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セミナーでの講演を通じ、全国各地で顧客獲得
――最初はどんな案件を担当されましたか。
齋藤氏――最初の案件は、東京都下の市議会議員の方が脳溢血で倒れて入院した後、選挙絡みで近づいてきた詐欺グループに40億円騙されたケースでした。
途方に暮れた奥様が顧問弁護士や税理士に相談したものの「自己破産しかない」と言われ、たまたま私の友達だった地元の工務店の方に相談したことがきっかけで担当することになりました。
私も最初は不安でしたが、一生懸命模索していると、必ず誰かが助けてくれるんですね、私の場合。
8年掛かりましたが、40億円の負債を15億円で解決することができました。
――いきなりの大きな案件、しかも大きく負債を減額されたのですね。
齋藤氏――はい。そして、その案件に関わっている間に、奥様がロータリークラブやライオンズクラブ、親戚の方などに私を紹介してくださり、クチコミで私のことが広がったんですね。
そのお陰で、独立から5年後くらいには、全国の工務店の社長さんを対象としたセミナーを開催する会社から、借金問題や銀行への対応などに関する講演を依頼されるようになりました。
それから5年間ほどは全国各地でセミナー講師をしていました。
午前中は宮崎で仕事をし、午後イチから福岡の文化センターで300人を相手に講演し、夜は広島で新規顧客と契約するといった感じで、芸能人や政治家みたいな忙しさでした(笑)。
HPは一応作りましたが公開はせず、すべてお客様のクチコミ、紹介によって北海道から沖縄まで全国各地にお客様ができました。
お客様がお知り合いの方を連れてきて、「この人と契約しろ」と言ってくださることもあり(笑)、ありがたいことです。
悩みがある時の“危険信号”に気付いて
――ところで、業績悪化にはいろいろな要因があると思いますが、経営マネジメントなどについても教えていらっしゃいますか。
齋藤氏――はい、経営者や取引先に見える“危険信号”の見分け方なども教えています。
おおまかには、例えば経営者ですと、ラインや電話など連絡のリターンの早さや頻度である程度判断できます。
いつもすぐに、あるいは遅くても1時間以内に必ずリターンをくれるとか、その方の「標準」を認識しましょうと伝えています。
早めにリターンをくれる人が2日経っても一向にリターンがない時は、“魂が抜けている証拠”なので、私に言わせれば赤信号点滅です。
また、私は少なくとも2か月に一度は担当の事務所にお邪魔して営業マンなどに注意ポイントを伝えます。
例えば、事務所の植木に水をやっていなかったり、いつもきちんとしている玄関が乱雑だったり、ゴミが落ちていたりしたら要注意です。
トイレが汚れていると居酒屋でも食堂でも発展しませんし、会社も同じです。
トイレの掃除担当に社長が「汚れているぞ」ときちんと指導できなくなっていると、黄色信号ですね。
破産者はゼロ、時間をかけて借金を消す
――ちなみに、相談者の方で破産なさった方はどのくらいいらっしゃいますか。
齋藤氏――1人もいません。
先日も、有名大学を卒業し、大手企業の幹部まで昇進しながら投資用マンションで失敗し、相談に来た男性がいました。
相談した2人の弁護士さんから「自己破産するしかない」と言われたということで、ある方の紹介で私に会いに来たのです。
自己破産は、お金をかけて最終的に自分を傷つけてしまいますよね。
でも私のやり方は、お金をかけずに時間をかけて借金を消す方法です。
借金には、「時効」があります。
銀行やカードローンは、最後に返済した時から5年で時効になり、裁判になった場合は、10年で時効という規定があります。
だから、自己破産しなくても借金問題は解決できるということをひとつの戦略としてアドバイスしています。
借金の返済に困窮している方は、そのストレスや不安から、本能的に自分よりも弱い奥さんや子ども、親に言葉や、時には暴力で八つ当たりする傾向があります。
貧困等で困窮した結果生じる痛ましい事件でも、犠牲になるのは子どもや高齢者など何の落ち度もない社会的弱者です。
だからこそ、借金は怖いものじゃない、お金に関するストレスや不安は軽減できると伝え、間接的にでも社会的に弱い人たちを助けたいと思っています。
――借金の時効に関して知らない方も多いということで、情報格差があるのですね。大変参考になります。
借金は減らせるということ、そして“危険信号”の把握の仕方や早め対処の重要性など、貴重な注意ポイントをご指摘くださいました。後編では、より具体的なお困りごとの解決策についてご教示くださいます。ご期待ください!