ママの力で世界を変える! リモートワーク特化型BPOで働き方イノベーション
- 2024/4/17
- インタビュー
Mamasan&Company株式会社(以下、Mamasan&Company)は、業務プロセスの可視化とリモートワーク特化型環境で、世界中のママさんワーカーの活躍を支援するBPO※1企業です。ママさんワーカーのポテンシャルを最大限に引き出し、社会貢献と企業成長を両立させるリモートワーク特化型BPOによる新たな働き方の可能性について、代表の田中茂樹氏にお話を伺いました。リモートワークを通じ、働き方の柔軟性と効率性を高めるMamasan&Companyの未来像についても語ってくださいます。
※1 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業の業務プロセスを一括して外部に委託するアウトソーシングの一種。企画・設計から運用までトータルに外注するため、コア事業に人的リソースや資金を集中させられるなど、業務フローの最適化や競合優位性の向上が期待できる。
目次
「IT×ママさん」という新しい働き方への提案
Z-EN――子育てなどの家庭の事情でフルでは働くことができない「ママさんワーカー」の眠れる能力を、リモートワークによる時短勤務で企業の成長や業績アップに生かす。そのような仕組みづくりを御社は実践されていますが、それを事業の柱としたきっかけについてお聞かせください。
田中茂樹氏(以下、田中氏)――2008年に弊社はスタートしていますが、在宅のママさんにこだわったのは、バックオフィスや営業部門のカスタマーサポート、開発等も含めて、いわゆるパソコンを使ってやる情報処理の業務は、正社員が1日中やるべき仕事なのだろうか…という疑問を長年抱えてきたことが発端になっています。
もっと楽に考えれば、 通常やっているいわゆるホワイトカラーの仕事も全く別のスタンスでできるはずだという非常に強い思いがあったんです。
――その思いを実際に事業として始められる際には、どのように仕組み化していったのでしょう。
田中氏――今の事業をスタートした当時、たまたま友人の会社で、業績が上がらずリストラしなければいけないという話を聞いたときに、当然ながら営業部門よりも事務ワークの部門がリストラ対象になるので、もっと人件費をかけない方法を考えて劇的に構造を変えればいいのではないかと気付いたんです。
それを実現させたいと思いましたが、やはり各部門でそれぞれ活躍してきたメンバー、特にバックオフィスには女性が多い。
そして、その人たちの多くは今、家で子育てをしている。
だから、やる気のある人たちを集めて、今オフィスで働いているワークスタイルと全く違う、生産性の高い形にやり方を転換できないかと。
要は、今、子育てのために家にいる人たちの元々持っている潜在的な能力ややる気といったものを、生産活動にシフトさせたかったんです。
業務プロセス可視化による作業効率とサービスの向上
しかし実際、始めてみて困ったのが、彼女たちは時短でしか働けないし、子育て中でアクシデントも多く、非常に働きづらい環境にいる。
だから、その当てにならない状況を当てにできる環境にするためにやり出したのが、業務プロセス可視化です。
いつ、誰が、何を使って何をするか。
これを誰が見ても理解できるようにしっかり可視化しよう!
このプロセスの構築を創業当時からやりました。
――業務プロセスを可視化することがカギとなったのですね。では、制約の多いママさんたちを取り込み働く意欲を高めるための具体的な仕掛けを教えてください。
田中氏――ママさんが自らをアップデートし変化に適応できるように業務を可視化し、各作業の流れを明らかにして、コストポイントを明確にすることがまず重要だと思いました。
それぞれの詳細なマニュアルを作成し研修プログラムを充実させることによって、先輩や同僚に聞きながら作業するといった手順をなくし、人に頼らなくてもナレッジを積み上げ基本の作業ができる、今日いきなり参加した人でも業務に支障が出ないような仕組みを作り出しました。
もう1つは、プロセスの可視化をフローチャートにすることによって、 どんな作業が発生するかが明確になるということです。
メールを送る、下書きを保存する、伝票を打つといった各作業の最小単位、 作業コストを評価することができます。
現在、4000IDぐらいの作業コストは システムに登録されていて、それをクリックするという仕組みです。
潜在的意欲を引き出すチーム力
――「可視化すること」のメリットがよく分かるお話ですね。実際、社員も含め、ママさんたちの働くことに対する意識や反応はいかがなのでしょう。
田中氏――弊社で一緒に働いてくれるメンバーは、実は社会活動に参加したかったとか、やっぱりバリバリ働きたかったというニーズを潜在的に持っていたようで、それと偶然にも合致したという感じを受けます。
最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作ってくれているのは、まさにママさん自身なんです。
例えば、チャットシステムを活用し、COSMOS※2の長である「ボスママ」が積極的なコミュニケーションを図る仕掛け作りもプログラムの1つに組み込んでいます。
10年やってみて、弊社で働いてくれている人たちはとても能力が高く、自らアップデートする力を備えたメンバーが楽しんで仕事をしているというのを感じますね。
※2 お客様と直接やり取りする「オペレーションチーム」とは別に、業務とは離れて、仕事の基本や経済活動の中にいることをママさんたちに浸透させる仕組みを組織化したのが「COSMOS」
さまざまな組織での経験が今を作る!
――御社の業務プロセス可視化にママさんの力が大きく寄与していることがよくわかりました。田中さんご自身も多彩な経歴をお持ちだと伺っていて興味深いのですが、詳しく聞かせていただけますか。
田中氏――僕は子供の頃から、水泳やテニスなどスポーツばかりをやっていて、中学で卓球を始めて高校はスポーツ特待生で入学しました。
その後、大学もスポーツ特待で進むという道があったんですが、このままずっと卓球だけやっていていいのかという危機も感じていたので、大学進学を直前で辞めて専門学校に入学し、簿記や会計について詳しく学びました。
その後、就職した会計事務所を半年ほどで辞め、地元の千葉県でスーパーマーケットの 展開をしている会社に入社し、経理部門に配属されました。
その会社では、M&Aも含めた事業展開を行っていて、店舗を増やし電子的な取引をチェーンストア化する中で広げていこうという流れでしたので、システム導入プロジェクトがあったタイミングで、自分からやらせてくださいと手を挙げ立候補しました。
あまりにも僕がしつこくお願いしたので、社長も折れてじゃあいいよとOKが出たという感じです(笑)。
それから3年半ほど、現場のバイヤーや店長と一緒に現場に行きつつ、 システム関連のプロジェクトを回させていただいているうちに、情報処理を初め業務の流れが理解できて、その時に業務プロセスを可視化することの大切さを実感したのだと思います。
きちんと整備しないとバイヤーも動けないし、店舗も混乱するというのは、実践して身につきましたね。
その後は、ブライダル会社の創業のメンバーとして加わり、バックオフィスができるのが僕だけだったことから、管理部門の仕事をしながら1年もしない間に取締役になりました。
その頃社長に、IPOしませんかと持ちかけ、初めて管理本部の取り仕切りをし、監査法人や証券会社などの人たちとやり取りしながらIPOの準備を進めていきました。
その経験を経て、2006年に起業しました。
――業種・業態はいろいろご経験されているのですね。さまざまなご経験のなかで、特に忘れられない出来事などありますか。
田中氏――今思い返すと、出会った会社の社長は例外なく優れたリーダーでした。
やる気しかない、経験も技術もない僕を受け入れてくれた大きな器だったと思います。
何度も社長とぶつかって、今日は帰ります!と言って早退することもあり、そのくせ、自分がやりたいことに関しては夜中の1時、2時まで残ってやっている。
会議で提案したいことがあるときも、副社長や他のバイヤーなどにだけ事前に伝えて会議本番で突然提案したりするので、よく社長を驚かせていました。
でも、やりたいことをやらせてもらえたのは、他の人たちがフォローしてくれて、社長も信頼してくれていたからだろうと思います。
経理出身の僕でも取引先と仲良くしてもらい協力してもらえるようになって、仲間意識というのは非常に重要だというのは、多分その時身に染みて感じたことですね。
あと、ブライダル会社の社長は不動産業を営んでいた先代の2代目ですが、商売をやっている家に生まれた人たち特有の、人の扱い方とか、 組織を動かす能力の高さに驚かされました。
僕はサラリーマン家庭で育ったので、自力で商売を切り盛りする人たちの価値観ってすごい!と感銘を受けて、組織のなかでの人との距離の取り方など、組織を動かす時に見習うべき多くの点を学んだ気がします。
▶ママさんリモートワーカーを活用し、業務プロセス可視化と効率化の実現を果たすMamasan&Company。田中社長のバイタリティ溢れるご経歴と多彩なご経験が働き方の変革を生み出す基盤となっていることがよくわかるお話でした。次のページでは、ママさんを基軸とした組織づくりについての説明と、田中社長が見据える将来像を語っていただきます。