盆栽×NFTで日本の伝統文化を守り、世界中にファンを増やす!

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日本が誇る伝統芸術「盆栽=BONSAI」。インバウンドの復活と共に海外愛好者は増し、その造形美や佇まいを若者たちがファッションとして捉える動きも出てきています。2022年にインタビューさせていただいた愛知県岡崎市の老舗盆栽園「大樹園」4代目の鈴木卓也さんは、89年続く歴史ある盆栽園の技術と伝統を承継し、背負っていく立場として、盆栽NFTや異業種とのコラボレーションなど次世代の盆栽の在り方をけん引しています。盆栽愛好家の新たな層を獲得するために、盆栽の魅力と価値を向上したいと願う鈴木さんが打ち出す様々な挑戦から目が離せません。

盆栽×NFTという取り組み

Z-EN――今回は前回インタビューの続編ということで、構想段階だった盆栽NFTのその後について、また、昭和9年から続く名園「盆栽 大樹園」の4代目として、業界に旋風を巻き起こす数々の新しい試みについて伺います!リアルとデジタルを融合させた盆栽NFTはその後いかがでしょうか。

鈴木卓也氏(以下、鈴木氏)――はい。多大な予算を必要とする取り組みのため、実現のために事業再構築補助金の活用も行いながら、1年以上にわたる準備を経て、ようやく日の目を見る段階となりました。
盆栽の所有権NFTマーケットプレイス「BON voyage」として正式にローンチ時期が決定したところです。

BON voyageとは?

――それは、おめでとうございます!!素晴らしいです!BON Voyageについて詳しくお話いただけますか?

鈴木氏ーーBON voyage」は、世界中の盆栽NFTを売買する場を提供し、決済管理を行うNFTマーケットプレイスです。
ローンチ後は、どなたでもご覧いただけます。

これまで、盆栽の流通はごく限られた市場で行われるのみで、高価な銘木の価格は、盆栽園と愛好家の昔ながらの「あうん」で決められるケースが多く、高価な盆栽になればなるほど昨今の買い手探しに困難を極めていました。
BON voyage」は、盆栽にしっかりとした基準を設け、その事実に基づいた適正価格で売買できる取引所として、盆栽園と購入希望者を繋ぎ、契約締結後にも購入者が安心して盆栽を所有できる仕組みを提供しています。

「BON Voyage」資料より

――盆栽NFTの購入者は、その盆栽そのものの所有権も保有できるのですね。

鈴木氏ーーそのとおりです。購入者は、リアルとデジタルの両方を楽しむことができます!
その他の権利として、もちろんNFTですから盆栽のデジタルデータ、そしてそのデータを使った二次的な商用利用も可能にしています。
盆栽NFTを所有する人同士の専用コミュニティや、様々な優待サービスも用意する計画です。

所有する盆栽を「BON voyage」のギャラリーから鑑賞したり、盆栽を管理している盆栽園まで現物を見に行ったり、滞在先のホテルやレストランに飾りつけ、ともに過ごす楽しみも享受いただけます。

――盆栽は管理が難しいイメージがありますが…

鈴木氏ーーたしかに、日々の管理が要になりますが、そこは、盆栽の生育管理に熟知した盆栽園が行うので安心してください。
管理するなかで生育の記録を取り、購入者がその様子を確認できるようデータを提供し、資産としての盆栽の保全を行います。
管理体制がしっかりしているからこそ、世界中の方が安心して購入できるシステムだと言えます。

購入者は、盆栽師のもとで管理され記録される盆栽の様子を日々確認しながら、将来的なビジョンを共有したり、完成のイメージに向けて美しく整姿してもらったりして、盆栽を作り上げる醍醐味を味わうことができるのです。
もちろん、将来的にはリセールすることもできる仕組みです。
盆栽は生き物ですから万が一に備え、所有者と盆栽園の間で規約を設けて、お互いが納得できる仕組みをご用意いたします。

BON voyage」は、日本の盆栽を守り、日本の伝統と技術を承継していくための世界を実現するためのものです。
日本の銘木と盆栽師の技術あってこその盆栽なのですから。

「BON Voyage」資料より

ーー盆栽のNFTに、老舗の大樹園が参入する理由はなんだったのでしょうか。

鈴木氏ーー大樹園は名門盆栽園として代々技術承継し、多くの銘木と職人を育ててきたという土台があります。
前回のインタビューでもお話しましたが、日本の盆栽業界は愛好家の著しい高齢化によって市場が落ち込み、高価な盆栽ほど買い手を見つけることが難しいのが現状です。
納得のいかない価格でも投げ売るしかなくなった場合、オークションでの日本の業者は買い負けることが多く、長年大切に育ててきた盆栽が海外に流出してしまうのです。

インバウンドの復活ととも注目度は高まり世界市場が大きくなる一方で、国内で守られてきた素晴らしい銘木が消え、盆栽職人の仕事は減っています。
この窮地を脱して国内市場を盛り返し、日本の盆栽業界を以前のように活気づけたい。
老舗盆栽園がやるNFTや他業界とのコラボレーションだからこそ、新鮮で説得力のあるものになると信じ、果敢に挑戦していこうと思っています。

――老舗だからこそ、業界を守っていくための新しい施策を次々と打ち出せるというわけですね。実際のマーケットへの参入は、どういった方々を想定されていますか。

鈴木氏――一番大事なことは、「日本の盆栽を守る」こと
盆栽を取り巻く環境を変えて、今まで盆栽に興味のなかった若い世代にも興味をもってもらおうとするのが狙いです。

老舗だからといってこれまでのやり方に固執し変わりゆく時代の中で現状維持をよしとしていると、多様化する人々の需要とテクノロジーの進化においていかれ、気がつけば維持どころか衰退していたなんてことになってしまいます。
売り方や見せ方、コラボレーション、マーケティングについて試行錯誤を重ね、伝統や真髄を知る立場だからこそできるNFTを打ち出していきたい

盆栽発祥の地である日本が、客観的で妥当と思える盆栽の世界基準になるものをつくらないといけないと思っています。
不透明さが払しょくされ、流通が高まることで、まだ盆栽の認知が進んでいない地域、例えばアフリカや中東などでもネットを介して盆栽のことを知り買ってもらえる機会が生まれると思うとワクワクします。
新しく知り得た人が盆栽をきっかけに訪日してくれたらいいですね。

▶「BON voyage」から盆栽を鑑賞し身近に感じられたら、盆栽ファンが世界中に増えていくでしょうね。楽しみです!次のページでは、盆栽をNFT商品化することの意義について、購入者と盆栽園、両側面からお聞きします。

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鈴木卓也
盆栽 大樹園 4代目園主

投稿者プロフィール
1932年開園の老舗盆栽園「大樹園」の4代目。
大学で建築工学を学んだ後、地元の建築ディベロッパーでの営業職や、イタリアンレストランでの調理・接客、従業員管理等の職に従事。
2011年、妻の実家の大樹園に婿入り。結婚3年目に後を継ぐことを決意。大樹園の2番弟子である鳥栖昭緑園の久保田政充に師事した後、大樹園に戻り、義父である鈴木亨より盆栽を学ぶ。
国内外の盆栽展での受賞実績多数。盆栽業界への問題提起や企画立案、他業種とのコラボレーションなど、独自の視点で活動範囲を広げ、盆栽業界を引っ張る存在と目される。

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