【書評】変化を恐れず柔軟に適応する!予期しない現実にも自分らしい生き方で

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変化により得られる安定の機会

忘れないでほしい、人生は変化だということを。変化を恐れることは、いろいろな意味で人生を恐れることだ。そして慢性的な恐怖は、自分自身にとっても、文化にとっても害になる。

私たちが生きるうえで変化は避けられないものですが、変化を恐れることは、人々の思考を狭め、柔軟さや創造性を奪い、さらには他者への不信や対立を引き起こします。
だからこそ、変化を恐れず、不確実性やはかなさに向き合うスキルを身につける人が増えれば、状況は確実に改善されます。
変化を自然なものとして受け入れ冷静に対応できる人が多くなることで、社会全体がより健全で希望に満ちたものになるのです。

私たちが持つべき視点のひとつは、変化と人生の終焉となる「死」を結びつけて考えることです。
誰にでも平等に訪れる死を直視し受け入れることが、変化への恐れを克服する第一歩です。
死が避けられない事実であるように、変化もまた不可避な人生の自然な一部として受け止めることが重要なのです。

このように、変化を受け入れる力を持つことは、恐れに支配されない自由な生き方を可能にします。
そして、そのような姿勢が広まれば、思いやりや信頼が育まれ、人々が互いに助け合い、希望を持って生きる環境が作られます。

新しい秩序の構築アロスタシス

ホメオスタシスが「秩序→無秩序→秩序」というパターンを特徴とするのに対して、アロスタシスは「秩序→無秩序→再秩序」を特徴とする。

ホメオスタシスが単純に秩序を保とうとするプロセスを指すのに対し、アロスタシスは秩序から無秩序、そして再び新たな秩序へと移行する、より動的で柔軟なプロセスを意味します。
このプロセスは、避けられない変化を乗り越えるための道筋を示すものです。

筆者は、変化への対応を4つのタイプに分類し、それぞれの特徴と限界を明確にしました。

  • 「変化を避ける」という行動は、目の前の現実から逃げる試みであり、短期的には安心感をもたらすかもしれませんが、長期的には成長の機会を失うことに繋がります。
  • 「抵抗する」態度は、変化に立ち向かおうとする強さを示す一方で、無駄なエネルギーを消耗しやすく、結果的に疲弊を招きます。
  • 「主体性を手放す」選択は、自らの力で環境を変えようとする意欲を欠いた状態であり、無力感や停滞感をもたらします。
  • 「元の状態に戻ろうとする」試みは、一見安定を目指しているように見えますが、変化の本質を無視することで現状維持に執着し、さらなる混乱を招く可能性を孕んでいます。

筆者は、真に有益な方法として「変化を対話相手とする」アプローチを提案します。
変化と対話するとは、変化を敵対視せずに機会と捉え、進化のためのパートナーとして受け入れることです。
アロスタシスの「秩序→無秩序→再秩序」という、より進化的なサイクルを提唱し、「再秩序」の段階で新しい安定性が構築され、それまでには存在しなかった新たな成長や可能性が生まれるのです。

強靭なアイデンティティを維持する

幸せで健康で高いパフォーマンスを維持している個人や組織は、このパターンを経験する。自分自身を何度も再構築することで、強くて耐久性のあるアイデンティティを維持しているのだ。 彼らは勇気を出して現在の状況をあきらめて、無秩序な状態に陥り、そしてその先にあるさらなる安定性とアイデンティティにたどり着く。こうした人たちはみな、アイデンティティを安定したものであると同時に変化していくものだと考えている。

成功する人や組織は、安定した状態に執着しないだけでなく手放すことすら恐れません。
一時的に混乱し不安定で予測できない状況にあえて身を置くことで、より大きな秩序や新しい安定性を手に入れるのです。
この試練の先に待つ新しい秩序は、以前よりも深い安定感と可能性をもたらします。

こうした人々の特徴は、アイデンティティに対する考え方が柔軟なことです。
彼らは、自己を常に変化し進化していくものとして捉え、変化を通じてアイデンティティが鍛えられより強化されていくと考えるのです。

様々なアイデンティティを持つことで、失敗が気にならなくなり、人生もうまくいくようになります。
私も社外取締役、アドバイザー、著者、ブロガー、投資家という多様なアイデンティティを持つことで、変化を楽しめるようになりました。
自分を固定的なものではなく、流動的なものと捉えるのです。

変化への適応は個人だけでなく、企業も強くします。
多くの新聞メディアがデジタル化に慎重だったさなか、ニューヨーク・タイムズはテクノロジーの進化を受け入れ適応することで新たな読者層を獲得しました。
さらに、広告収入に依存しない体質を確立し、変化を成長の原動力とした成功例を示しました。

筆者は、「非二元的思考」を重視し、物事を「良い・悪い」のように単純な二分法で判断することの限界を指摘します。
曖昧さや複雑さを受け入れる柔軟な思考こそが、変化に適応しそれを乗り越え、長期的な成功と幸福を実現する鍵となるからです。
変化の波を恐れることなく自らの成長の一部として捉え、行動に移す。
この姿勢が、私たちをより豊かで充実した人生へと導いてくれるのです。

▶次のページでは、存在思考への転換と、変化を力に変えるための方法を具体的に提示してくださいます。

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徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
iU 情報経営イノベーション専門職大学特任教授
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company社外取締役

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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