メタバース時代の投資詐欺に注意!リスクの見極め方を伝授

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リスクを避けるには

webの情報と調査会社のデータベースを活用

web3.0の最新の技術を使った投資案件に関わる怪しい案件ですが、やっていることは古い投資詐欺と同じ手口ですね。
このように名前の漢字を一部変えて新しい事案を行っているというのは、昔からある事例です。

この件のようにGoogleで検索すればすぐにわかるものもありますが、信用調査会社の企業情報データベースを利用すれば、もっと詳しい情報がわかる場合もあり、より人物の特定も容易になります。

特に代表者の名前で検索する際に、その名前の人物が役員で登記されている会社も検索することができます。
役員をしている会社の方で、何かの事件に関わっていることもありますので、幅広く情報が得られ、より早く気づくことができます。

商業登記簿の活用

もう一つ、商業登記簿を活用するのも一つの手です。
投資案件を紹介している人物が所属する企業の商業登記簿を取ってみる方法です。
商業登記簿の確認は古くから与信管理の第一歩として活用されていますので、特に新しい方法ではありませんが、新しいカテゴリーとは言え、怪しい人たちの手法は以前のものと変わりがありませんので、十分効果があります。

今回紹介したDeFiの事案でも商業登記簿を見ると、詐欺に関わる会社の特徴が表れています。

こちらが実際の商業登記簿の目的の項目です。
可能な事業の内容がかなり幅広く登記されていることがわかります。

化粧品の製造販売はこの会社のそもそもの生業です。
エステとネイルサロンは化粧品との関連性があるので事業展開としては理解できます。
しかし、5番目以降に出てくる電力関連に関しては、本業との関連性がありません。
もちろん推測でしかありませんが、本業の収益性が良くなく、電力関連に方向転換して展開しようとしたのではないかと読み取れます。

このような一貫性のない目的を登記している会社には近づかいないというのが与信管理での鉄則です。

投資詐欺の手法に変化なし!

今回はweb3.0の周辺の投資案件についてご紹介しましたが、手法としては従来の事案と何ら変わりがないことは明らかです。
以前にご紹介したM資金詐欺も数十年にわたって繰り返されています。
今後、ITの発達に合わせて新しい手法の怪しい案件も出てくるでしょうが、まずは基本的な確認ができれば、概ねの被害を回避できると思います。

web3.0に関連する投資の誘いを受けたら、勧誘しているのは誰か、どんな事業を手掛け、これから何をしようとしているのか、さまざまな角度から検証してみることが必要でしょう。

柏瀬秀一さんの過去記事は、以下からもご覧いただけます。
危ない案件① 事業投資プレーヤーの肩書だけで信用するな!
危ない案件② M資金詐欺の流行と創業者一族に潜む投資詐欺へのリスク
危ない案件③ 資金繰りの苦しい企業が詐欺の一役を担う

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柏瀬秀一
株式会社Principal&Co. 代表取締役

投稿者プロフィール
東海大学文学部卒業。 株式会社東京商工リサーチに入社。
調査員を志し入社するも配属はデータバンク営業本部。以来、東京商工リサーチと米国ダンアンドブラッドストリートとの合弁会社D&BTSR、フランスの取引信用保険会社Cofaceと与信管理業界の営業として26年間をすごす。
その間に自身も採用に関わる中、外資系企業でリファラル採用が主流になるのを経験し、日本企業にもリファラル採用をとの思いから、2021年に株式会社Principal&Co.を設立。採用業務支援と与信管理や企業情報データの導入支援を行う。
倒産確率算出モデル、企業評価モデル、国内海外の信用調査業務に知見がある。

趣味は野球の審判(学童部)、ワイン 2012年~2016年にワインの勉強会を運営、ミュージカル観劇 クロード=ミシェル・シェーンベルグの作品が好き。

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