搾取に直結し、経済的損失だけでなくモチベーションの低下を招きます。フリーランス法はこうした不利益を防ぐ盾ですが、実態が守られない限り法律の意味が失われてしまうのです。

経営者が今すぐ取るべき対策

取引条件の見える化が最優先

ではフリーランス法に違反しないために、発注元の経営者がおこなうべきことはなんでしょうか。まずすべきは、報酬額や支払期日を必ず文書で明示することです。口頭のみの発注は違反です。メールや契約書での記録が不可欠となります。支払期日は「業務終了日から30日以内」など明確に設定し、遅延がないよう内部プロセスを整備しましょう。

無償労働の排除と意識改革

さらに、無料サービスの強要は即座に中止すべきです。島村楽器の事例のように無料体験レッスンもフリーランスへの対価が必須となります。社内では管理職向け研修を実施し、フリーランス法の義務を周知しましょう。トップダウンでコンプライアンス優先の文化を作ることが肝心です。
なお、フリーランス法に違反しているとフリーランスに思われてしまうと、フリーランスは簡単にオンラインでその内容を申しできることができます。この記事では公正取引委員会について触れましたが、内容によっては厚生労働省に申出をすることもできます。
自分がフリーランスであり、公正取引委員会や厚生労働省に申出をしたいという場合には、ぜひオンラインの窓口から申出をしましょう。郵送でも受け付けてくれます。下請法などでは申出のハードルがありましたが、フリーランス法ではこの点が現代にあわせてくれています。また、フリーランス・トラブル110番というサイトもあり、ここではフリーランスでのトラブルについて弁護士がサポートしてくれます。こちらは厚生労働省から第二東京弁護士会が受託して運営しています。

業界団体との連携

出版業界では公取委が業界団体に法令順守を要請しました。自社だけでなく業界全体でガイドラインを策定し、ベストプラクティスを共有するのが効果的です。これにより違反が業界慣行と誤解されるリスクを減らせます。

公正取引委員会の強化監視が狙う業界の死角

公取委は、「大手企業が発注元でフリーランスが末端受注者」という構図の業界を重点調査対象にするのではないかと考えられます。ゲーム・声優・漫画業界に加え、広告モデル業界(タレント事務所との取引)やIT開発(下請け孫請け構造)もリスクが高いでしょう。公取委はすでに、長時間の無償試演を強いる会社や、納品後3ヶ月以上報酬を滞留させる会社等に実態調査を開始していると言われています。

まとめ

フリーランス法違反の事例は、業界の闇の商慣行を次々に暴いています。小学館、光文社、島村楽器の摘発は序章に過ぎず、ゲーム・声優・漫画業界が次の標的となる可能性が極めて高いと考えています。フリーランスの方は報酬や支払期日が不明確な取引を拒否し、公正取引委員会への通報をためらわないでください。経営者の方は「うちは大手だから」という安心感こそが最大の落とし穴だと認識すべきです。取引条件の文書化と無償労働の排除を即時実施し、業界全体でコンプライアンス体制を強化しましょう。公正な取引が広がることで、クリエイターの持続可能な働き方が実現するのです。

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