「健康経営」で働く人とヘルスケア業界を元気に
- 2022/3/25
- インタビュー
目次
ヘルスケア領域での起業を決意
きっかけは介護事業所の健康経営支援
――そんな時に、新たな事業を始めるきっかけとなるご友人との再会があったそうですね。
島岡氏――演劇に没頭していた頃の友人と久しぶりに再会したら、デイサービス会社を経営し、地域密着型通所介護施設を首都圏で8カ所運営していました。
私が中小企業診断士としてコンサルタントもしていることを話すと協力を求められ、「健康経営宣言※1」の制定を支援するに至りました。
このことをきっかけに、健康・介護・医療分野で今までの研究と経験を活かそうと起業を決意。
ヘルスケアバンクという社名で、皆さまのお役に立つため精いっぱい動き始めたところです。
※1 企業が健康経営優良法人の認定を目指して、企業全体で従業員の予防・健康づくりに取り組むことを自ら宣言すること
従業員の健康管理を投資と考える「健康経営」
――改めて伺いますが、さまざまな経歴を積んでいらした島岡さんが、なぜ自社事業として健康・介護・医療分野を選び、社名をヘルスケアにしたのですか。
島岡氏――大学院の卒論で健康経営を軸に研究したのは、そもそも人生を豊かにするヘルスケアに興味関心があったからです。
さらに、友人知人に社会福祉法人や介護福祉、医療に関わる仲間が多く、自分がこれまで培ってきたノウハウは友人がいる業界の支援に役立つと考えました。
健康経営とは、従業員の健康管理や健康増進に対する費用をコストではなく投資として考え、戦略的に実行する新たな経営手法です。
従業員が健康になることで生産性や業績が向上し、組織の活性化や企業価値向上も望まれます。
国や経済界、自治体なども近年、健康経営に注目しており、経産省による「健康経営優良法人」の認定を受ける上場企業や大手企業は多いです。
この認定を受けると、地域の金融機関の低金利融資や自治体の公共調達において加点があるなど、各地域の優遇措置を受けられることがあります。
健康が人生100年時代の土台をつくる
――地域における介護・医療の実情をどうご覧になっていますか。
島岡氏――最近、地域医療の担い手が少ないとか、退職される医師や看護士、介護施設職員が多いといった話をよく耳にします。
職場の環境が厳しくなっている事情があるようですが、本来であれば医療や介護を提供する側の方々こそ健康でいなければなりません。
健康経営という手法を取り入れてスタッフの方が健康に働ける環境を作れば、働きたい人が戻ってきますし、離職者も減るでしょう。
介護・医療の担い手が確保され事業が継続することで、地域経済が発展維持され、最終的には多くの人が豊かな人生100年を送ることができると考えます。
地域医療を守るため、事業継続の支援を
――ヘルスケアバンクではどういうことを実現したいですか。
島岡氏――介護事業所や医療機関が閉じられると、地域医療が崩壊の危機に陥ります。
地域医療を継続させるために事業承継が必要となった時には、後継者の方が事業を継ぎたい、やってみたいと思える事業にまで磨き上げる支援をします。
また、M&Aを通して事業の維持・継続を支援し、雇用を守ることに貢献したい。
中小企業診断士として、PMI*2についても丁寧にご支援いたします。
ミッション、ビジョン、バリューなどを新しい組織で考え直し、企業風土を良くし、醸成する意味でも健康経営は非常に役に立ちます。
*2 ポスト・マージャー・インテグレーションの略。M&A(合併・買収)後の統合プロセスを指す。経営統合、業務統合、意識統合の3段階からなる。
コロナ禍でお困りの医療・介護業界に貢献
――働く人、企業、地域の連動が、健康を軸にするとリアルに見えてきますね。
島岡氏――コロナ禍で医療・介護業界に従事する方の中には、大変な思いをなさっている方も多いと思います。
人のために尽力されている医療・介護従事者の方々にこそ健康でいていただきたい。
そして、業界から去る人を一人でも減らしたい。
そのために、自分がこれまで積み重ねてきたすべてのノウハウ、知識を提供して働き方改革を実現し、働きがいを増やすことに貢献したいと思っています。
健康でいると社会的に良いコミュニケーションが生まれ、家族も喜びます。
従業員の満足度が上がると、当然利用者さんへのサービスも良くなります。
そういったことを総合的にご支援できることが私の強みです。
起業するまで少し遠回りをしましたが、いま、「健康経営を当たり前にしたい」という強い想いを持っています。
その実現に向かって、全力で突き進みます!
――頼もしいお言葉。これからが楽しみです。本日はありがとうございました。