老子に学ぶ、現代社会思考~ビジネス三元思考論
- 2021/11/29
- コラム
老子の教えとされる「道徳経」から、精神を安定させよりよく生きるためのヒントを学ぶコラム。
今回は、老子が今の時代で東洋哲理コンサルタントだったらどんなアドバイスをするかという視点から、現代のビジネスに生かす「三元論ビジネス思考」についてお届けします。
ナビゲートしてくださるのは、一般社団法人数理暦学協会の代表理事 山脇史瑞氏です。
一元
不動の始まり
老子の考えをビジネスに活用するという
視点から考察してみたいと思う。
天は一を得て以って清く、地は一を得て以て寧く。
(道徳経 第三十九章)
天は一を得たことで清らかになり、
地は一を得たことで安定した。
一はすべての始まりを指す。
一元は、
絶対不動、絶対不変であり、
何があっても動じてはならず、
時代によって、変化してはいけない概念だ。
そして同時に、
捉えどころがない、
曖昧なものの方が良い。
企業理念の継承
その視点から、
有名企業の理念を表すスローガンをみてみよう。
服を変え、常識を変え、
世界を変えていく
(ユニクロ)地球上で
最もお客様を大切にする企業であること
(Amazon)より快適な毎日を、より多くの方々に
(IKEA)A Better Life, A Better World
(パナソニック)
捉えどころがない、
漠然で曖昧な絶対不変の徳ではないか。
中小企業の場合、
何となく事業が発生し、
起業する場合が多い。
「そもそも
企業理念を作成する必要性があるのか?」
と疑問に思って作らない場合も多いという。
そのため、次の世代に事業を繋ぐ時、
何を承継したらよいのか分からなくなる。
承継するものは、
業績でも社員でも株式でもなく、
企業理念。
その理解がないと、
何をどう継承し、
どう発展させたらよいのか分からなくなってしまう。
二元
対立概念のギャップを繋ぎに
次なるステップが二元だ。
二元とは、
相反する陰陽理論なので、
真逆の方が、
より大きなエネルギーを生じる。
理想×理想、
現実×現実より、
理想×現実という、
対立概念を掛け合わせた方が、
エネルギーのあるものを生み出す。
ギャップを埋めるという感覚ではなく、
そのギャップにより和を生み出すという感覚で、
三元を生み出していく。
三元
漸進的イノベーション戦略
日本人は空気を読んで、
忖度するため、
革新的アイデアが生まれにくい。
100人の賛成者がいて、
同じく100人の不賛成者がいる。
「和をもって貴し」というが、
これは、相反するエネルギーを所有する者同士が
和することが尊いと言っているのであり、
最初から和した者たちからは、
貴いイノベーションは生まれない。
徹底的に真逆の立場から意見を戦わせた中に、
和が生まれ、
一元(理念)を達成できるアイデアが生まれる。
革新的イノベーションより、
漸進的イノベーションが成長を促すと、
文部科学省科学技術のレポートにはある。
競合他社でさえ手掛けていない
新しい製品やサービス
「革新的イノベーション」は、
確約された需要が無く、
市場をつくる効果が小さいため、
長期的には企業成長に繋がるだろうが、
短期的な効果は見込めないという。
つまり、
100%新しいものではなく、
50%古くて50%新しいものの中に市場があり、
未来がある。
そこにアイデアを導きだすには、
一元、二元、三元の思考回路が必要なのだ。
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出典:ビジネスリーダー達の東洋思想《老子と学ぶ人間学⑧》ビジネス三元思考論
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。