社長のしくじりラボ【座談会】失敗から学ぶべきポイントを伝授!

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再起に必要な心構え15か条

八起会資料を基にZ-EN編集部が作成

由紀夫氏――では、ここから前向きな話として、再起するための15か条について考えます。
若干精神的な部分が大きい、心構えなどの気の持ちようのことですね。

竹花氏――特に1番のような信仰なんて言うと宗教っぽいんですけど、何か宗教に近いものを持っていないといかんということじゃないかなと思います。
神社でもいいし、お寺でもいいし。

由紀夫氏――私も見ていると、M&Aの買い手の方は基本的に成功する方が多いですが、非常に信仰心が強い方多いですね。
信仰を基本に契約の日にちも決めるし、お抱えの占い師がいたりもしますね。

あと4番「既成概念を捨てること」も必要ですね。
時代の変化が早いので規制概念に捕らわれないようによく注意しなくちゃいけないってことは、昔から言われています。
6番「名参謀(相談者)をもつ」ということも同様で、右腕がいないと悩まれている経営者は多いです。
どうしたらこういう人を見つけれるんでしょうかね。

竹花氏――これめちゃくちゃ難しいですね。
まさに慶助さんのことですね。

由紀夫氏――自分で採用できなければ、外部にプレーンを持つのも1つの方法ですよね。

竹花氏――なるほど、そうですね。まさに経営士協会さんにお願いするのが1番良い方法でしょうね。

由紀夫氏――ありがとうございます。
8番「2等兵になること」というのは、初心忘れずに!みたいな感じですか。

竹花氏――7と8は同じで、1回倒産した人が再起するわけですから、要は自分が働かないとダメってことです。

由紀夫氏――なるほど。確かにわかります。
9番「欲を出さない」は難しい。
人間は欲深いですし、場合によっては欲もなきゃダメですし。
11番「絶対病気をしないこと」ですごく感じるのが、メンタルも含めて社長の健康と売上げが連動していることです。

竹花氏――厳しい話なんですけど、 とにかく経営者は自分1人で始めなきゃいけないこともあって、ものすごく頑張らなければいけない時もある。
だから、自分で健康に留意しようと強く決意して気をつけていくしかないんじゃないかという気がします。
慶助さんは何か気になるところありませんか。

慶助氏――どんどん良くなる社長さんたちは、自分の持っている商品なりサービスについて明確にそのメリットを発信できる方だと私は思うんです。
結局、商品、サービスを購入してくれる消費者に対して、その効能を発信できるという姿勢が環境を良くしていくという気がします。

2度と失敗しないための社長の着眼点

八起会資料を基にZ-EN編集部が作成

由紀夫氏――最後、「2度と失敗しないための社長の着眼点」ですね。
より具体的になって、このように動けという行動指針に近いものです。
まずは「見栄を張るな」
経営者はせっかく経営者になったんだから見栄を張りたいものですから、なかなか厳しいですね。
「お人好し」
これもわかりますね。
失敗したか社長がさらにまた失敗しないように心がける。

竹花氏――これらすべては失敗した社長だけじゃなく、現役の経営者が気をつける観点としても非常に大切だと思います。

由紀夫氏――そうですね。得意先もいざとなれば過酷だということは、現実にあります。
実際には、資金の回収なんかいち早くしますもんね。
「何かを見抜く力をつけろ」というのは、難しいですよね。
慶助さんのところには、騙されてくる方も結構多いんじゃないですか。

慶助氏――最近の傾向として、若い方がマルチ商法で高い参加料を払って セミナーを受講するとか、よくありますね。
騙す側の方がどんどん仕事が増えているというのが現実ですね。

竹花氏――騙されるという観点で言いますと、実は会社の経営が苦しくなればなるほど詐欺師が寄ってくるというのを会長の話で聞いたんですが、今でもそんな傾向があるんでしょうか。

慶助氏――まさしくあると思います。
きっかけは、銀行から融資を受けられないような際に、闇金からきた融資の誘いに乗ってしまうこと。
今日1000万円振り込みますみたいなファックスを真に受けて、連絡してしまうんですよね。
先月も、500万円を先に保証金として払ってくれれば、5000万円その日のうちに融資しますという話を信じて借金して500万円払った社長が相談に来ました。

竹花氏――判断力が鈍っているということですよね。

慶助氏――焦ってしまっているのか、資金繰りに行き詰まると普段では考えられないことをしてしまいますね。

竹花氏――それこそ藁をも掴むというやつですね。

由紀夫氏――40年前よりも環境の変化は今の方が数段に早いですからね。
10番の過去の成功体験にとらわれることも危険。
11番「不振時の売上は、好調時の8割でよい」は簡単にどういうことになりますか。

竹花氏――不振な時期はあまり極端に売上げを追うのではなく、売上げが仮に8割になったとしても、経費の削減などでカバーすべきということでしょう。
私共中小企業は、大企業に比べ人のリストラができない。
中小企業のほとんどの経費が人件費なんですが、 だからといって大企業のように必要に応じてリストラすれば結局会社は潰れてしまいますから。

由紀夫氏――12番の「会社の金を使ってしまう」ということもよくあって、実際の収支を計算すると、仮払金とか社長の貸付金が結構多いです。

竹花氏――会社にお金が入ってくると、自分のお金のような気がしてしまうのが、 経営者としての私の実感でもあります。

由紀夫氏――14番「酒好き・女好き」はどうですか。
お2人の意見聞きたいんですけど。

慶助氏――あまり度を超えちゃうと、まさしく体と家族の倒産ですね。

由紀夫氏――ほどほどの感覚がわからないんですね、
再度ここで議論したいんですけど、私も会社を売却する方によく理由聞くんですが、結構本音で、実は社長向いていなかったって言う方がいるんですよ。
借り入れも怖いし、人を雇うのも苦手だし、親から継いだから仕方がなくやっていると。
これ、みんな不幸ですよ。
その辺ちょっとお2人のご意見聞きたいんですけど。

竹花氏――そもそも、自分が社長向いていないと思いながら独立、起業する人はあまりいないと思うんです。
多分、今おっしゃったパターンを私は「2代目の悲劇」と言っているんですけど、2代目、3代目が仕方がなく継いで結局潰してしまう。
それも親の創業社長が実はすでに経営状況を悪くしていて、借金をたくさん抱えているパターンも多い。

慶助氏――そうですね。確かに。
2代目の方で、経営に向いていないのではと思われるような、 本当に可哀そうな人がいます。
そういう時は借金をする前に早めにやめた方がいいですよね。

由紀夫氏――経営自体がストレスだったら、人生がもったいないですからね。
今日はお2人の経験を交え、いろいろな側面から経営と倒産、その後の再起などについて重要な気付きとなるお話をしていただきました。
どうもありがとうございました。

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竹花利明
八起会代表 株式会社ラスソフト 代表取締役

投稿者プロフィール
1999年 有限会社プラスソフトを設立、代表取締役に就任。(2019年、株式会社に)
2006年「経営に対して漠然とした不安を抱き」八起会を訪れ、八起会会員となる。
2010年 八起会の世話人に就任。
2012年 八起会HPを作成し始める。
2016年 野口会長 逝去の後、世話人全員の推薦にて、代表世話人に就任。倒産の経験なし。
2019年 倒産しない経営を学ぶ「不倒会」を、八起会の活動として開始。

齋藤慶助
ウィンコンサルティング株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
30才までノンバンクで支配人(訴訟活動)を経験し、1992年に経営コンサルティングと事業再生を目的とするウィンコンサルティング株式会社を設立する。
支配人時代に得た、回収と攻めの方法の知識・知恵を逆に使い、独立から33年間で財務的に困窮している個人や法人、4,300人以上の再生を行う。
全国の約200社の顧問を担当し、売上の増大、借入金返済の軽減、事業再生のコンサルティングを行っている。
東京都宅建協会千代田支部所属、経済産業大臣認定経営革新等支援機関。

齋藤 由紀夫
株式会社つながりバンク 代表

投稿者プロフィール
株式会社つながりバンク 代表。
オリックス㈱に16年在籍後、2012年に独立。
スモールМ&Aの普及活動を中心に、事業再生・リノベーション等に注力。自らМ&A・事業投資も行い、数件エグジット済。
経営革新等支援機関(中小企業庁主管、認定支援機関)、事業引継ぎ支援センター 専門登録機関、日本経営士協会 経営士、日本外部承継診断協会 顧問。
趣味は焚火、居酒屋巡礼、トレイルランニング。

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