IEOやDAOへの投資は魔界への入り口か?(前編)
- 2023/6/13
- ファイナンス
暗号資産の新しい資金調達方法IEOが登場し、自律分散型組織DAOが流行するなか、多くの投資家が注目するこれらの潮流は、これまでのさまざまなリスクや課題を解決する糸口となるのでしょうか。IEOのメリットや将来性、暗号資産の未来について、20代の頃から暗号資産や海外不動産などに投資をし、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーを行っている中島宏明さんが解説してくださいます。
目次
国産IEOは成功しているのか?
「国産IEO」は、日本国内の暗号資産取引所で行われるIEOのことです。
「IEO」とは、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(Initial Exchange Offering)の略で、暗号資産取引所によって管理される資金調達方法です。
IEOとICOの違い
IEOに近しい言葉に、2016年頃に流行ったICOがあります。
「ICO」は、イニシャル・コイン・オファリング(Initial Coin Offering)、つまり、ブロックチェーンプロジェクト自らが資金調達を行う方法を指します。
IEOはICOとは違って、投資家であるユーザーが暗号資産取引所を通じて資金調達に参加できる仕組みです。
暗号資産取引所が介在することで、ICOに伴うリスクを軽減させ、ユーザーが資金調達イベントに参加しやすくなるとされています。
国産IEOプロジェクトの現状
国産IEOで有名なのは、元gumiの國光さんのフィナンシェでしょうか。
IEO開始1時間以内に10億円以上の資金を集めたそうです。
ここでは、5つのIEOプロジェクトの販売開始時の価格と現在(2023年2月時点)の価格差を見ていきたいと思います。
日本のIEOプロジェクトの実態は、以下のサイトで確認できます。
■Comsa
国内のブロックチェーン企業であるテックビューロ株式会社が運営し、資金調達を行いたい企業のICOを支援するプロジェクトです。2017年に国内取引所のZaif(ザイフ)に上場し、ICOで100億円以上の資金を集めて話題となりました。2021年の大幅なアップデートにより「新生コムサ(COMSA)」として再出発を果たし、mijin(ミジン)と呼ばれるプラットフォームを活用することで、企業や団体が簡単にブロックチェーン展開できるサービスを提供しています。
▶約マイナス96% 価格参照:Zaif
■Palette(PLT)
NFTに焦点を当てた日本発のプロジェクトで、一部取引のガス代が無料になるNFTマーケットプレイスを展開しているのが特徴です。ガス代の不安定さ、ガス代を元にしたユーザー体験の低下、周辺プラットフォームの未熟さなどの課題を解決することで、IP(知的財産など)を保有するコンテンツホルダーが持つ作品・キャラクターなどをNFT化していこうという狙いがあります。仮想通貨取引所CoincheckによるIEOを利用した資金調達の際、開始6分で9億円を超える資金が集まった注目のプロジェクトです。
▶約160% 価格参照:Coincheck
■國光DAO
「Web3、メタバース領域で日本初、世界で活躍するユニコーンを増やす」というビジョンのもと、フィナンシェCEOの國光宏尚氏が「FiNANCiE」のトークンを活用して創設したDAOのこと。FiNANCiEと連携し、その仕組みを利用してDAOトークンを発行しており、コミュニティ活動も積極的に行うとしています。スマートフォンにアプリをインストールすることで簡単に参加できます。
▶約マイナス57% 価格参照:FiNANCiE
■琉球コイン(FCR)
沖縄県のサッカーチームFC琉球が発行している仮想通貨で、国内クラブチームとして初のIEOを行い、2022年5月、国内の仮想通貨取引所GMOコインに上場しました。地域FCの資金問題の解決と、ファンとの交流や地域貢献促進を目的とした新しいサッカークラブ運営の構築を目指すものです。「FC RYUKYU SOCIO」というプラットフォームを作り、その中でさまざまなサービスを提供。一定量以上保有することで、FC琉球のパートナーになれます。
▶約マイナス86% 価格参照:GMOコイン
■Skeb
クリエイターにイラストや音声・動画作品などの製作を依頼できるコミッションサービスのこと。クリエイターの表現の自由を守り、正当な収益を確保できるように作られたシステムです。ユーザー側のメリットはクリエイターに気軽に作成依頼ができる点で、自動翻訳機能搭載により、海外のクリエイターにも依頼できるようにしています。
▶約マイナス14% 価格参照:coingecko.com
▶このような現状を目の当たりにし、次のページでは、中島さんがさらに詳しく解説してくださいます!