経営者の突然の逝去にも慌てない備えを
- 2021/3/22
- インタビュー
目次
緊急事業承継訓練の提案
――緊急事業承継対策で、面白い取り組みを提案されていると聞きました。
伊勢田氏――「緊急事業承継訓練」ですね。
どなたでも小学校などで、定期的に地震や火事を想定した防災訓練をやった記憶があると思います。
この防災訓練の目的は、地震や火事といった「万が一」の際に、しっかりと対処することができるよう心身ともに準備しておくことです。
緊急事業承継訓練は、その「中小企業版」です。
具体的には、経営者の突然死といった「万が一」の際にしっかりと対処することができるように、さまざまな場面を想定して訓練します。
例えば、役員らを集めて、「今朝、社長が亡くなった」という一報が入ったことを想定し、緊急会議をロールプレイング形式で執り行うことです。
このような会議で事前に、経営者が突然死したときの問題点をリストアップすることができれば、あとは、その問題を1つずつ解決していくだけです。
経営者の皆さんの中には、不謹慎だ!と不快に感じる方もいるかもしれませんが、現実に即した訓練を行うことで、参加した役職者に危機意識をもってもらうことができ、従業員の意識をも変化させることができたという事例もあります。
是非、多くの中小企業にて、取り組んでいただきたいですね。
「緊急事業承継ガイドブック 社長が突然死んだら?」を刊行
――3月17日に著書「緊急事業承継ガイドブック 社長が突然死んだら?」をご出版されたとのこと、おめでとうございます! 緊急事業承継ガイドブックということは、緊急事業承継対策に関する内容となっているのでしょうか?
伊勢田氏――ありがとうございます。
本書は、中小企業経営者の皆さんに、「自分が突然死んだら、会社は最悪どうなるのか」というワーストケースを体験してもらい、「事業承継対策」を真剣に考えるきっかけを作ってもらうことを目的に執筆したものです。
タイトルどおり、中小企業の経営者が突然亡くなった場合に起こりうる、亡くなった当日の対応から、資金繰り、後継者選び、社葬、相続、M&A等の問題点について、ストーリーとともに解説しています。
また、先程の「緊急事業承継訓練」の手法についても触れていますので、是非、手にとっていただけたらと思います。
緊急事業承継対策に役立つ”情報と測定ツール”を公開
――とても面白そうな本ですね。読むのが楽しみです。そういえば、本書の出版を機に、サイトを立ち上げられたそうですが。
伊勢田氏――経営者突然死に関わる対策などの情報発信のため、「社長の突然死.com」というウェブサイトを立ち上げました。
まだ、試作版ではありますが、その中で、「緊急事業承継レビュー」というツールを公開しています。
「緊急事業承継レビュー」は、経営者突然死時における会社への影響度合いを測定するツールですので、是非、一度体験して頂けたらと思います。
緊急事業承継認証モデルの構築を準備中!
――今後あらたに展開を考えていらっしゃるビジネスはありますか?
伊勢田氏――緊急事業承継監査協会では、今後、緊急事業承継に関わる認証モデルを構築していきたいと考えています。
中小企業における緊急事業承継対策を外部から評価する仕組みを構築することで、事業承継対策を進めるメリットを目に見える形で提供し、日本の中小企業の事業承継対策を後押しできればと思います。
――本日はありがとうございました。