お坊さんになるには?

  • 2025/4/11

近年、「お坊さんになるにはどのような道があるのか?」と関心を持つ方が急増しています。仏教への精神的憧憬から始まる場合もあれば、社会人としての経験を経て「人の役に立つ仕事がしたい」と考える中高年の方まで、その動機は多様化しています。本記事では、伝統的な修行体系から現代的な大学ルートまで、主要宗派の特徴を比較しながらお坊さんのなり方を詳細に解説。さらに、お坊さんになりたいという子供の進路に悩む親御さんが知っておくべき収入実態やライフスタイル、IT時代の僧侶の新しい役割まで、具体的なデータを交えてお伝えします。お坊さんや僧侶という生き方が単なる職業選択ではなく「人生の変容」を意味することを、現代的な視点で紐解いていきましょう。

お坊さんになる主な3つの道筋

伝統的な寺院弟子制度の実態

お坊さんになるために寺院に住み込みながら修行を積む伝統的な方法は、今日でも多くの宗派で主流となっています。特に曹洞宗の場合、得度式や出家式を経て「雲水」として数年間の厳格な修行生活が始まります。具体的な日課は朝4時前起床から始まり、作務(寺院の掃除や炊事)、坐禅、読経に加え、近隣住民への托鉢行が含まれます。しかし近年では地域差が顕著で、都市部の寺院では托鉢行を廃止し代わりに地域ボランティア活動を取り入れるような例もあります。浄土真宗本願寺派の勧学制度といったものもありますが、伝統と現代化のバランスが課題となっています。

仏教系大学を経る現代的なルート

お坊さんになるために龍谷大学(浄土真宗本願寺派)や佛教大学(浄土宗)、立正大学(日蓮宗)など、仏教系大学の僧侶養成課程に入学するという方法は、若者から社会人まで幅広い層に選択されています。これらの大学では通常4年間で仏教学の理論と各宗派の教義を体系的に学び、卒業時に初級僧階といたものを取得可能です。日蓮宗系の大学では教師資格取得を目指す専門カリキュラムも特徴で、法華経の解釈学や声明(しょうみょう)の実技指導にも重点が置かれます。特に注目すべきは社会人入学制度で、佛教大学によると、30代後半からの入学者が近年増加しているそうです。元教師が法話の技術を活かしたり、ITエンジニアがデジタル法要システムを開発するなど、第二の人生としての選択肢が広がる可能性があります。

社会人からの転身が可能なお坊さんの中途採用制度

各宗派では、社会人経験者向けの柔軟な研修プログラムが拡充されています。社会人僧侶養成講座のようなものでは、月1回程度の集中合宿を2年間継続することで得度を認める画期的な制度を構築しています。受講者の多くが元会社員等とのことです。それによって、例えば元SEが寺院のデジタルアーカイブを構築したり、元コンサルタントが経営改善プランを提案するなど、民間企業での経験を仏事に活用する事例もあるとのことです。ただし、これらのお坊さん中途採用制度を採用する寺院はまだ全体の少しだけに留まり、伝統派との軋轢も少なくないのが現実です。

女性がお坊さんになる際の注意点

仏教界のジェンダー平等は徐々に進展しつつあります。天台宗でも史上初の女性僧正が誕生し、浄土真宗大谷派は女性住職育成のために取組をおこなっています。しかし依然として制約が残る宗派も存在し、特に密教系の一部派閥では女性の得度を認めていないところもあります。お坊さんになりたいという志望者が注意すべきは、同じ宗派内でも地域や寺院によって方針が異なる場合がある点です。実際に浄土宗の某寺院では女性住職が活躍する一方、別の支部寺院では補助的役割に限定されるといった格差が報告されています。

現実的な準備と心構え

経済面の不安を解消する方法

「お坊さん=収入不安定」という固定観念は現代では当てはまりません。収入源は檀家からのお布施、墓地管理料、法要謝礼、写経教室や坐禅会などの事業収入などで構成されます。都市部の先進寺院では、駐車場経営や貸しホール運営(法要以外のイベント開催)など多角化が進み、中にはYouTubeチャンネルの広告収入を得る若手僧侶もいるという話です。ただし地方の過疎地域では檀家減少に伴い収入が200万円を切る事例もあり、地域経済の実態調査が不可欠です。

人間関係の築き方とネットワーク

新米僧侶・お坊さんが最初に直面する壁は、地域社会との信頼構築です。効果的な対策として、青年僧侶が主催する互助ネットワークへの参加が挙げられます。このような組織では法要人手不足時の応援システムや、SNS活用講座、現代的な法話テクニック研修などを実施していると言います。SNSを活用した布教活動で、#お坊さんあるある タグの動画再生を目指したりもしているとのことです。お寺に限らずキリスト教の教会でも同様の事例が存在しますが、どの宗教でも、寺院や教会の参拝者数を増加させた実例があります。

家族が反対した場合の対処法

お坊さんになりたいと思っても、親世代に反対されることもあります。親世代の理解を得るためには、具体的なデータ提示と体験機会の提供が有効です。社会人からの転職希望者向けには、週末修行プログラムを提供する寺院もあると言います。実際に参加した元銀行員(38歳)は「平日は仕事を続けながら、土曜日や日曜日に読経指導を受けることで現実的な転身準備ができた」と語っています。

現代におけるお坊さんの役割変化

デジタル化の波は仏教界にも大きな変革をもたらしています。オンライン法要の需要はコロナ禍以降に急増し、IT機器操作スキルは必須能力となりました。ある真言宗の寺院では、VR(仮想現実)技術を使った「バーチャル参拝」システムを導入し、海外在住者からの依頼も増加しているとのこと。さらに企業との連携が新たな潮流で、シリコンバレーのIT企業が導入した「マインドフルネス研修」では、某寺院の僧侶が講師を務めています。伝統的な仏事に加え、AI時代の心のケアや企業倫理教育など、社会が求める役割が急速に多様化している現実があります。

まとめ

お坊さんになる道のりは宗派によって異なりますが、現代では従来にない多様な選択肢が開かれています。18歳で寺院入りする伝統ルート、社会人経験を活かす中途採用制度、大学で理論を深めるなど、それぞれに適性と準備が必要です。重要なのは、単に「職業」としてではなく、自らの生き方を根本から見つめ直す覚悟を持つこと。まずは近隣の寺院で開催される「一日体験修行」に参加し、坐禅や作業を体感してみましょう。仏教系大学のオープンキャンパスや社会人向け説明会も増加中です。ITと伝統が融合する新時代の仏教界で、あなただけの使命を見出す旅が始まります。

 

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