チャレンジできる日本社会を実現する投資の力(後編)

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経営戦略・戦術に関するアドバイザーで、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を展開する中島宏明氏によるインタビューの後編。前編に引き続き、投資型クラウドファンディング事業やIFA(独立系フィナンシャル・アドバイザー)事業を展開する株式会社クラウドファンディングの伊東修氏に、投資・資産運用に必要な姿勢や知識についてお話を伺っています。

株式会社クラウドファンディング 代表取締役社長 伊東修氏

フルオーダーメイドの資金調達が可能

中島氏――クラウドファンディングという資金調達方法そのものは、かなり世の中に浸透したと思うのですが、株式会社クラウドファンディングが運営するjitsugenならではの強みはどのような点でしょうか?

伊東氏――弊社が行っているクラウドファンディング「jitsugen」は、匿名組合出資という仕組みで行っており、その特徴は、資金調達する側にも投資をする側にも調達金額の上限がないことです。
ですので、資金調達をする側は大きな資金を集めることが可能ですし、投資家はこれだ!と思う事業に大きな金額を投資することが可能です。

一方で、一般的に知られる株式型クラウドファンディングは、1投資案件に1人当たり1回50万円までという上限や発行体が調達できる金額にも1億円という上限があり、1億円を調達するには最低でも200人の投資家が必要となるので、管理の手間やコストが増えてしまいますが、それはそれで投資家の人数が多い分ファンも増えるという面でとても良いことだと思います。

クラウドファンディングによってチャレンジを促し夢を実現する手段としては、「株式型」も「匿名組合出資型」もどちらも素晴らしいものだと思っておりますので、比較しつつ、場合によっては両方使う機会があっても良いかもしれません。
投資=世の中を良くすることにつなげて経済発展に寄与してほしいと思っています。

中島氏――極端な話、「1億円を出資してくれる人が1人」でも良いわけですよね。お金を出したい人が出せるというのは、シンプルで良いですね。

伊東氏――そうですね。相対で取り決めた契約になりますから、契約の内容は個別に決めることができます。
例えば、「5年間は分配しない」「5年後に一括分配する」など、期間も自由に取り決めることができます。
合意点をお互いに調整できるので、フルオーダーメイドの資金調達が可能です。

NFTでクラウドファンディングの課題を解決

中島氏――フルオーダーメイドの資金調達って、投資する側にとっても投資される側にとっても良いですね。2021年は、ブロックチェーン業界では「NFT(非代替性トークン)」に注目が集まりましたが、NFTはオンリーワンのトークンです。最近では、RWAトークン(現物資産のトークン)とも呼ばれます。このNFTと匿名組合出資によるクラウドファンディングって、極めて相性が良さそうですね。

伊東氏――そのとおりです。NFT化もできると思います。
NFT化してトークンを取引できるセカンダリーマーケットが誕生するかもしれませんし、私たちもつくりたいと考えています。
クラウドファンディングには、資金調達のスピード感やコスト面の課題があると申し上げましたが、流動性も課題のひとつです。
管理コストとのバランスも考えなければいけません。

それが、NFTとセカンダリーマーケットによって解消できる可能性があります。
NFTはブロックチェーンでトラストレス(第三者が取引を保証する必要がない)ですから、管理コストを削減できるかもしれません。
また、NFTとセカンダリーマーケットによって、資金を動かすことのできない期間を短くできるかもしれませんから、投資家にとってより安心感が高まります。

中島氏――NFTで世界中の人がセカンダリーマーケットにアクセスして暗号資産(仮想通貨)や法定通貨で決済できれば、日本だけではなく海外も市場になりますね。

伊東氏――国境という概念がなくなりますし、24時間取引が可能というのも流動性に良い影響をもたらします。
即時に決済や契約が完了するというのも魅力的です。
やはり、「本当に買えているのか?」と不安になる期間は短ければ短いほど良いわけです。
流動性や取引のスピードは、フィンテックの力によって解消できると感じます。

資金調達はエクイティファイナンスとデットファイナンス

中島氏――では最後に、おいしいプラスやモビリティファンドという事業を実際に行ってみて実感したことはありますか?

伊東氏――クラウドファンディングは、実際に資金ゼロから事業や商品、サービスを生み出すことができます。
クラウドファンディングであれば、資金調達をしながら商品やサービスのファンもつくることができますし、「どれくらいウケるのか」というある種のテストマーケティングもできます。
投資されたお金を当然事業に活用できますし、なかにはアイデアをくれる投資家もいたり、シナジーのありそうな会社をご紹介してくれたりするケースもありました。
そういったことは、クラウドファンディングならではかなと思います。

また、匿名組合出資であれば「株主をあまり増やしたくない」という要望に応えることもできます。
クラウドファンディング(匿名組合出資での資金調達)やデット(銀行からの資金調達)であれば株主は一切増えません。
一般的に事業を立ち上げ、ある程度基盤をつくった段階で、ベンチャーキャピタルからの資金調達に進むことが多いと思いますが、クラウドファンディングを活用すれば、創業時の時価総額が低評価の株式(企業価値での調達)ではなく、その時に応じた方法で資金を調達することができるのも魅力です。
会社のステージによって合う資金調達方法がありますから、上手く活用してほしいですね。

中島氏――余裕資金から不足資金にお金を融通するから「金融」と言いますものね。しかし、エクイティファイナンスとデットファイナンスは異文化という感じがします。テック系のスタートアップ企業は、エクイティファイナンスには明るいけど銀行とのお付き合いはほぼない。脱サラして起業した人は、デットファイナンスには明るいけど投資家とのお付き合いはほぼない。ステージに合わせて両方を活用するのが、やはりベストですね。

資産運用でも、事業投資や金融商品、不動産などどれかに偏るのではなく、ある程度分散することが重要だと思います。他の世界を知ることは学びにも糧にもなりますし。伊東さんはIFA事業もされているので、投資家がクラウドファンディングで事業投資して得た利益を他で運用するなど、長期的なアドバイスやサポートもできる点が素晴らしいですよね。

伊東氏――ありがとうございます。
クラウドファンディングとIFAの両輪で事業展開できるのは、弊社の強みです。
1案件の投資で終わる関係性ではなく、あくまでも長期的な視点でニーズに合わせたご提案もできます。
そこはやはり、証券時代の経験がとても活きますね。
これからも、投資によって社会をより良く変えていきたいと思っています。

前編はこちらからご覧いただけます。

出典:マイナビニュース「日本からポストGAFAを生み出すには投資が欠かせない(後編)」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

伊東修
株式会社クラウドファンディング 代表取締役社長

投稿者プロフィール
中学時代に投資の世界で生きることを決める。
2002年 野村證券株式会社入社。全国同期3年連続営業成績トップ。3年目にして全国7年次以下全社員中営業成績トップ(野村証券史上初)。
2006年 米モルガンスタンレー証券会社入社。機関投資家、上場会社、未上場会社等の法人営業に従事。
2008年 リーマンショック等未曾有の金融危機の中、ヴァイスプレジデント昇格。
2013年 株式会社クラウドファンディング創業。
2014年 第二種金融商品取引業・電子募集取扱業務登録
理念:未来は創れるもの
出身:神奈川県
趣味:四季報を読むこと

中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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