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世界との格差是正などをめざして独立
――なるほど。その後、独立されたきっかけを伺わせてください。
福井氏――いろいろあるのですが(笑)、1つ目は海外から戻ってきたら日本の金融業界がもどかしく感じられたということです。
日本では金融庁の規制があり、海外の金融商品の取り扱いが制限されます。
そうすると、お客様に提供できる商品の幅が狭く世界の金融商品やサービスとの格差を強く感じ物足りなさがありました。
同時に、その格差を是正したいという思いを持つようになりました。
2つ目のきっかけは、周りにベンチャー企業の経営者のお客様が多くいらしたので、その先輩経営者の起業家マインドに刺激を受けたことです。
そして最後に、そろそろ景気が悪くなるだろうという予見があったことも大きな要因です。
欧米のIFA*業界は、ITバブル崩壊やリーマンショックなど一気に景気が悪くなった時に急拡大した歴史があります。
経済に対して不安になった時、金融アドバイザーをそばに置いたり、セカンドオピニオンを求めたくなったりする方は多くいらっしゃいます。
数年以内に株価が落ちるだろうと予見していたところにコロナ禍が来たので、ある程度準備をしてそのタイミングで金融免許を取得しました。
*Independent Financial Advisorの略で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれる、金融アドバイザーの業態の一種
コロナ禍の起業で進んだ効率化
――コロナ禍のような不況の到来を読んでいらしたとは!そこで、多くの方々にPBが必要とされ、設立から3年足らずで国内4拠点へと広がったのですね。
福井氏――はい、東京に2カ所のほか、大阪、広島に拠点を持っています。
東京以外のエリアの方が、まだまだ潜在的なニーズを抱えるお客様は多いように感じます。
アドバイザー数も、数年以内に少なくとも倍以上には増やしたいと思います。
――コロナ禍で当初の動きから何か変わったことはないですか。
福井氏――コロナによりオンライン面談が進み、地方のお客様に効率的に対応できるようになりました。
それまでは実際に地方に行かなければいけなかった案件もリモートで面談、ご提案、購入まで進むようになったので、より営業エリアの幅が広がりました。
趣味や嗜好品まで自由度の高いサービスを
――HPに「今までにない自由度の高い金融サービスを提供する」とありますが、具体的にはどのような商品を指しますか。
福井氏――大手が扱わないファンドなどの金融商品やニッチなサービス、提携先から提供されたオーダーメイド商品を提案しています。
フローリッチとキャッシュリッチ
福井氏――富裕層の方々は、収入が高額であるフローリッチと、金融資産が高額であるキャッシュリッチの2種類に分けられます。
フローリッチな方は節税商品を好まれるので、いろいろな金融機関に商品の共同開発を依頼したりして、きめ細かく幅広いサービスをご紹介しています。
一方、キャッシュリッチな方は安定志向で、いまある資産を安定運用するなど株式よりも債券、マーケットに相関しないような特殊なヘッジファンドなどを好まれます。
例えば、クラシックカー、ヘリコプターや飛行機、アートやスーパーカーといった特殊な現物資産も取り扱いますが、フローリッチな方のなかには、節税目的でこれらを購入される方もいらっしゃいます。
ところが、キャッシュリッチな方がこのような高額な嗜好品を選ぶ場合は、ご自身の趣味として選ばれることも多く、目的はさまざまです。
他にも、企業オーナー様の場合は、さまざまなクレジットカードの活用法なども喜ばれます。
――PBの仕事はアンテナを張りさまざまな引き出しを持つことが大切なようですね。
後編「東京と地方、日本と世界。金融リテラシー格差の平準化を目指して」では、日本全体での金融リテラシーの向上を願う福井さんに金融教育の必要性と今後の想いについて伺った内容をお届けします!お楽しみに。