家業から企業へ!4つの酒蔵を統合し、伝統にイノベーションを

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投資・経営支援のスペシャリストたちが集い、日本酒文化を守る会「和酒ラボ」。今回は宮城県の酒造『一ノ蔵』の鈴木整社長をお招きし、講演と試飲を兼ねたイベントを開催しました。鈴木社長の軽妙なプレゼンテーションと数々の蔵出し銘酒に参加者のみなさんは大満足。『一ノ蔵』の軌跡と講演参加者の感想などをお伝えします。

日本酒文化を守る会「和酒ラボ」~宮城県『一蔵』

  • 開催日時:6月23日(金)18:00~
  • 参加者 15名
  • 講師経歴:鈴木 整すずき ひとし 氏

【経歴】
1969年宮城県生まれ
山梨大学中退。
東京のイベント会社に勤務後、2004年に宮城県の蔵元『一蔵』に入社。
製造、財務、営業各部門での勤務を経て、2014年から代表取締役社長を務めている。
設立以来、跡取り4人が順番に数年ずつ社長を務め、4人が任期を終えたら次の代に譲るという「合議制」で経営を行っている。

『一ノ蔵』公式サイトはこちら

講演内容

『一蔵』は、1973年に宮城県の酒造家4社が経営統合した酒蔵で、設立以来4社の合議制で運営している。
『一蔵』設立年は、米の共有割り当ての縛りがなくなって米の自由化が始まった年で、大手日本酒メーカーがブランド力を強め全国での販売展開を始めたため、東北の酒造メーカーは大打撃を受ける。

当時赤字に苦しんでいた宮城県内で商圏の異なるメーカー4社が統合して『一蔵』が誕生。
手作りに徹底的にこだわり、当時の日本酒の級別制度(国税庁の酒類審議会の専門家による「官能による判断」という曖昧な基準)に挑戦する商品「一ノ蔵無鑑査本醸造」を販売。
差別化するため、あえて商品を審査に出さず味は特級酒のものを二級酒として登録商標し、「本当に鑑定なさるのはあなたご自身です。」とラベルに明記。
結果、多くのファンに支持されヒット商品となる。

『一ノ蔵無鑑査本醸造』公式Instagramより

1992年、級別制度が廃止されたことを機に、より確かな品質のものを顧客に届けるため、以下のような理念を掲げ、現2代目グループもこれに沿って経営判断している。

(各社の経営者が)「家の歴史を断つ」「蔵や銘柄を捨てる」「現状を離れて一つになる」覚悟を求めるとともに、「家族ぐるみで付き合い、力を合わせて新しい蔵、本物の酒をつくろう」

すべては話し合いで決定していく合議制なので、そのスピードが遅くならないように、理念に沿った経営指針が不可欠となる。

『一蔵』特選品

発泡日本酒「すず音」GALA

30代女性に日本酒へのアンケートを取り、日本酒への「悪口」を抽出。
その真逆のお酒として造ったのが、アルコール度数を抑えた甘口の「すす音」。
発酵中の炭酸を閉じ込めたスパークリング日本酒は、女性に人気のヒット商品となる。
アルコール度数を9%に上げ甘みも抑えた「すず音GALA」は、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード プレミアムスパークリングSAKE部門 最高金賞」を受賞。

イチからはじめるイチノクラ 純米酒 「吟のいろは」

一ノ蔵の中堅・若手社員が中心となって立ち上げた「イチからはじめるイチノクラ」プロジェクト。
そのシリーズの1つ「吟のいろは」の火入酒。
粒の大きい、心白というものが発現する酒米を作ろうと、手間を惜しまずに育てた米が使われている。
穏やかな香りと柔らかな旨味が広がる軽快な味わいに仕上がった数量限定品です。

参加者へのアンケート結果

・また『一ノ蔵』の開催を切望します。
・楽しく知的な情報が増えて嬉しいです。鈴木社長!とっても素敵なお酒のご案内、ありがとうございました。
・もっと聞きたい。
・具体的かつ、簡潔かつ、笑いありで、面白かったです。
・とてもGood!楽しい
・素晴らしい見識ですね。
・定期的にご登壇いただきたい。
・(鈴木社長が)素敵なお人柄で、経営理念や4人での経営など、素晴らしいです。
・プレゼン力にビックリ!時間があっという間でした。
・酒造ツアーを企画してください。
・それぞれにとても味わいがあり、かつ違っていて、楽しかったです。
・人気の『一ノ蔵』さんの人気たる所以を知ることができました。

編集部より

酒蔵の「家業」というこだわりを捨て、合議制による4社合同の企業経営を継続されている『一ノ蔵』。
鈴木社長に、「4TOPで経営がスムーズにできるコツは何ですか?」と質問したところ、「コミュニケーション!とにかく話し合うことです。」との回答。
講演の内容からも、本物の日本酒を、より良いかたちで造り、より多くの方に送り届けるための極意を学ばせていただきました。
参加者の方々も日本酒を楽しみながら、たくさんの発見をされたと思います。

「和酒ラボ」は、「事業投資ラボ」の分科会の1つです。
2016年1月より、定期的に講演会等を開催し継続してきた「事業投資ラボ(旧:スモールM&A研究会)」。
事業投資の事例、ノウハウ共有を目的に、「和酒ラボ」のほか、「M&A」「社長のしくじり」「健康資産」「宇宙ビジネス」など、「事業投資を自ら実践する方々」を対象とした、より実践的で役に立つ、楽しくディープな会を催し、情報発信を続けてまいります。
「事業投資ラボ」に関するお問い合わせ先:つながりバンク

事業投資オンラインZ-EN編集部

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記事内容はZ-EN編集部にて、編集・管理・監修を行っております。

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