盆栽NFTに挑戦!世界初リアルとデジタル融合で価値向上を (後編)

この記事を読むのにかかる時間: 4

盆栽の明るい未来のために

盆栽の適正な価値基準づくりを一役担うNFT

――状況打破のために、鈴木さんはどのようなことをお考えですか?

鈴木氏――もっと盆栽の価値を明確にして、この状態だから今はこの金額だけど、ちゃんと手入れすればこの金額になるという根拠を売り手側が示せれば、購入する側にも価値判断基準ができて盆栽の信頼度も増し、購入層も広がるだろうと思うんです。

盆栽を育てる何十年、何百年という月日のなかで、毎年数ミリ単位で成長する枝を大切に管理して仕立てて行く過程を日々体感していると、現在の盆栽の価格はとても安いものだと思います。
そういった価値をちゃんと分かってもらって、適正価格で購入していただくことが、盆栽業界の未来を開き、日本の伝統文化を守ることに繋がります。

その価値基準を作るひとつのきっかけがNFTだと思っています。
今まで盆栽を持っていなかった人たちも盆栽に投資するようになり、価値ある日本の芸術品である盆栽が安価で国外に出ていくことがないようにしたいと強く願っています。

――素晴らしいです。盆栽NFT構想のなかで、実物の所有権を紐つけることにこだわった理由もそこにあったようですね。

鈴木氏――NFTに取り組む目的は単なるデジタル化ではなく、盆栽の価値を広めるためですから、実物があってこそです。

盆栽の世界では、所有者が盆栽園に盆栽を預けるという風習があります。
管理をプロに任せるという考えもありますが、どうやら「大樹園に盆栽を預けている」という事実を一つのステータスに感じて頂けているという側面もあるようです。
ですから、盆栽NFT所有者が世界のどこからでもその盆栽を眺められて、さらに大樹園に預けているというステータスも感じてもらえればいいと思っています(笑)

上空から見た大樹園(写真はHPより)

次世代がイノベーションを

――今後の目標を教えてください。

鈴木氏――盆栽を楽しんでくださる方が少しでも増えるような仕掛けのアイディアをどんどん出し、実行していきたいですね。
そのために、大樹園のブランド価値を最大限活用する方法を考えていきます。
「盆栽業界を変革させるのは自分」と肝に銘じていますし、業界のためになることを実行し続けたいですね。

日本人で盆栽を知らない人はいないと思います。
ですが、盆栽を語れる人はかなり少ないはず。
若い人たちに盆栽に興味を持ってもらい、技術を受け継ぎ広めていこうとする人たちのために役立つ活動の継続が実を結べば、業界が明るくなると信じています!

前編「盆栽業界の伝統に新風を吹き込む「よそ者」4代目の挑戦」もご覧ください。

1 2

鈴木卓也
盆栽 大樹園 4代目園主

投稿者プロフィール
1932年開園の老舗盆栽園「大樹園」の4代目。
大学で建築工学を学んだ後、地元の建築ディベロッパーでの営業職や、イタリアンレストランでの調理・接客、従業員管理等の職に従事。
2011年、妻の実家の大樹園に婿入り。結婚3年目に後を継ぐことを決意。大樹園の2番弟子である鳥栖昭緑園の久保田政充に師事した後、大樹園に戻り、義父である鈴木亨より盆栽を学ぶ。
国内外の盆栽展での受賞実績多数。盆栽業界への問題提起や企画立案、他業種とのコラボレーションなど、独自の視点で活動範囲を広げ、盆栽業界を引っ張る存在と目される。

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

  1. 岩手県紫波郡紫波町で公民連携事業開発コンサルティング業務を手がける株式会社オガール。代表の岡崎正信氏…
  2. 社長がしくじった経験から一定の法則を導き出し、それに学ぶことで成功につなげていこう!との趣旨で開催さ…
  3. 「PR」と聞くと、企業がテレビやラジオなどのメディアで流すイメージCMや、商品やイベントなどを情報発…

編集部おすすめ記事

年別アーカイブ

ページ上部へ戻る