銀行融資をリスケジュールするのは誰のため?不調な融資に依存しない早期治療を
- 2023/3/9
- コラム
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コロナ禍の融資、ホントに返せる?
創業35年の食品会社の社長さんの話です。
とある保険屋さんが、この社長さんに危機感を覚えてワタシに紹介したんですが、
本人は「まだ資金がある」とそれを拒んだようで、
面談にはしぶしぶ来られた。
コロナ禍以前の借入残高が約3,300万円で、2年前からリスケジュールしていたようですが、
コロナ禍以降、特別融資や制度融資で新規の借入が1億1,000万円に(!)
「ホントに返せるの? 今まで返せなかったからこそリスケジュールしてたんじゃないの?」と訊いたら、
「今後はこれをチャンスに精一杯頑張る」と言う。
「今まで精一杯頑張って来たんじゃないの?これ以上、どう頑張るの?」
と訊いたら、黙ってしまいました。
コスト削減への近道は「金融機関を切る」こと
- 「会社」というバケツ。
- 「売上」と「融資」という蛇口から、「現金」という水が入る。
- バケツに水が溜まり、あふれた水が「内部留保」。バケツの底には「借入返済」「利息」「経費」「税金」など、大小の穴が開いているから、なかなか水は溜まらない。
- 銀行からの融資が止まれば、「蛇口の1つ」がなくなる。
- でも、改めてバケツの底を眺めてみると・・・「1番大きな穴」は、借入金の元金と利息だった。
- 小さな穴をふさぐ努力より大きな穴をふさぐ努力が大事。大きな穴の1つである人件費に手を出すと痛手が大きいから「痛手の少ない大きな穴」を探す。
- それは、「カネを貸さない銀行」への返済や利息である。
有事の資金繰り改善では、必ず事前にコストが発生するから、売上を伸ばそうとしてはいけません。
客単価上げようにも、客数増やそうにも、成果より先に支出が発生する以上、有事においては資金の流出を促進してしまいます。
有事の資金繰り改善はコスト削減が有効ですが、銀行との融資関係が不調な時は、真っ先に非協力的な金融機関を切ってしまうのが一番有効です。
この「経費削減」が最もリスクが少なく、経済効果が大きいことを思い出してください。
資金繰りも「早期発見・早期治療」を
そもそも赤字体質だったのに、コロナ禍で猫も杓子も融資を受けてしまったがゆえに、傷口を広げてしまっているのですよ。
それならいっそ、融資受けて少しでも資金があるうちに不良債権化を実行した方が、後の人生が好転する要素が広がると思うんだけどな。
「早期発見、早期治療」
がん治療にも、企業の資金繰りにも言えることで、傷口の浅いウチに手を施すことが肝要なのです。