認知症予防を担うエキスパートを育成!社会問題解決の大きな一手に!(前編)

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認知症は、発症前段階で予防したり、発症後の進行を遅らせたりできることをご存じですか?抜本的な治療法もなく、症状の進行とともに非常に高い確率で介護を必要とする認知症は、患者のみならず支える家族にも大きな負担となります。今回お話を伺う、認知症アドバイザー協会(JNDA)の代表理事 廣瀬豪輝氏と専務理事の横井弘史氏は、認知症予防に着目し、未病もしくはその前段階にある人々に予防の大切さと対策を伝える「認知症予防のエキスパート」を育成しています。業界への参入のきっかけはM&Aというお2人に、認知症の現状、そして国策でもある認知症患者抑制を予防の観点からどのように実現していくのか、お話をお聞きしました。

認知症アドバイザー協会(JNDA)をM&A

Z-EN―本日はよろしくお願いします。廣瀬さん、横井さんは認知症を予防の側面からアドバイスする「認知症アドバイザー」を育成する資格協会を、2022年4月からリニューアルスタートされましたね。協会はM&Aされたと伺いました。

廣瀬豪輝氏(以下、廣瀬氏)――はい。昨年2021年に、のちに協会運営会社となる株式会社ダイナブライトを創業し、認知症アドバイザー協会をM&Aしました。

認知症アドバイザー協会(JNDA)は、京都大学名誉教授で脳科学の権威でいらっしゃる医学博士 久保田きそう教授により監修され2015年に誕生した協会です。

JNDA監修 久保田競教授

M&A後は、私が代表理事に、横井が専務理事に就任して、引き続き久保田先生のご指導の下、コンセプトや資格取得者層、教材などをブラッシュアップし、2022年4月にリニューアルスタートすることができました。

新たなミッションとして、「高齢化する日本社会において、一人でも多くの方々の、心と体の健康を支える土台となる」を掲げています。

――資格取得者を増やすことをメインの活動にしている協会をM&Aされたこと、Z-EN読者も興味深いと思うのですが、きっかけを教えてください。

廣瀬氏――そうですね。もともと協会運営を行っていた会社が、本業が忙しく折角の素晴らしいコンテンツを伸ばす時間がないということを人づてで聞きまして、手を挙げました。

家族の介護を目の当たりにして

――廣瀬さん、横井さんは、保険会社に勤務していた時代に知り合われたそうですね。介護の分野にはご興味がおありだったのですか?

廣瀬氏――保険事業はご加入者さまの健康に万が一のことがあった場合に、経済的な保障を提供することで不安を解消する商品を扱いますので、ヘルスケアや介護と領域が近いんです。

加えて、私には10年前に認知症と診断された祖父がいます。

認知症と診断される前は、「あれ?最近物忘れが多くなったね。」という程度だったのですが、笑い話にしているうちにあれよあれよと症状が悪化し、私のことを認識できなくなりました。
その後だんだん一人で歩けなくなる、食べられなくなるというふうに症状が進行していき、現在では一言も発することができない状態です。
家族の生活も一変しました。ケアのために今まで描いていたライフプランを変更せざるを得なかったんです。

祖父と私たち家族が10年間大変な経験をしながら認知症の現状を目の当たりにして、私自身、祖父の様子に違和感を感じた時点で何かできることがなかったのか?という想いが消えなかったんですね。
そんな折に、協会を譲渡する話を聞いて、初めての分野でしたが、すぐに譲渡の話を進めさせていただきました。 

認知症の現況

――認知症や認知症予備軍の方の現在の状況を教えてください。

廣瀬氏――日本の65歳以上の高齢者数は、2021年の統計で、日本の総人口約1億2千万人の29.1%、3619万人です。
そして、2025年には、そのうち5人に1人にあたる675万人が認知症診断を受けると推測されています。

要支援、要介護の認定者は、この10年で175万人増加しており、その要因の4分の1が認知症によるものです。

認知症と診断されることは、ご本人だけでなく家族にとっても負担が大きく、国としても経済的損失が大きいです。
それに、認知症と診断されると資産が凍結されることをご存じですか?

資産凍結の危機

――え?資産が凍結されるのですか?詳しく教えてください。

横井弘史氏(以下、横井氏)――認知症と診断されると、財産管理に必要な判断力が十分でないと見なされるので、資産保有者の財産を守ることを目的として、銀行や証券会社、保険会社などの金融資産が凍結されてしまうのです。
一度凍結されてしまった資産は、「法定後見人制度」により弁護士・司法書士等を後見人として選任することで、資産の引き出しが一部可能になります。

資産の引き出しにはご家族であっても毎回後見人の許可が必要です。
家族が必要だと思う費用も否認されることも多いと聞きます。
つまり事実上の凍結ですね。

最近では「家族信託」という財産管理を信頼できる家族に一任する方法もありますが、まだまだ一般的ではないです。

▶認知症と診断されると資産凍結という問題が生じることがよくわかりました。次のページでは、認知症アドバイザーからの助言が認知症発症前の予防策となることについてお届けします!

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廣瀬豪輝
認知症アドバイザー協会 代表理事

投稿者プロフィール
1987年6月生まれ 東京都出身 明治学院大学出身
ファイナンシャルプランナー
日本生命、マニュライフ・ファイナンシャル・アドバイザース㈱を経て、2021年株式会社ダイナブライト創業設立
認知症予防アドバイザー協会を事業譲渡。事業立て直しを経て、2022年4月認知症アドバイザー協会リニューアルスタート
趣味は ゴルフとバスケット

横井弘史
認知症アドバイザー協会 専務理事

投稿者プロフィール
1984年10月生まれ 静岡県出身 大阪大学外国語学部フランス語学科卒業
㈱みずほ銀行入行 その後最速で八重洲口支店 課長代理へ昇格
ソニー生命保険㈱、マニュライフ・ファイナンシャル・アドバイザーズ㈱を経て、2021年 廣瀬氏が事業譲渡した認知症アドバイザー協会に参画し、専務理事に就任
趣味は 旅行・キャンプ・資産運用

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