事業投資とは?⑧ 2022年はスタートアップ元年!?事業投資スキルが成功率を上げる!

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政府は2022年をスタートアップ創出元年に位置づけ、今後5年で10倍増を視野に入れた5か年計画を策定し、大規模なスタートアップの創出に取り組みます。果たして、本当に2022年はスタートアップ元年になるのでしょうか?シリーズ「事業投資とは何か?」の8回目は、事業投資に求められる知識や技能がスタートアップの成功率を高めることについて詳しくお伝えします。

国の本気度は、これまでと少し違う

DeNA創業者である南場智子氏が「経団連」副会長に就任し、初仕事として掲げたのは「スタートアップ庁の創設」への政府提言でした。
岸田首相は2022年8月に、「スタートアップ担当相」を任命しました。
これまで、官民ともに起業・スタートアップ支援を掲げていたものの、大企業が集う経団連からのこのような提言は記憶になく、起業支援に関して政府が担当相を配置するのは初めてのことです。
背景には何があるのでしょうか。

経済成長への危機感、待ったなし

現在の日本経済は、太平洋戦争後に創業した企業に支えられていると言われています。
実際1940年~50年代にかけて創業する企業が急増しました。
政府はそれに次ぐ「第二創業期」の実現を目指しており、5年後の2027年までにスタートアップ数とユニコーン企業数を10倍にすることを視野に入れています。
こうでもしなければ、諸外国との経済格差が広がるばかりであり、待ったなしの状況です。

ユニコーン企業の実態

ユニコーン企業とは「起業10年以内の未上場企業で、時価総額10億ドル(約1,400億円)以上の市場価値がある企業」を指します。
現在、世界で900社以上存在しますが、アメリカ・中国だけで全体の68%を占め、日本は僅か0.6%の6社のみです。
インド、イスラエル、ブラジル、シンガポール、韓国などにも後れを取っている状況です。

その理由として、VC(ベンチャーキャピタル)の投資額が少ない、エンジェル投資家の不足、そもそも起業する人が少ない、大企業主義、失敗を許容しにくい風土、教育の課題などがあげられます。

M&Aがエグジットの選択肢を広げる

とは言っても、起業する方の誰もがユニコーン企業やIPOを目指す訳ではありません。
もう少し経済的に自由になりたい、歯車で人生を終えたくない等、理由は人それぞれです。

ここ数年で、小規模のM&A市場が急速に拡大したことは、起業のハードルを下げ、そんな人たちの背中を後押ししています。
実際、海外でもIPOよりもM&Aの方が主流のエグジットです。

大企業も自ら新規事業を興すのではなく、ベンチャー起業を取り込むという発想に変わりつつあります。
また、「連続企業家」という方も増えてきました。
起業してはエグジットを繰り返す手法で、資産形成スピードが速いのが特徴です。

起業は本当に増えるのか

正直日本は、起業環境が整っているとは言えません。
例えば「銀行口座開設」では、メガバンクや地銀での口座開設は、かなりハードルが高いのが現状です。
また、大手企業や自治体と取引する際には、調査機関の点数基準があったり、決算書三期分の提出を求められたりと、そもそも無理難題の多いケースが多々見受けられます。

加えて、「終身雇用」が当たり前の親世代とその風潮を引きずる世間の価値観が起業を目指す若者を妨げている側面もあります。
現在、そんな旧態然とした価値観を真に受ける若者は少ないでしょうが、彼らの挑戦の足かせとなっている可能性は否定できません。

▶スタートアップに追い風となる政策が期待できそうな2022年以降。起業に求められるスキルや選択肢の拡張が事業投資のノウハウと共通することについて、次のページでお届けします!

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齋藤 由紀夫
株式会社つながりバンク 代表

投稿者プロフィール
株式会社つながりバンク 代表。
オリックス㈱に16年在籍後、2012年に独立。
スモールМ&Aの普及活動を中心に、事業再生・リノベーション等に注力。自らМ&A・事業投資も行い、数件エグジット済。
経営革新等支援機関(中小企業庁主管、認定支援機関)、事業引継ぎ支援センター 専門登録機関、日本経営士協会 経営士、日本外部承継診断協会 顧問。
趣味は焚火、居酒屋巡礼、トレイルランニング。

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