よそ者、若者が変えつつある日本酒業界~世界を見据えた挑戦者たち

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国内の酒蔵の数は、1960年代に全国で約4,000蔵ありましたが、吸収合併・廃業などを経て現在では約1,400蔵まで減少しています※1。国内消費の回復はまだですが、国が酒類業振興関係の予算を積極的に計上する※2など、業界全体にとっては追い風となる環境が整いつつあります。衰退が叫ばれて久しい日本酒業界に新風を吹き込む新参者たちが登場し、イノベーションを巻き起こしている現状の一端とともに、日本酒業界の今をお届けします。

※1 国税庁 酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和4年アンケート)
※2 国税庁 令和5年度酒類業振興関係予算より

世界文化遺産への登録可能性

政府は「酒造り」をユネスコ無形文化遺産にしようと尽力しています※3
2013年に「和食」が世界遺産に登録され、海外で日本酒が高く評価されるきっかけともなり、その期待は強まります。
近年、登録審査が厳しくなってきておりますが、早ければ、2024 年秋に決定するかもしれません。
※3 文化庁 「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への提案を決定

海外輸出の増加

2022年度の日本酒輸出額は474億円に達し、13年連続で伸びています。
海外市場は、まだまだ伸びる余地があります。

出典:PR TIMES

国別の輸出金額でみると、第1位中国、第2位アメリカ、第3位香港と続き、上位3か国の合計で全体の約2/3を占めています。
高値取引されており、例えば加藤吉平商店の「梵(Born)」は、中国で日本の10倍以上の価格がついています。

画像出典:amazon

今後期待できるのはASEAN地域です。
特に、ベトナム、タイ、マレーシアでは、前年度比2倍近い伸び率となっています。

参考:PR TIMES「2022年度日本酒輸出実績 金額・数量ともに過去最高を記録!輸出額は475億円(昨対比:118.2%)で13年連続前年を上回る!」

高単価のプレミア日本酒の登場

朝日酒造(新潟)の「久保田 萬寿(Kubota Manju)」、髙木酒造(山形)の「十四代(Juyondai)」、木屋正酒造(三重)の「而今(Jikon)」、黒龍酒造(福井)の「黒龍(Kokuryu)」等、特別感のあるプレミア日本酒が、どんどん増えてきています。

(左)新潟県「朝日酒造」『久保田 萬寿』 (右)山形県「髙木酒造」『十四代』

(左)三重県「木屋正酒造」『而今』 (右)福井県「黒龍酒造」『黒龍』

日本酒は「しぼりたて」が評価される傾向にありますが、熟成して美味しくなる日本酒もたくさんあるので、今後の市場拡大に期待したいところです。

▶次のページでは、酒蔵再生への挑戦!業界の外から新風を吹き込むベンチャー企業や事業承継した若者の活躍についてお話しします!

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齋藤 由紀夫
株式会社つながりバンク 代表

投稿者プロフィール
株式会社つながりバンク 代表。
オリックス㈱に16年在籍後、2012年に独立。
スモールМ&Aの普及活動を中心に、事業再生・リノベーション等に注力。自らМ&A・事業投資も行い、数件エグジット済。
経営革新等支援機関(中小企業庁主管、認定支援機関)、事業引継ぎ支援センター 専門登録機関、日本経営士協会 経営士、日本外部承継診断協会 顧問。
趣味は焚火、居酒屋巡礼、トレイルランニング。

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