社長のしくじりラボ② 負債84億円倒産からの再起!~藤澤義仁さん

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会社とは社長の器で全てが決まる。経営者自身の考え方や生き様が色濃く反映されるから、成功の方法は経営者の数だけあり再現性は低い。しかし、しくじった経験には一定の法則があるはずだから、我々は、社長の失敗から学ぶべきだ。社長の失敗は貴重な資産である。こんな考えでスタートした「社長のしくじりラボ」の講演内容をお伝えします。

社長のしくじりラボ

11月29日(水)18:30~
講師:藤澤 義仁ふじさわ よしひと

【経歴】
昭和51年生れ 東京都出身
元株式会社エターナルアミューズメント代表取締役
錦城学園高等学校卒業・法政大学経済学部中退
<現職>
・日本経営士協会認定 経営士
・アストリンク株式会社代表取締役
・株式会社ラフェリオ・ジャパン 取締役会長CEO
・株式会社ネクサスエンタープライズ社長室長
・一般社団法人感情セラピー協会理事

負債総額84億円での倒産を体験

私が代表を務めていた(株)エターナルアミューズメントは、全国に97店舗のゲームセンターを運営し、約1,000か所にゲーム機レンタル事業をしていた企業です。
19歳の時に大学を中退し起業したのですが、初年度売上700万円だったものを最盛期には年商約80億円・従業員600名の企業にまで成長させ、当時、アミューズメント業界の風雲児と目されていました。
しかし、急激な事業規模拡大に社内体制が追い付かないまま、資金借り入れをしながら出店・M&A攻勢を繰り返していたため、不採算店舗が続出。
最終的には、2020年4月に負債総額84億円で倒産し、東京初のコロナ関連倒産として報道されました。

倒産後の約2年間は破産管財人と事後処理を行っていましたが、それと同時進行で、現在のレンタカー事業(株式会社ラフェリオ・ジャパン)、経営コンサルタント事業(アストリンク株式会社)を立ち上げました。
レンタカー事業は、初年度から年商1億円、現在3期目となり年商6億円事業へと成長。
経営コンサルタント業は、顧問先10社を超えています。

倒産という「しくじり」から何を学び、わずか3年で再起できたのはなぜか。
少しでも皆さんの参考になればと思い、私の体験をお伝えします。

企業の急成長と倒産の表裏

なぜ成長できたのか

一番の特長は、機材更新頻度の低い「クレーンゲーム機」に特化したこと。
資金面では、メガバンクより地方銀行、信用金庫と積極的な取引をして大口融資を得られたので、同業他社を安価に買収することが可能に。
中古ゲーム機の登用や、自社ゲーム機の中国・台湾での製造によって、機械投資コストを抑え、積極的に出店数を増やしていきました
途中からは、投資家にゲーム機を購入してもらうリースバック方式を導入し、自己資金以上の機械配置、店舗出店も可能になったのです。

急激な成長の裏で起こっていたこと

一方、資金力があることで、失敗店舗を立て直すことよりも新たな出店・M&Aを繰り返すことに注力してしまい、不採算店舗がどんどん増えました。
このような急激な事業拡大によって従業員教育は追い付かず、収益を大きく左右するクレーンゲーム機の扱い手のスキルが育たなかったことや、ゲーム機投資家へのリターン費用や借入金が膨らんだことで、「借入依存企業」となっていきました。

そんな状況が続いても、創業者である私の影響力が極めて大きい「トップダウン企業」のまま
社内の意見を採用して経営を立て直す等の視点も風土もなかったのです。
最終的に、資金調達・財務戦略・成長戦略すべてが場当たり的になっていました。

倒産を決めた理由

借入金が嵩む状況で、事業再建可能性についてできる限り客観的に分析・判断しようとしました。
事業と従業員の継承先の目途をつけられたことで、周りへの影響を最大限配慮できたと思えましたし、ここまでのマイナスをプラスに変えるよりゼロから再起した方が早いだろうと判断し倒産に踏み切ったのです。

倒産前に再起するためのリスクヘッジ(次への準備)ができていたことも後押ししましたが、自分自身、これまでとは全く違う、自分が真にやりたい事業をしてみたくなったのです。
「倒産」という負けを潔く認めることで、新しい一歩を踏み出せると思えましたね。

失敗者というレッテルを受け入れて

倒産を決断したらやりきる、後ろは振り向かずに前を見るという一心で再起に向けて行動し実行しました。
車が好きで、車に関わる仕事がしたいと思い、やりたいことをどうやって事業化できるかをひたすえら考え、結論として、倒産させた会社のストロングポイントだけを生かし、ウィークポイントが出ないような会社を作ろうと思ったんです。
中古車を他社より安く貸すという発想で、新車や高級車を相場よりも安くレンタルできる、ユーザーにとって有益な、大手がやっていないビジネスモデルを考えました。

レンタカー事業での再起

新事業では、他社と差別化するストロングポイントとなる点を明確にしました。

・レンタカーは中古輸入車や高級車に特化する
→他社の国産車より安く提供することで差別化

・従来の来店型ではなく「配車サービス」型にする
→ユーザーにとって便利なうえ、商圏を広げやすい

・車両を投資家に購入してもらい、リースバック方式で運用する
→売却しやすい車は投資対象にもしやすい

・web予約による集客、配車型サービスであるため、安価な土地で事業展開できる
→収益化が早く、黒字化しやすい

しくじりから学んだこと

周囲に頼り、利益を分配する

資金調達を金融機関に頼ることなく、自己資金15%:投資家及び出資者資本85%で維持していますが、多くの人と利益を分け合う事業であることが成功要因だと考えています。
投資家たちが一緒に事業を伸ばすことを考えてくれるため、2024年以降も、北海道から沖縄まで、新規店舗のオープンを控えています。
ジョイントする企業や土地の提供者を投資家たちが見つけてきてくれるのも嬉しいですね。

属人的ではない事業モデルであることが、しくじりの経験から学び再起する際のビジネスの核でした。
資金調達にしても、何もかも自前でやろうとしたことがしくじった原因だと思います。
自分1人でやっている時は、困ったとき助けてくれる人もいないような状況でしたが、今は多くの方が協力をしてくださるので、知恵もたくさん出てきますね。

生涯をかけてやりたい事業をやる

今、行っている「経営コンサルタント事業」は、これからの自分の人生をかけて続けていきたいと思っています。
大きな失敗をしても再起できることを自分が証明して前例となりたいと思い、積極的にメディアにも出演しています。
コンサルタント事業とレンタカー事業の2軸をやっていることで生まれるシナジーもあります。

「失敗のまま」で経営コンサルタントは務まらないし、新事業を軌道に乗せて、きちんと数字が残せれば、「倒産→再起」術を経営指導することにも信憑性がでるはず。
今後は数年以内に事業売却して、経営コンサルタントとして企業支援に注力したいと考えています。

再起した前例として伝えたいこと

前職のストロングポイントを集中的に実施する
→最短距離で事業成長が可能になる。

非属人的で再現性の高いオペレーションを構築する
→誰がやっても一定水準のサービスを提供できる仕組みを作る。

事業資金の目途をつける
→多くの方に協力を仰ぐ。みんなで利益を分け合うことが真の資本主義であるという原点に立ち返る。

競合企業より価格優位性をもつ
→最も成功する確率が高いのは他社と同じものを他社より安く提供すること。これを実現できる方法を考える。

人に誠実に接する・協力者を大切にする
→事業は1人では成し遂げられない。応援してくれるすべての人を大切にすること。

あえて井の中の蛙になる
→まずは小さい世界で1番になって成功体験をし、自信を持つことが成功への近道。

深く考えない・思考はシンプルに
→ビジネスや人生に悩む時こそ思考はシンプルに。「自分がやりたいこと」の1点だけを考える。

講演への感想

中村純二さん

事業失敗の撤退戦を次の事業の準備と同時並行で淡々と推し進める冷静さと、自分の好きなことを競争力のある新規ビジネスプランとして発案し、事業として推し進める実行力が素晴らしいと感歎しました。
また、今後、しくじり経験をもとに、経営コンサルタントとして困っている経営者の役に立ちたいとのお考えにとても共感しました。
失敗を恐れず果敢にチャレンジを続けるリアルなお話をお聞きして、とても学びの多い講演でした。

藤澤義仁
日本経営士協会認定 経営士
アストリンク株式会社代表取締役

投稿者プロフィール
昭和51年生まれ 東京・足立区出身
法政大学中退・日本大学商学部在学中
高校卒業後、浪人生活中に父親の経営する会社へ就職、ほどなく父親の会社が倒産する。
平成7年に有限会社エターナルを創業し中古車販売・アミューズメント機器メンテナンス業務の請負を始める。
平成19年に株式会社エターナルアミューズメントを設立、アミューズメント機器レンタルや直営ゲームセンターなど総合アミューズメント企業へと成長させる(直営店97店舗、年商80億円、従業員600名以上)。
急激な成長による弊害が生じ、2020年4月、負債総額84億円にて経営破綻を経験する。
その後自身の経験を活かし、若き起業家の成長支援の傍ら、経営に苦しむ中小企業経営者のために経営危機コンサルタントとして活動中

中村純二

投稿者プロフィール
1965年生まれ、福岡県出身、東京都三鷹市在住。大学卒業後、大手印刷会社に入社。
高松、大阪、東京で23年の営業経験ののち、2010年から販売促進事業の事業責任者として、「新規事業・商材開発支援」、「営業・業務効率改善支援」、「既存設備・技術活用支援」、「製造現場効率改善支援」、「M&A斡旋」での活動実績を持つ。
「徹底した現場主義で社長・現場と向き合う」、「ギブファーストの精神」「成果は山分け」をモットーとして今後、微力ながら日本の中小企業の成長に貢献できればと考えている。

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