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認知症は未病のうちに予防ができる!
――なるほど。認知症になると、お金の面でもいろいろと大変なのですね。廣瀬さん、横井さんが育成される、認知症アドバイザーは「認知症予防のエキスパート」という立ち位置ですか?予防に着目された理由、そして認知症アドバイザーはどのようなアドバイスをする方たちなのか教えてください。
廣瀬氏――今、認知症に関する資格は10以上ありますが、ほとんどの資格は認知症を発症してしまった方(下図右側)に対してどうアプローチするかという内容です。
認知症は、現在特効薬がありませんので、一度発症してしまうと基本的に元に戻ることはありません。
ところが、認知症発症前の未病の状態(図左側)でしたら、進行を遅らせたり、さらには、健常者に戻したりすることができます。
私たちはその点に着目し、認知症予防のエキスパートとして認知症アドバイザーの育成を手掛けることにしました。
軽度認知障害(MCI)の段階で相談を
先日、「最近母がぼけてきちゃったんですよね。」という、相談を受けました。
つまり、まだ認知症とは診断されていない段階です。
認知症になる直前の状態を、軽度認知障害(MCI)というのですが、この状態で気づいて正しい予防を行い治療すると、最大41%は健常者に戻れるんです。
でも、MCIの状態で本人や家族が気付くことはほとんどありません。
そして、そのまま放置して何もしないでいると、症状が進行して認知症になってしまうんです。
エキスパートによるアドバイスが重要
この認知症アドバイザーの資格保有者が増えると未病の段階で相談できる人が世の中に増えるわけです。
すぐに病院に行った方がいい、今だったら健常者に戻れる可能性がある・・・などのアドバイスをしていくのが認知症アドバイザーです。
彼らに相談すれば、MCIの段階でも何人かの人は認知症にならずに済むか、進行を遅れせることができる。
そうすると、本人が健常な生活を取り戻すだけでなく、家族の負担も減らすことに繋がるんです。
ーー代表理事である廣瀬さんご自身がご家族の体験をもとに、「認知症予防」の重要性に着目しM&Aした認知症アドバイザー協会(JNDA)。日本の認知症患者が急増する課題解決に取り組むお2人の理念の重要さがよく理解できました。
後編「資産保全にも役立つ!社会的使命を担う認知症アドバイザーを輩出」では、認知症予防をアドバイスするエキスパートの育成に尽力される協会の活動と今後の展望について伺います。お楽しみに
資料は、認知症アドバイザー協会(JNDA)より提供
参考:厚生労働省「認知症」