富裕層の資産運用や投資管理についてのお悩み事を包括的にサポートし解決に導く、独立系でプライベートバンキング(以下、PB)ビジネスを展開する株式会社Wells Partnersを2019年に設立した代表取締役の福井元明さん。メガバンクからスイス現地PBに出向したことで世界と日本の金融格差を実感し、帰国後は社会情勢を予見し、ベストタイミングで独立されました。グローバルな金融経済にアンテナを張りつつ、富裕層のお客様のリクエストにオーダーメイドで応えサポートするPBのお仕事とはどのようなものなのでしょう。世界と日本の金融サービスの違いやさまざまな独自金融商品を開発するための視点などについても、福井さんが詳しくお話くださいました。
目次
人の価値が見える金融業界に関心
Z-EN――本日はよろしくお願いします!まずは福井さんの起業前のご経歴を教えてください。
福井元明氏(以下、福井氏)――慶應義塾大学経済学部を卒業後にみずほ銀行に入社し、富裕層個人に向けたリテール、相続対策、資産運用助言、営業などを経験した後、出向した税理士法人では税務会計を経験しました。
その後、スイスの現地法人に出向した際は、欧米やアジアの富裕層の資産運用・管理や非金融のコンサルティングサービスなどがメイン業務でした。
帰国後はみずほ銀行に戻り、最後に所属した上場企業と上場企業オーナー様の顧客数が日本で有数の支店で、企業やオーナー様の資産管理などを行いました。
これまで一貫して、富裕層の方を対象とした仕事をしています。
――学生時代から金融には興味があったのですか。
福井氏――そうですね。若い頃から金融に関心があり、大学卒業時には銀行、証券会社、政府系金融機関などを受けました。
金融は目に見えないサービスだけに、提供の仕方によってサービスの価値に差が生まれ、それが何倍もの結果となって返ってくる業界です。
ヒアリング力や提案力が求められ、さらには、いかに顧客の信頼を得るかなどサービスする側の人としての価値が結果に大きく影響します。
私は、人の価値が見える業界で働きたいと思い、最終的に当時富裕層向けビジネスに力を入れ始めていたみずほ銀行を選びました。
出向先のスイスで知った日本との差
――みずほ銀行からスイスの現地法人への出向は、ご自身が希望されたのですか。
福井氏――はい、入社して8年目の30歳の時に自ら希望してスイスに渡りました。
チューリッヒに拠点があった当時の現地法人スイスみずほ銀行に出向し、欧米、アジアの富裕層の方々の資産運用、資産管理、非金融のコンサルティングサービスなどをグローバルに行いました。
日本の金融と世界の金融の違いを肌で感じてみたいと思ったのですが、実際、日本とは全然違いましたね。
まず、扱っている商品のラインナップが違いましたし、金融とお客様の価値観、そして働き方のスタイルなど多くの違いを目の当たりにしました。
ボトムアップでお客様のニーズに応える
――スイスでは具体的にどういった商品を扱っていたのですか。
福井氏――株、債券だけでなくヘッジファンドなど特殊なファンドも幅広く扱いました。
そして、海外の富裕層の方々は金などのコモディティを持っている方が多かったですね。
日本では既にあるものをはめ込み営業するようなことが多いですが、スイスのPBでは、お客様のニーズに合わせて欲しいとおっしゃるものを探したり、作ったりして提供することが多かったです。
トップダウンではなくボトムアップでお客様からのニーズがあるものをアレンジする、という手法は日本とはまったく違っていました。
ずっと日本にいたら、お客様に即した金融商品を独自に作ることは考えなかったかもしれません。
――プライベートバンカーは日本ではまだ馴染みが薄いかと思いますが、「富裕層」のお客様とはどれくらいの資産規模の方を指すのでしょうか。
福井氏――日本での「富裕層」の定義は、金融資産規模1億円からといわれています。
日本では資産額を明かさない方も多くいらっしゃいますが、富裕層は意外に身近なところにいらっしゃるものです。
属性としては、不動産をお持ちの地主の方や相続で資産を持った方、企業オーナー様、芸能人、スポーツ選手などさまざまな方がいらっしゃいます。
▶プライベートバンカーとして海外から戻られた福井さんは、日本での独立を果たします。次のページでは、コロナ禍でも自由度の高いサービスを提供する事業内容に迫ります!