時代の先を見据えるМ&A経験者が次にチャレンジする「AgeTech」

今回ご紹介する三橋克仁さんは、東京大学大学院在学中に大手コンサルティングファームの内定を辞退し起業した挑戦者です。

2018年に、大手予備校へ会社売却を経験し、その挑戦をМ&Aという形で一旦一区切りつけました。そんな三橋さんが次に選んだビジネス領域「AgeTech」は何なのか。その理由は?

生い立ちから、会社売却の経緯まで語って頂きました。

初めて自分に投資してくれた校長先生

どのような少年時代でしたか?

宇宙飛行士になるのが子供の時からの夢でした。宇宙飛行士になるために、東京大学で宇宙工学を学ぶことを目標にするのですが、どちらかと言えばヤンキーの多い中学で、進学塾に通わせてもらえる余裕もありませんでした。

父はフランス戻りの画家と聞こえはいいのですが、当時、日本で画家として生計を立てるのは難しく、決して裕福な家庭ではなかったので。

世の中の不条理にイライラして、ガードレールを蹴って歩いていたら補導されてしまいました(笑)。当時目をかけてくれていた校長先生に呼び出され悩みを打ち明けたところ、父の絵を個人的に100万円で買ってくれ、それを軍資金に進学塾に通うことができました(笑)。

人情味というか、先見の明がある校長先生ですね!結果は?

睡眠時間を削り、気を失うようなブラックアウト状態になるまで勉強しましたね。その甲斐もあり私学には行けないと分かりながら「開成必勝コース」の特待生となりました。

死ぬほど勉強したこともあり、筑波大学附属高等学校に合格。その後、目標であった東京大学理科一類に進学することができ、当時の校長先生には本当に感謝しています。

東大エリートから、イバラの起業の道へ

東大卒業後、就職せずに起業されていらっしゃいますね。どうして、起業を選択されたのですか?

多くの東大生のように、大学院へ進み、戦略系コンサルティングを経て、海外でMBA取得のようなイメージを確かに持っていました。実際、大手コンサルティング会社にインターンで入り内定も頂きました。

しかし、ちょうどその時に仲間と始めていた教育系ITビジネスが軌道に乗り始め、就職か起業かという選択で悩みました。

最終的には、リスクを取って起業するという選択肢を取りました。この教育系ITビジネスこそ、我々が開発したスマホ家庭教師「manabo(マナボ)」です。
このビジネスであれば、人もお金も何とかなるという自信があったからでしょうね。その頃に訪れたシリコンバレーで同世代の優秀な人材がどんどん起業する文化にも刺激を受けました。

引用:manabo公式ページより

守るものは何もないと原点に返り、もしかしたら世界を一歩前に進める何かができるかもしれない、その可能性に人生賭けたほうが面白いのではないのか、といった感覚が自分の背中を押してくれました。

時間はかかりましたが、大学院も2013年に修士修了し、無事卒業することができました。

IPOよりМ&Aを選んだ理由

起業は順調でしたか?

スマホでやりとりできる家庭教師としてスタートした「manabo」の創業は2012年4月です。スタートは予備校の間借りで、狭い部屋でコードを書きながらサービスの原型をつくりました。

多くのベンチャーが経験するように色々とありましたが、学生時代からこのマーケットへの関与もあり、事業は順調に拡大しました。事業の拡大に伴い、教育業界の大手企業であるベネッセ、Z会から、出資を受けることもできました。

そして、2018年6月に駿台グループへ100%株式譲渡をしました。

同業株主がいる中での100%株式譲渡、すごいですね?IPOの選択は?

IPOの選択もあったのですが、増資を検討していた2017年はいわゆるEdTech(教育とテクノロジー)という分野の株価があまりついていない状況でした。フィナンシャル系のベンチャーの評価があまり良くなく、事業を評価してくれるベネッセ、Z会等に投資して頂きました。

そのまま3年ほど経営していれば上場もできたかもしれませんが、自分は教育者ではなく起業家なので一旦一区切りつけて、新たな事業でもう一度大きなチャレンジをする選択肢を選びました。

次のチャレンジ、「AgeTech(エイジテック)」

三橋社長(Z-EN事業投資オンライン編集部撮影)

どうして、この分野を選択されたのですか?

ブレインコンピュータインターフェース(BCI)のビジネス化のためです。人工知能(AI)に続くキーテクノロジーになるのではないかと言われ、脳とコンピューターが直接連携することで、医療・福祉分野等での活用が期待されています。

まずは、人生100年時代に突入した未来を見据え、高齢者向けテクノロジーである「AgeTech(エイジテック)」でのビジネス化を目指します。

「家族信託」をITで普及させる

まず、家族信託のサービスに着目した理由を教えて下さい。

ご存じの通り、認知症は日本の社会問題となりつつあります。

大切な資産を守る方法として「成年後見制度」と「家族信託」がありますが、十分に認知、活用され普及しているとはいえません。

特に「家族信託」は多くのメリットがありながら、まだ認知度が低く、利用するにも金銭面などでハードルが高いのが現状です。

引用:ファミトラ「家族信託のしくみ」

家族信託のメリットを教えて下さい。

色々とありますが、最大のメリットは、認知症による「財産の凍結」を回避することにあります。認知症になれば、所有する財産は事実上凍結され、介護費用の捻出や、自宅の売却などもできなくなります。

それは介護費用を用意する子どもにとって、大きな問題です。家族信託を使うことで、財産の事実上の凍結を防ぐことができる。元気なうちに、財産の使い道について親子で話し合うことは非常に重要だと感じますね。

また、家族信託を扱う専門家もまだ少なく、一部の富裕層が利用する制度と捉えられがちです。
だからこそ「IT」を活用し、事務負担、経済的負担を軽減することで、もっと多くの方に使っていただけるサービスとして「ファミトラ」を立ち上げました。
誰でも家族信託を利用でき、後見が始まる前から準備できるという点でメリットが大きいです。

「ファミトラ」https://www.famitra.jp/

引用:ファミトラ公式ページより

 

事業承継にも有効な手立てですね。

通常の相続で自社株を譲渡すると、議決権が分散して揉め事が発生したり、経営センスのない方が実質経営権を握ってしまったりする不幸なケースが多々あります。

家族信託であれば、確実に後継者候補へ議決権を移すことができます。事業承継では一人の人間に株式を集中して渡すのが重要になるため、そういう意味でも家族信託は優れています。

相性の良い業界はありますか?

銀行、証券、保険、不動産、介護、IFA、税理士などの士業の方々、カード会社と相性が良く、一部業務提携を進めています。

想定以上に反応も良く、周辺業界の方々と、家族信託の普及に注力したいと考えています。ピンときた方は是非ご連絡ください!

今後の展望はどのようなものですか?

将来的にはブレインコンピュータインターフェース(BCI)分野での展開が目標ですが、一歩手前のAgeTech(エイジテック)のトップランナーになるために、成年後見の代わりとなる財産管理の仕組み「家族信託」のサービスに注力します。

最初の起業はМ&Aという選択をしましたが、今回は2025年の上場を目指したいと考えています。

三橋克仁
株式会社ファミトラ創業者 代表取締役CEO

投稿者プロフィール
東京大学工学部・同大学院工学系修士修了。家族信託コーディネーター。

2012年、株式会社マナボ創業、プロトタイプを自ら開発、ベネッセ/Z会をはじめとする国内教育系大手企業各社との業務提携を経て、2018年に駿台グループに売却。
2019年11月、ブレインコンピュータインタフェース(BCI)の商用化を見据えエイジテック(AgeTech)領域の事業を展開するBOSSA Technology Inc.(現 株式会社ファミトラ)を創業、代表取締役に就任。

現在、家族信託の組成をサポートする「ファミトラ」を運営。

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