暗号資産がポートフォリオに組み込まれる日

インターネット上での財産的価値のやり取りが可能な仕組み「暗号資産」。ビットコインをはじめとした各暗号資産に高い関心が集まり、コロナ禍のなかでも取引が過熱しています。前回はビットコインの歴史を時系列で外観しましたが、果たして将来、暗号資産がポートフォリオに普通に組み込まれる日は訪れるのでしょうか。その可能性について、20代の頃から暗号資産や海外不動産などに投資をし、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏の未来予測を紹介します。

メディア露出で広がる投資対象としての認知

一部の人にしか認知されていなかったビットコインの存在は、2010年7月にコンピューター系ニュースを中心に取り扱うアメリカの電子掲示板「スラッシュドット」に取り上げられ、世間に知れ渡るようになりました。

ネガティブ情報も需要の証と受け入れられた

2011年4月には、イギリスのタイム誌が「真のデジタルキャッシュ」としてビットコインの特集を組み話題になります。初めて大手メディアに取り上げられたことや、武器などの密売を行っていた闇サイト「シルクロード」における麻薬取引の決済にビットコインが使われたことなどで注目され、6月に入ると1BTCが一時31.91米ドルまで上昇しました。

闇サイトなどの犯罪で使用されることは、一見するとネガティブ情報ではありますが、視点を変えればビットコイン取引には具体的な需要があることの証でもあり、投資対象としての価値を上げるポジティブな情報であると見なす人々も多数存在したということでしょう。

日本では、2013年12月に初めてNHKが番組でビットコイン特集を組みました。この放送や2014年のマウントゴックス事件をきっかけに、多くの日本人がビットコインを知ることになったと言えます。

進む暗号資産に関する法整備

一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産に関するルールの整備も進められました。2015年8月には、ニューヨーク州金融局がビットコイン関連事業者のライセンス制度「ビットライセンス」を世界に先駆けて施行しています。これによって、ニューヨーク州でビットコイン関連事業を行うにはライセンスの取得が必要になりました。その審査は極めて厳格かつ煩雑で、結果、多くの暗号資産関連事業者がニューヨーク州から撤退するといった事態を招聘します。しかしこれはビットコインユーザーから見れば、事業者の選別が行われ低劣な事業者が淘汰されたということでもあり、取引に関して安心感が増すことになったとも言えるのです。

日本では、2017年4月1日に「改正資金決済法」が施行され、定義された「仮想通貨交換業※1」の要件を満たす「仮想通貨交換事業者※2」は登録が必要となりました。ビットコインをはじめとした暗号資産での取引は、金融庁の監督を受けることになったのです。法整備はデメリットばかりではなく、今まで参入しにくかった企業が業界に参入する可能性を広げ取引の機会が多くなるメリットも生むのではないでしょうか。

※1.2,現在は暗号資産交換業および暗号資産交換事業者に呼称変更。
参照元:金融庁HP「暗号資産関係

社会的ステータスが暗号資産の信頼性を高める

取引所の開設や決済導入、ビットコインATMの設置、メディアによる拡散、ルールの整備など、ビットコインはホルダーたちの創意工夫によって普及してきたと言えます。最近では、「ビットコインETF」や「暗号資産投資信託」などの金融商品化が各国で話題になっています。これらが認可された暁には、取引所以外のチャネルからの流入も増えるでしょう。

当たり前にポートフォリオに組み込む日

業界に従来の金融企業の参入が増加するなか、企業や個人のポートフォリオにビットコインなどの暗号資産が当たり前に組み込まれるようになるまでには、どれくらいの期間が必要なのでしょうか。

投資会社オフ・ザ・チェイン・キャピタルの創業者であるブライアン・エスティス氏は、2020年の時点で「10年」と考えているようです。ということは、2030年には暗号資産が当たり前になっているのかもしれません。

エスティス氏は、コインテレグラフのインタビューのなかで、次のように予測しています。

2029年、2030年には米国家庭や人々の90%が暗号資産を利用するようになる。その際には米国経済だけでなく、安定して世界経済の一部になっているだろう。

エスティス氏が示す2030年予測の根拠は、技術開発の進展と製品性能の成長の関係を表すS字カーブの分析に基づくものです。

新技術が0%の普及率から10%に到達するまでにかかる時間は、10%から90%に到達するまでの時間と同じだ。0から10%の普及率の間は“もしも”である。新技術が10%の普及率に達したら、それは“いつ”になる。パソコン、インターネット、1970年代のファックス、1940年代の洗濯機、1930年代の自動車、1800年代の鉄道、1600年代の海運など、多くの例で全ての同じ普及カーブを描いている。

暗号資産を巡る環境整備

イギリス初のビットコイン取引所ブリットコインブリットコイン(後にIntersango改称)は2012年に閉鎖、資金難などの理由によるビットマーケット・euは2013年10月末に閉鎖しました。マウントゴックスのビットコイン流出事件。イーロン・マスク氏の発言等による2021年のビットコインの価格暴落は、前回の大暴落と重ねて「2018年の冬の再来」と表現されます。しかし、私はエスティス氏の意見に賛同します。

暗号資産に関する、ポジティブな意見とネガティブな意見は次々に出てきて後を絶ちませんが、四季は巡ります。四季というよりも夏と冬だけの二季と呼ぶ方が相応しいかもしれませんが、また春も秋も来るでしょう。

2030年までに、各国内での法整備や国際間の法整備も進むはずです。技術革新も進み、従来の金融企業が業界に参入することで、ビットコインをはじめとした暗号資産の信用は上がり、社会的ステータスも向上するでしょう。大切なのは、それまでの間、ビットコインの可能性を信じられるかどうかです。

出典:ビットコイン普及の歴史とその先
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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