事業承継問題の解決策は質のいい結婚にあり!

企業の後継者不足は全国的に深刻な問題で、老舗企業も例外ではありません。婿養子、はてはお嫁さんに事業を継いでもらうという選択肢が跡継ぎ問題の突破口として増えているようです。

創業70年の会計事務所2代目の奥様で、全国の経営者のご子息・ご令嬢婚をお見合いで支援する結婚相談所、株式会社しあわせ相談倶楽部代表取締役の村田弘子さんに質のいい結婚のための婚活事情を伺いました。事業承継を子どもの結婚で解決できると、花嫁プレスクール校長でもある村田さんは力強くおっしゃっています。

創業家に見る跡継ぎ不在の苦悩

後継者がいない企業の割合は全体の約6割、そしてその約半数が「継ぐ子がいない」ために廃業を考えていると言います(帝国データバンク 全国企業「後継者不在率」動向調査2020年より)。

筆者は会計事務所の家人ですが、この30年、顧問先で「息子が結婚しない」「孫が生まれない」ために廃業した会社にいくつか関わっています。その多くの社長は、この家も息子の代で終わりかと思うと、急にやる気が失せてしまわれるようです。創業家の場合、ビジネスと同時にファミリーも継いでいく責務があり、それが思うに任せないことに、敗北感を感じるのでしょう。

税理士の妻仲人になる

会計事務所は顧問先の財務会計相談を受ける傍ら、社長さんのご家庭内の悩みを聞く機会も多くあります。「養子が来ないと、老舗ののれんも降ろすことになる。夜も眠れない」と話す社長さん、「お前は何をしているんだと夫に叱られる」とこぼす社長夫人の苦悩を聞くにつけ、これは会計事務所がなんとかできないものかと思案していました。ある日、「うちの子にだれかいい人いないかしら?」と言われたことがきっかけに、税理士の妻は身上書を預かる仲人となりました。

今は、子にレールを敷くことは良くないとする風潮もありますから、お子様に「いい人はいないのか」の一言を言えず、悶々とされる親御様の気苦労は、まさに夜も眠れぬほどと言っても過言ではありません。

このような創業家のお子様の結婚問題は、どのように解決されているのでしょうか。

地元の名士ゆえの悩み

~東京駅からJRで30分、首都圏駅前に3000坪の敷地を持つ地主さんの一人息子さんは会社勤めの40歳、独身だ。親御さんは莫大な相続税が心配で気をもむが、当人は、少しも気にする気配なく、ダイビングに夢中である。~

仲人をしていると、こんな地主さんのお悩みに遭遇します。なぜか地主さんのお宅の身上書をお見掛けすることが多いです。それは、相続税の心配と今後の家の承継への悩みの深さは、一般とは比べものにならないからかもしれません。

地元の名士である地主というお立場上、ご近所での評判を無視できないだけに、異性との交際がしづらい境遇であることも関係がありそうです。

気軽なお付き合いが出来ない背景

門から建物が見えないような立派な門構えのお宅に住まい、地元では、子どもの頃から「地主の○○さんの娘さん」などと噂され、犬の散歩をするにも、近所の目をはばかる、と聞いたことがあります。

もし仮に、縁談相手との交際がうまくいかなくなったような場合、近所の噂になるのではないか、どんなことを言われるのか、などを考えると、一般人のように異性と気楽に付き合うことも、ままならないのでしょう。

地域医療を担う医院の後継ぎ問題

「娘が医学部に行かなかった。開業医の息子の立場ではない医師を紹介してもらえないか?」というご相談をお医者様から頂くことも少なくありません。

地元のお医者様は、その町の医療を担う大事な役目がありますから、おうちの事情で地域医療が崩壊することは、多くの人にとって阻止すべき問題です。

よって、お婿さんを探されるお医者様のほうも、真剣です。お婿さんの学費はこちらで持つから来てほしいと言うように、「充分な支度をするから、優秀な人材に入ってほしい」との願いにも近い切実な気持ちは、痛いほどわかります。

事業承継の婚活スキーム

子が結婚して家を承継していくのかどうかは、家督相続という言葉のなくなった現代でも、このように社会的影響のあることなのです。

結婚式が終わると、「必ず後継ぎを育てよ」、と嫁に告げた先代。家を建てるなら、アフターメンテナンスを考慮し、工務店は後継ぎのいるところを選べと言います。

会計事務所選びも、それに似たところがあります。先代の相続をどうやったか、会計事務所内や親子で共有できていると、相続時精算課税制度の適用済みを見落としたりしないで済みます。

特に地方の会計事務所から、会計士のお婿さんを探してほしいという依頼が時々来ます。顧問先を一から探す苦労を思えば、お婿さんに入る男性にとっても、会計事務所の養子は悪くないお話かもしれません。もちろん、ご本人同士の相性が一番ですが、先ほどの先代の相続情報の共有という面からも、まさに三方良しのスキームとも言えるでしょう。

養子縁組は愛情がプラスされた事業承継

事業承継において“養子”という手法は、100年、200年、いえ1,000年まで続く日本の老舗で必ずといってもいいほど取り入れられてきた解決法です。養子はお婿さんが多いですが、最近では、「嫁に会社を継がせたい」というご依頼も頂くことがあります。

会社だけに依存する生き方は終焉し、起業ブーム、副業ブームが来た後、次は、養子ブームが来るのでは?と考えたりします。養子が、愛情とビジネスの意欲を掛け合わせた、新しい働き方、社会貢献の仕方になると期待しています。

なぜなら、中小企業の廃業によるGDP約22兆円の消失(中小企業庁データ「事業承継・創業政策について 平成31年」より)は、あまりにももったいないことだと思うからです。中小企業のほとんどは、お爺さんお婆さん、お父さんお母さんが子供を育てながら頑張ってきたファミリー企業です。

血縁者承継こそが次世代を担う

私はM&Aもさることながら、ファミリー企業の絆と創業精神を、まずは「血」で次世代に伝えるのが最強だと思っております。たとえ、息子さんが社長にならなくても、婿養子であれば、第三者への事業承継(M&A)とは違い、血で家族をつなぐ限り、お孫さんの代で直系に戻すこともできるのです!

親御さんが、お子様の結婚の可能性を探さずに、手を込まねき諦めてしまわれることは、日本経済にとっても、あまりにもったいないこと。経営者のおうちの安心な婚活が、よりスムーズに運ぶような、安心できるプラットフォームづくりに、邁進したいと考えています。

※2014年より、気楽で質の良い出会いにこだわるオンライン婚活イベント『Singles Bar』を毎月開催中

村田弘子
株式会社しあわせ相談倶楽部 代表取締役
花嫁プレスクール校長

投稿者プロフィール
創業70年の会計事務所2代目に嫁ぎ、後継ぎを必ず育てるよう先代に命じられ、20年間は、3人の子育て、受験に東奔西走の日々を過ごす。その間、会計事務所のFPとしてご相談にかかわるなかで、経営者様からご子息・ご令嬢の縁談を依頼されることが増え、2012年、結婚相談所、しあわせ相談倶楽部設立。

先代が税理士業務の傍らに行っていた仲人を事業化し、全国の医院・士業・経営者のご子息ご令嬢の婚活をお見合いで支援。身上書で預かるスタイルも、親御様から好評を得る。

事業承継(M&A)を結婚で解決することを、会計事務所の新しいソリューションとして、安心のプラットフォーづくりを目指す。
著書に「40歳からハイクラス男性に選ばれるたった1つの方法」(電子書籍)、取材協力に「「婚活」受難時代 」(角川新書)がある。

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