【書評】創造力を育もう!誰でもできる自由な発想の育て方

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創造力、創造性などと聞くと、ごく一部の才能あるセンスの良い人たちが生まれ持った資質と思われがちです。しかし、エグゼクティブ・ディレクターの永井翔吾氏は、著書『創造力を民主化する たった1つのフレームワークと3つの思考法』のなかで創造力のメソッドを発見し、誰にでもできる創造力の鍛え方を伝えています。民主化された創造性とは?本書の書評から紐解きます。
ナビゲーターは、コミュニケーションデザインや企業支援コンサルタントのエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏です。

創造力を民主化する たった1つのフレームワークと3つの思考法
永井翔吾(BOW&PARTNERS)

本書の要約

創造力は、生まれ持つ才能やセンスではなく、鍛え上げ伸ばすことができるスキルです。
創造的に物事を考える上で非常に重要な要素を、「課題」と「解決方法」に分解したフレームワークと、「統合思考」「アナロジー思考」「転換思考」といった「3つの思考法」にまとめました。
この考え方を普段から取り入れていくことで、自由な発想が無限に広がってアイデアを生み出しやすくなり、いつしか創造力を自分の強みにすることができます。

創造力は育てるものである

こと創造性に関する限り、生まれよりも育ちなのだ・・・イノベーションに必要な能力のほぼ3分の2が学習を通じて取得できる  (クレイトン・クリステンセン)

アメリカの実業家で経営学者、著作『イノベーションのジレンマ』で破壊的イノベーションの理論を確立させ、企業におけるイノベーション研究の第一人者となったクレイトン・クリステンセンの言葉です。

創造力とは、一部の才能のある人に授けられたギフト(天賦の才能)ではなく、みな一人一人に備わっているものなのです。 (本書より)

創造力を伸ばすことは難しいと考えられがちですが、実はアイデアを生み出す方法はいくつもあり、それらが抽象的すぎて多くの人は鍛えることなどできないとあきらめてしまっているのです。
クレイトン・クリステンセンも述べているように、イノベーションを興す能力を学び修得することは十分に可能なのです。

著者、永井翔吾氏は、創造性を発揮するための「1つのフレームワーク」と「3つの思考法」を整理し、これらを使いこなすことで創造力を鍛えることができると気づきます。

フレームワークの作り方

課題と解決方法に分ける

全ての物事には、その物事が解決しようとしている「課題」や目指している「目的」と、その課題を解消したり目的を達成したりするための「解決方法」があるのです。

■課題
「Who(どんな人が)」 「Where(どんなところで)」 「When(どんなことをしているとき)」 の3つのWの組み合わせで作られるシーンにおいて発現

■解決方法
「What(何を使って)」 「How(どのように)」 の組み合わせによって決まる

いろんな要素を組み合わせてみる

まずは、物事を構成する要素を上記のように「課題」と「解決方法」に分解します。
アイデアを生み出すためには、この要素と要素を多様に組み合わせてみることが欠かせません。
創造力を鍛えるためには、いろいろなものをつなぐことを意識すればよいのです。

5W1Hを使って、課題と解決方法の新しい組み合わせを見つけるように意識していけば、思わぬ発想も生まれるでしょう。
そして、そのフレームワーク上で、「統合思考」「アナロジー思考」「転換思考」の「3つの思考法」を自由に組み合わせることで、発想がさらに無限に広がっていくのです。

異なる思考法を使い分けよう!

包括的に捉える統合思考

統合思考とは、トレードオフの課題をはじめ、さまざまな課題を同時に解決しようとする考え方です。
課題を本源的な欲求のレベルまで、構造的に考えることで、幅広い解決法が導けます。

個別の課題を細かく分解するのではなく、周辺の課題まで包括することがポイントです。
Who、Where、Whenの抽象度を高めていくことで、ニーズの抽象度も高まり、より大きな課題を定義でき、ビジネスの可能性を広げてくれます。
思考を上位の目標に向けることで、新たな解決策が見つかるようになるのです。

課題はWho、Where、Whenの組み合わせで生まれます。
この3つの抽象度を上げ、登場人物を置き換えたり、軸をずらしたりすることで、新たな課題を定義でき、そこから解決策を発見できるようになります。

トレードオフからイノベーションの連鎖へ

トレードオフの課題を解決することでイノベーションが起き、そして、そこからさらに、トレードオフのニーズを取り込み、次なるイノベーションが起きる。
この連鎖がイノベーションの歴史であると言えるのです。
私は、このイノベーションの連鎖の歴史を勝手に「イノベーション・スパイラル」と呼んでいます。

トレードオフからイノベーションを起こすこともできます。

ソニーのウォークマンは、「移動したい」と「音楽を聴きたい」というトレードオフのニーズを解決しました。
その結果、「移動しながら音楽を聴く」という体験はスタンダードになりました。

しかし、ウォークマンで聴ける音楽の数には限界がありました。
そこでアップルは、iPodでその課題を解決しました。
「移動しながら音楽を聴きたい」「もっと多くの曲を聴きたい」というトレードオフのニーズを満たすことで、アップルはより多くの顧客の支持を得たのです。

▶創造力を鍛え育むためには、課題と解決のフレームワークを作ることが重要なようです。次のページは、その実践の続編。さらなる思考法について、具体例も交えてお伝えします。

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徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO ビズライト・テクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー 情報経営イノベーション専門職大学【iU】客員教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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