人を引き寄せる自己ブランディングでよい人脈を作る(後編)
- 2021/8/25
- 経営全般
これまで本を10冊以上出版し、今から10年前の震災の時に出版した「年収1億円思考」を18万部売り上げた江上治さん。前編では、江上さんのスモールM&A研究会での講演内容から、よい人脈を作るために必要な自己分析とそのプロセスについてお伝えしました。後編では、ご自身のプロフィールから人付き合いのコツや一流とはどのようなことかについて語っていただきます。成功に導く一流の人との人脈作りにはどんなスキルが必要なのでしょう。努力する方向性を見極めたい方、必見です。
目次
プロフィール” 江上治”
もともと私は、保険会社で37歳までサラリーマンで勤務をしていました。東京海上日動火災保険に入社し、保険商品を作る仕事と、B to Bで金融機関への営業をして全国1位を4回とりました。その後、ソニー生命に転職し、某大手自動車会社の退職金制度を変えたり、保険の代理店を育成したりといった企画系の仕事を経て独立し、今は小さい会社を3つ経営しているといった状況です。
出身は熊本の天草というイルカがいっぱいいる自然が豊かな所です。生家の江上家は代々商売をやっている家系で、私が小さい頃には旅館などいろいろな事業をやっていました。今は小さな家電販売店をしていますので、継いだら4代目の跡継ぎということになります。
私がこれまで生きてきて失敗したこと、辛かったことは、やはり、努力して頑張って家族を支えてくれた父を助けられなかったことです。助けられなかった原因は、私にスキルがなかったからです。大学生でしたので、情報も人脈もなくて、助けられなかった。その思いが強いので、自分自身が影響力を持っていろんな仲間を作って彼らの中に困っている人がいたら助けたい、父のような人を作りたくないという思いが強いです。
そして、なんでも一人で頑張ろうとしますね。最初に入った会社でも、一人で顧客を開拓して一人で頑張れという文化がある会社でしたので、人に頼ろうとか、誰かと一緒にやろうとかいう意識がなかったんですね。
いい努力が成功を導く
今の興味・関心を作るのは原体験
私が世の中を見る視点の中心には、人は努力すれば報われるというものでもないというのが常にあります。それは、私の父が人のために働いて頑張ったけれど報われないまま亡くなったことによります。私の顧客の皆さんは、「いい努力」をされているから成功しているのでしょう。その努力のし方とか人の運って何なんだろうというのが、私が世の中を見るフィルターになっています。
なぜ世の中にはうまくいく人とそうでない人がいるのかなと。品格がないといわれることもありますが、本の中でも、うまくいく人といかない人の違いは何かについて書いています。私が世の中を見たり人を見たりする視点もそういう視点に基づいていますが、それらは全部、私が生まれ育った時からどういう世界を見てきたかという原体験に基づいています。
結果、今の私がお付き合いしているお客様は、0→1の創業オーナーで、一代で会社を大きくし何かの分野で日本一をとっているような方が多いんですが、それは私がそういう方たちに強い関心があるからなんですね。面白いことをやられているのでとても興味があり一緒にご飯を食べたりするんですが、やはり興味が湧かない方とはお付き合いしなくなります。
誰に、何を与えるか
もう一つ大事にしていることは目利き力です。私もお客様からよく言われるんですが、付き合う人は考えなきゃだめだよと。どうでもいい人に情報を与えたり、ずるい人に人を紹介したりすると結局自分に返ってくるので、誰に与えればいいのか、どういうチームを組めばいいのかっていうのがようやくわかってきました。今まで独立してから20億円くらい稼いできたと思うんですが、この前、自分の財産をチェックしたら、資産の現預金額が5000万円くらいしかないんですね。なんでこんなにお金がないのかなというと、自分の悪い癖が原因なんだと思います。とにかく父が、貧乏でも借金があっても人に与えよという人だったので、どうでもいい人にお金を貸したり、つまらない人に人を紹介したりして、その尻ぬぐいをしたりしていました。経営指南本にはよく与える人になりなさいと書いてありますし、私もGIVE&TAKEという本が大好きですが、依存型の人に与えても決して相手のためにはならないんです。
一流とは何だろう
一流の人の定義について
私が尊敬する三光ソフランの高橋会長は、私の顧客の一人ですが、米屋の2代目からスタートされて、グループ全体社員数8000人、売上750億円まで事業を伸ばし、4社を上場させた方です。リーマンショックで株価が20分の1に落ち込んだ時もチャンスと捉え、MBOをかけて自社株買いし、その後上場は廃止しましたが、アパマンショップグループ内ではNo.1の店舗出店数を誇り、その他にもいろいろと多角経営をしていらっしゃいます。
髙橋会長の名言があって、「信じるな、疑うな、確認しろ」というものです。「信じるな」とは、自分が成功したのは事業に対して博打打ではなく、しっかりとした目利きがあったからだと会長はおっしゃっています。人の話を鵜吞みにして全部信じてはいけないということです。「疑うな」というのも、全部疑ってはいけないということ。きちんとその人と会ってその人がやっていること、プロフィールを納得した上で、物件を見るなどして事実を確かめることを怠るな「確認しろ」ということです。
そして、一流と見極めた人と付き合うと、周りも一流の人で、信用できる可能性も高いということです。
よい人脈を作るための3つの秘訣
私が考える「よい人脈作り」には、以下の3つの視点が大切だと思っています。
- 自分が持っている才能を発見しそれをスキルにして、時間とお金を投資して身に付ける。
- 正しい情報を選択する。洗脳されないためにテレビを見ない、プロセスがよくわからない人とは付き合わない。
- 他人に依存せず自力でアイデアを出す。
まず、どんな生き方をしたいのか、どんなビジネスがしたいのか、誰を喜ばせたいのか、テーマを決めて、工程表を作ることから始めます。アイデアとは既存の組み合わせなので、全くのゼロから生み出す必要はありません。パッと考え思いついたことを書き留めて、集めた資料を組み合わせて形を作ると人にも見せられるのでよいでしょう。
今の時代に必要なスキル
どんな分野においても求められるスキルとは、以下の点に集約されると考えています。
- アイデアを出せる
- 自分の得意なこと以外はやらない(不得手なことは外注すればよい)
- お金を使わずにどうやってフローを生むかを考える
私の2作目の本「年収1億円人生計画」の中でも触れていますが、うまくいっている人っていうのは、10代とか20代のうちに自分の人生をこういうふうに生きたい、これを成し遂げたいというような明確な夢や目的があるんですね。
設計図を作ってそれを仕組化し、しかも一人ではやらないのです。有能なブレーンがいたり、チームに優秀な仲間がいたりして、自分の人生をどうやってうまくいくようにするかを毎日PDCAのように書いていっているんです。
私のところには起業して成功したい、どうやったら江上さんの本に載っているお客さんみたいに成功して年収を高く取れるんですか?と聞いてくる人がいるので、必ずワークで2年後3年後にどうしたいのか、自分が持っている才能は何かを書いてもらう。上手くいかない人は間違った努力をしているケースが多いんです。自分が持っている時間や才能の使い方と交換がすごく下手な人が多い。チームだったらスタッフの方たちに一緒にワークをしてもらうといいと思います。
成功体験から自分の長所を見つける
思考認識が重要です。成功とは、長所の見つけ方なんです。上手くいっていない人は無駄な努力をしていると思っています。今まで生きてきた中で多くの時間をかけることなく、そして大した努力もせずに簡単に身に付けられたことが得意なことです。また、普通の人よりも早くできたことや、自分のパフォーマンスが最大に発揮できたことなどの成功体験の再認識をされるのがいいでしょう。
反対に、失敗パターンを知るというのも大事です。失敗から何を学ぶかでその後が決まります。
成功体験が人を成長させるものだと思うので、今までの人生経験を振り返り、自分を成功に導く長所と価値をぜひ見つけてください。
※資料はすべて江上氏提供