中小企業のDX成功の鍵は、目標実現への“伴走者”と“伴走力”にある(前編)
- 2021/4/30
- インタビュー
目次
中小企業のRPAが成功しないと言われる理由
RPAを導入しても課題は置き去り
井上氏 ―― 会計事務所業界では、RPAブームのような現象がありました。
今、私たちSAKURA United Solutionでも社内で2種類のRPAを取り入れています。
まだまだRPAを導入できたと断言できる段階にはないですが、導入することで社内の業務内容や業務フローは大きく変わります。
ただ、中堅の会計事務所からは「RPAって、ちゃんと機能するの?」と疑問も出てきていますね。
川人氏―― 残念ながら、「RPAユーザーの80%が使いこなせていない※」と言われています。
メガバンクのようにRPAが機能している企業や機関もありますが、「そもそも中小企業には向かないのではないか?」という声さえ聞こえてきています。
井上氏――「中小企業でRPAが機能しない」と言われる理由は、どこにあると考えられますか?
川人氏――理由としては、多くのRPA会社が顧客のRPA導入まで伴走していないからです。
ジムに例えるとわかりやすいかもしれません。
ジムには、「一般のジム」と「パーソナルジム」がありますよね。
一般のジムは、「マシンが置いてあって、あとはご自由に」というスタイルです。
一方、パーソナルジムは、「いつまでに何キロ痩せたい」という目標を設定してトレーニングします。
RPAを導入するにあたっては、「残業を●●%減らしたい」「ある部署の人数を●●名減らしたい」という目標があるはずです。
しかし、多くの中小企業では、RPAを導入するという目的が達成した時点で止まってしまう。
これでは、RPAをせっかく導入しても機能しません。
パーソナルジムのように、しっかり目標を決めたらそれをサポートして一緒に目標を追いかける必要があります。
中小企業経営者に伴走する支援が不可欠
井上氏 ――導入して終わるのではなく、その後の目標達成のサポートが重要なのですね。
川人氏 ――もうひとつ、RPAを使う担当者にRPAの知識がない場合や、RPAがわかる人が社内で限られ、RPA担当が属人化しているケースもあります。
属人化している業務をロボットに覚えさせ、平準化できることもRPAの特徴ですが、RPA担当が属人化してしまうのは本末転倒です。
業界によってITリテラシーは異なるので、一辺倒な導入支援ではなく、フルオーダーのような導入支援が必要です。
こういった意味でも、顧客に伴走していくことが大切になります。
井上氏――私たちも、中小企業経営者の伴走者であり続けたいと考えています。
経営者から「うちの先生」と呼ばれるとき、多くは税理士のことを指しますが、税務だけでなく、財務・資金繰りや人事・人材、売上にも深く貢献していきたいものです。
しかし士業の仕事自体も、いつまでもあるものではないでしょう。
書類作成代行などの業務はRPAでDX化したりBPOをしたりして、人間にしかできない業務に特化していく必要があります。
RPAを必要とする中小企業も多いはずなので、川人さんと協業してそういった方々に伴走したいですね。
(後編に続く…)
※バーチャレクス・コンサルティング株式会社実施の<RPAに関する実態調査>によると、RPA導入から時間が経っているにもかかわらず、83%がまだ課題を抱えている状況であることがわかっています。
出典:マイナビニュース「中小企業のDX成功の秘訣は『伴走力』にある【前編】」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。