企業再生に挑む逃げない経営~暗号資産で新しい未来を(後編)
- 2022/3/30
- インタビュー
未来への挑戦『あしたを、もっと、あたらしく。』
中島氏――ビットポイントのビジョンには『あしたを、もっと、あたらしく。』とありますが、可能性を感じる言葉で、鼓舞される感じがして良いですよね。
小田氏――とても気に入っている言葉です。
先ほど、2020年以降のブームはアメリカ市場による盛り上がりとお話しましたが、私たちは日本市場をもっと盛り上げて、マーケットをつくっていきたいと考えています。
ビットコイン等の価格が上昇していると業界全体が大きく利益を上げているように感じるかもしれませんが、取引所の収益化はとても大変なことです。
が、だからといって、経営者がマーケットのせいにするのはダメだと思います。
よりチャレンジブルな姿勢で、日本初の通貨(銘柄)を取り扱うようにしています。
時価総額ランキングをベースに通貨(銘柄)を選ぶのが普通で上場もスムーズなのですが、他社と同じものばかりを取り扱っても、ビットポイントの存在価値を示せないと思います。
デザインだけでなく、表からは見えない裏側のシステムも改善し、海外でもまだメジャーでない通貨(銘柄)も扱えるようになりました。
また、大変な目に遭うと人は「ルールを破っても良い」とダークな方に走ってしまいがちですが、過去のハッキングの件もあり、「とにかく、なにがあってもルールを破らない」と決意しました。
ハッキングされた翌日には利用者暗号資産の同種・全量の早期確保を決め、管理態勢も徹底しました。
トロン(TRX)やエイダ(ADA)、ジャスミー(JMY)、ディープコイン(DEP)などを上場させることができたのも、管理態勢への評価があったからだと思います。
また、「ビッグボス」の愛称で親しまれる新庄剛志さんをブランドアンバサダーに迎え、まだ暗号資産を知らない人にもその可能性や未来を感じてもらいたいと考えています。
資産や調達資金としての活用
中島氏――まだまだ暗号資産の保有者は、株や不動産などの投資経験のない若い世代が多いですから、幅広い世代に知ってもらいたいですね。最近は、法人でビットコインを保有する会社が増えてきたと感じています。都内のベンチャー企業の経営者が個人で保有しているというケースは多かったのですが、地方で数代続く企業が法人で保有するケースも増えてきました。アセットクラスとして認知が広がれば、法人で保有して暗号資産を担保に事業資金の融資を受けたり、暗号資産を積極的に会社の資産運用に取り込んでいったりするケースも増えていくと思います。
小田氏――保有者の方のなかには、「資産は暗号資産が9割」という人も少なくありません。
投資はやはり分散が原則だと思いますので、株や不動産なども持つ方が良いと個人的には思います。
誰しも幸せになることが目的なわけですが、手段や通過点にすぎない投資や資産を増やすことのために不幸になってしまう資産家も多いのが現実で、それでは本末転倒です。
ポートフォリオを組み、ときどき資産組替を行いながら、他の資産運用で得た利益を暗号資産に投資するという選択肢もありますから。
中島氏――おっしゃるとおりだと思います。これからも、さまざまな暗号資産がアセットクラスとして地位を確立できるように私も地味に地道に普及活動をしていきたいと思います。
本日はありがとうございました。
インタビューは前編でもご覧いただけます。暗号資産に携わるさまざまな課題について小田氏の取り組みをご紹介しています。
出典:暗号資産の課題に真摯に向き合い、新しい明日をつくる(後編)
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。