飲食店経営の奇才が語る「成功の秘訣とエンターテイメント性」(後編)

前編では、今三浦さんが夢中になっているという「海苔弁いちのや」の開業秘話とブランド価値の高め方、安定利益を確保する秘訣をお話いただきました。今回は、三浦さんが過去に手掛けてきた飲食店の成功の秘訣について迫っていきます!最近の飲食店は「おいしいのは当たり前」と語る三浦さん。美味しい飲食を提供することの次は何を考えなければならないのか、お話を伺います。

秘訣は「気になる店」

が人に食べさせたいと思える飲食

出典:店舗ナンバーワンホールディングス株式会社 牡蠣とシャンパン 牡蠣ベロ 恵比寿店

――三浦さんは、「恵比寿横丁」を手掛けたことで有名ですが、そのすぐ横にあるので横丁と一体化して見えてる「牡蠣とシャンパン 牡蠣ベロ 恵比寿店」も手掛けていらっしゃいますよね。

三浦正臣氏(以下、三浦氏)――一体化してますよね(笑)。
オイスターバーの前はラーメン屋さんだったのですが、そこを200万円で買って大工さんたちとリニューアルしました。
180万円くらいしかかかっていません。
6.8坪の立ち飲みスタイルのオイスターバーで、650万円くらい売るお店になりました。
利益率も45~50%と高いです。

このオイスターバーは、パリで見た牡蠣の屋台からインスピレーションを得ています。
パリでは、レストランに入る前に店先で売られている牡蠣を2~3個つまんで行く文化があって。
それがすごくカッコよく思えて、そういう文化を日本でも作りたかった。

恵比寿のオイスターバーでは、少し触っただけで動く牡蠣だけを提供するようにして、名称も「活き牡蠣」にしました。
一発でわかるじゃないですか。調理しないので、剥き方だけ教えればできるのも良かったです。
他に、「女性はシャンパン半額」というのもやっていて、これもすごく集客力がありました。
結局は男性もシャンパンを頼むので実質は75%です(笑)。
「鐘を鳴らすと1杯500円のテキーラを全員に驕る」というのもやって、それもすごく盛り上がりましたね。

――そういう企画力や発想力が三浦さんの強みですね。恵比寿横丁の他にも、コリドー街のW ginzaもプロデュースされていますよね。

三浦氏――W ginzaは、もともと駐車場だったところですね。コンテナを3つ置いて、全部真っ白に塗りました。
そうすると「なんだ?なにができるんだ?」と通る人が気にしてくれて。
松明タイマツを焚いて南国風のお店にしたんですが、松明を焚くお店は中央区でうちだけだったと思いますよ。
近隣から苦情が来てたいへんでしたけど(笑)。

そういう「気になるお店」を今後もつくっていきたいですね。
おいしいのは、もう当たり前のことじゃないですか。
コンビニの弁当とかもおいしいし、カップラーメンもおいしい。
まずいラーメン屋とか昔はいっぱいあったんですけど、今はもうないですよね。
まずいものをお店で食べたことない人が増えたと思います。だから、おいしいのは当たり前。

それなら、「人を連れて来たい」「食べさせてあげたい」そんな動機で来店してもらえるお店をつくっていきたいですね。
「なんか気になるお店」をつくるのが面白いです。

飲食はエンターテイメント

――そういうユーモアや遊び心が、三浦さん独自のインスピレーションに結び付いているのを感じます。手掛けられている飲食店が持つエンターテイメント性の源泉にもなっているのでしょうね。

三浦氏――常日頃考えていますからね。バンコクでの影響が大きいと思っています。
バンコクというと屋台のイメージが強いかもしれませんが、少し離れるとオーストラリア人などの外国人オーナーのお店がたくさんあるんですよ。
全部エメラルドグリーンの外装とか、内装もこだわっていて。
トマホークステーキを頼んだら、すごくワイルドで「ドンッ」と出てきて衝撃を受けました。

それから、気になるお店・楽しいお店をつくることで、飲食店で働いている人たちの意識や働き方も変えていきたいという想いがあります。
パリでは、働いている人がすごくかっこいいんですよ。
日本では、「居酒屋の厨房」という仕事が正直下に見られているというか。
でも、パリではそうじゃない。ハイタッチとかしてるし、すごく楽しそう。
だから、お店の雰囲気も良いんですよ。
みんなが誇りを持ってイキイキと働ける。そんな環境もつくっていきたいですね。

飲食店は低投資・高回収が基本

初期投資を抑えて柔軟な対応を

――「海苔弁 いちのや」も、そんなお店になっていますよね。みなさん、すごく楽しそうに働いていると思います。

スタッフもいきいきと活躍しています。 写真は店舗ナンバーワンホールディングス(株)提供

三浦氏――それは嬉しいですね。
会社員時代も入れると、累計で2200~2300軒くらいつくってきて、8000人くらいの飲食店オーナーを見てきました。
実は、成功パターンよりも失敗した理由をよく知っているんです。
オーナーから相談されて、切実な問題を片付けながらやってきましたから。
その経験値が、今に活きていると思います。

失敗した理由で多いのは、初期投資が高いことです。
始めてみてダメなら看板を変えていけば良いのですが、こだわりが強すぎるとそういう柔軟さや臨機応変さがなくなります。
ラーメンなら、スープを変えれば同じ設備で別のお店にできるのに、それができません。

僕は、ダメなときは1ヶ月で辞めることもあります。低投資・高回収が基本です。
自分たちで工事もするから、スタート時にお金をかけない。1年以内に投資回収します。

高単価商品であれば人も扱いも相応の品質で

最初は反対された海苔弁ですが、今ではスタッフがやる気になってくれています。
だから、やる以上はしっかり事業化したいですね。
オープン前の営業も、スーツを着てオフィス周りをみんなでやりました。
それで、オープン初日からお客様が並んでくれた。1000円で売るわけですから、盛り付けも繊細にやっています。
だから、採用でもしっかり人を見ています。
高島屋さんに並ぶということは、それ相応の品質でないといけない。
盛り付けも包装も接客も宅配も、すごく丁寧にやってくれていますよ。

営業は18:00までなので、片づけをしても19:00には仕事を終えられます。
朝は早いと7:00出勤ということもありますが、それでも夕方には帰れる。
飲食店の新しい働き方としても良いと思います。

オープンから約半年が経って、今では1日500個を超える日もあります。
あまり急激な出店は考えてないですが、鳥居の前だけに出店場所を限定して、御朱印を押して帰ってもらうとか(笑)。
それは冗談ですが、お花見弁当も用意したので、この春が本当に楽しみですね。

お花見弁当 店舗厨房で丁寧に作る

――新宿以外でも展開していくのですか?

三浦氏――そうですね。海苔弁 いちのやは、フランチャイズ化も考えています。
現在10エリアを計画しています。
こちらで立ち上げて流動化するのも良いかもしれませんね。立ち上げには自信があります。
例えば、キッチンカーで丸の内や有楽町などでテストマーケティングして、一番売れるエリアで出店していくのも良いと思います。

――それは楽しみです。本日はありがとうございました。

※ W ginzaは期間限定店舗だったため現在は閉店

三浦正臣
店舗ナンバーワンホールディングス株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
1980年生まれ、神奈川県出身
2002年、店舗流通ネット株式会社に入社。
24歳で取締役営業本部長になり、同社の上場に貢献。数多くの飲食店プロデュースを手掛ける。2008年には「恵比寿横丁」をオープンし、多くのメディアから注目を集める。
2012年に独立し、ストアクリエイティブ株式会社を設立。海外の店舗プロデュースも手掛けるようになる。
2015年1月、店舗ナンバーワンホールディングス株式会社を設立し、これまでに1700軒の飲食店をプロデュースしてきた飲食業界の奇才。

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