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独自の制作ノウハウを確立
――なるほど。BGMの世界は奥が深いのですね!楽曲の所蔵はいまどれくらいあるのですか?
髙山氏――今は、4万5千トラック程度を所蔵しています。
基本的には、国内外の第一線で活躍される日本人のアーティストと弊社のディレクターが二人三脚で制作にあたっています。
楽曲制作の肝は、選曲される方が使いやすいことにあります。
弊社が4万5千曲所蔵する過程で吸い上げた、選曲サイドの意見を反映させた曲作りのノウハウが、秘伝のタレのように創業以来15年以上、積み重なって進化しています。
それが、アーティストにもディレクターにもしっかりインストールされていることで、スピード感をもってニーズに寄り添った楽曲を制作することができるのです。
――自社制作にあたって、アーティストとはどのような関係を築かれているのですか?
髙山氏――基本的にはアルバム単位で契約し、案件が終了したら、また次の案件というように順次制作を進めていますので、ある程度固まった数十名の制作陣がメインで動いています。
規模の拡大とともに、作家を増やしてはいるのですが、誰でもいいわけではありません。
権利問題が起こらないように信頼関係が成立しなければなりませんし、映像に特化したBGM制作ノウハウの擦り合わせは1、2件やったところで身に着かないので、ジャンルの幅が広くなおかつスピーディに制作できる精鋭アーティストが集結しているという状態です。
選曲者のニーズを積み重ねて使いやすさ重視
――選ばれる曲というものは、どういうものなのでしょうか?少し教えてください!
髙山氏――そこは企業秘密なのですが(笑)
1つ公開しますと、映像の終わりのタイミングで曲の終わり部分を持って来る事が多いのですが、そこが歌モノだと、例えばフェードアウトという、だんだん音量が小さくなって終わるものが多くあります。
しかし、これは映像制作のシーンでは尻切れトンボになってしまって使いにくいんです。
楽曲の最後には我々がキメと呼んでいる歯切れの良い終わり方、映像と共にここで終わりという分かりやすい曲の方が使いやすいです。
――ありがとうございます。長年のご経験のなかで選曲者がどんな曲を使いたいのか熟知されているのですね。
髙山氏――はい。時には厳しい意見も頂きますが、そういったことがクオリティをさらに高めているのだと思います。
アート分野に広げる芸術への振興
――アート事業も手掛けていらっしゃいますね。きっかけは?
髙山氏――アートに関連する事業は、元々は代表がアートに詳しいというところから始まりまして、我々の根本の想いは、音楽やアートといった芸術分野の振興と発展です。
振興の意味では、今は有名ではないけれど素敵な作品を創られる現代アート分野のアーティストの作品を積極的にコレクトすることで応援しています。
音楽も含めて作家や芸術が好きですね。
ただ、それをビジネスに成就させるのは簡単なことではありません。
長年音楽という芸術をロジカルに分析してビジネスに醸成してきましたから、アートの分野も同様にできればと思っています。
BGMの世界もそうですけど、世界のギャラリーの動きなどの定量分析によりある程度ロジカルに分析できます。
最後の数パーセントはエイヤ!で行きますが、統計学の世界と近いですね。
――今後、映像向け以外に展開可能性のある市場があれば教えてください。
髙山氏――今は誰でも動画を配信できるプラットフォームが続々リリースされていて、そのマーケットもまだまだ拡大傾向にあります。
我々は映像に向けたプロの選曲家の意見を投影させた音楽コンテンツと制作ノウハウを持っていますので、従来顧客のテレビ番組制作者だけでなく、今後はすべての動画クリエイターの方々が活用できるように、ECサイト等でも楽曲提供していきたいと考えています。
YouTubeやTikTok、Twitterでの発信が増えるのに伴い、それらへ向けた音楽ECサイトが増えてきています。
ECで楽曲をバイアウトやサブスクの形で提供し、動画投稿サイトのなかで著作権を気にせず扱ってもらえるようになるといいですね。
音楽を初めアートも含めた髙山さんの芸術への熱い思いが会社の理念となって浸透していることがよくわかるお話でした。後編となる「すべての動画クリエイターのために!独自ノウハウが詰まった楽曲提供へ」では、子どもの頃から音楽に深く関心を示されてきた髙山さんのこれまでと、音楽プロデューサーとしてのご経歴を伺っています。また、取締役社長である髙山さんが描くビジョンと展望についても熱く語ってくださいます。ぜひご覧ください!
記事中に使用する画像はすべて髙山氏およびB2RECORDS公式HPより提供されたものです。