金融の未来予想!web3ファイナンスによる課題解決と価値創造

この記事を読むのにかかる時間: 6

NFT市場が急速な盛り上がりを見せ、お金と人がweb3に流れ込む現在の世界的潮流のなかで、金融機関のあり方と役割にも大きな変革が求められています。中央集権から分散型へと移行するファイナンスの未来とは?経営戦略アドバイザーであり、暗号資産や海外不動産への投資にもお詳しい中島宏明氏がインタビューで明らかにしてくださいます。アビームコンサルティング株式会社のシニアマネージャーでweb3コンサルタントの森田直樹氏との対談です。

課題を発見し企業価値を創造するweb3コンサルタント

中島氏――本日はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

森田直樹氏(以下、森田氏)――1981年設立の総合コンサルティングファーム、アビームコンサルティング株式会社でシニアマネージャーをしていて、最近は「web3コンサルタント」という肩書きも名乗っています。
コンサルティングファームのこれまでの主たる仕事は、クライアントの顕在化している課題・問題に対して解決策・戦略を立案することでしたが、昨今はそれらに加え、課題・問題そのものを見つける「発見思考」や、クライアントとともに「価値創造」していくことが、仕事や役割、パーパスになっています。

私が所属する金融ビジネスユニットも、クライアントの経営アジェンダに寄り添いながらオペレーションやシステム観点での課題・問題解決に加え、金融コンサルタントのプロフェッショナルとして「未来の金融の在り方」を探索し、クライアントと一緒にその実現に取り組んでいます。

そのひとつがBeyond Financeという活動で、将来の環境変化を想定したときに金融機関が対応すべきことについて日々議論を繰り返しています。
そのような背景の中、リーダーに抜擢されたこともあって「web3コンサルタント」という肩書きも積極的に使うようになりました。

森田直樹氏

中島氏――森田さんは、ずっとコンサルティングファームにいらっしゃったのですか?

森田氏――バックボーンはエンジニアです。
保険会社向けのシステム構築をしていた2007~2008年頃、当時かなり苦労してつくったシステムが現場では思ったほど使われないという経験をしました。
その後、保険会社に出向して開発側から使用する側へ回って現場を経験すると、そこで初めて、「使われない理由」がわかったんです。
この出向先での経験から、「必ずしもシステムじゃなくても解決できることがある」と考えるようになり、コンサルタントに転職しました。

中島氏――なるほど、そういった原体験が今につながっているのですね。ブロックチェーンもそうですが、「技術ありき」で物事を考えてしまうと、バイアスがかかって目が曇ってしまうことがあると思います。もっと多角的に、多重視点でみて捉え、課題解決や価値創造につなげていく思考が必要で、web3にも言えると思います。

社会的価値の多様化とデジタル化にどう対応するか

アビームコンサルティング株式会社公式サイトより

中島氏――森田さんは、アビームコンサルティング株式会社の公式サイト(オウンドメディア)でweb3に関する情報発信もされていますが、どんなきっかけでweb3と出会ったのでしょうか?

森田氏――前述のBeyond Financeには、「社会的価値への対応」と「デジタル化への対応」という2軸があります。
社会的価値への対応は、近年の価値観の変化や多様化に対し、金融がどのようにあるべきかを検討する軸です。

そのために、脱資本主義などの資本主義の限界について書かれた本や論文をたくさん読み込みました。
例えば、大阪市立大学大学院経済学研究科准教授で、経済思想・社会思想が専門の斎藤幸平氏が書かれた『人新世の「資本論」 (集英社新書)』や、斎藤氏編集の『資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 (集英社新書)』などがとても参考になっています。

デジタル化への対応は、ブロックチェーンがその象徴です。
ビットコインは、世界中の技術者が手弁当で開発・改良を加えたもの。
「分散型」という概念も面白く、この大きな時代の流れは間違いないと感じています。

それで、1年ほど前にVoicyという音声プラットフォームでCryptoNinja※1を知り、その後に2022年の上半期に話題になった、歩いて稼ぐSTEPN※2を知りました。
操作がわかりにくかったのですが、メタマスクでウォレットをつくってイーサリアムを買って送金して…という一連の操作も体験しました。
トークンの値上がり期待という面もあったのですが、健康のためのトークン活用やSTEPNコミュニティにもとても魅力や可能性を感じていました。

※1 イケハヤさんとリツさんによるNFTコレクション。公式コミュニティ「NinjaDAO」は、10万人が参加する日本最大級のNFTコミュニティで、イラストやアバターのNFT販売、マンガ、ゲーム、アニメ制作など、さまざまな二次創作プロジェクトが進行中。
※2 歩いたり走ったりして仮想通貨を稼げるアプリ のこと。

▶次のページでは、森田さんも参加された「Singapore Fintech Festival 2022」での様子やweb3に向かう世界の金融市場について詳しくお届けします!

1 2

中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

関連記事

ピックアップ記事

  1. 「PR」と聞くと、企業がテレビやラジオなどのメディアで流すイメージCMや、商品やイベントなどを情報発…
  2. 決算は、株主、投資家、金融機関など、外部のステイクホルダーに会社の財政状態・経営成績を伝達する役割を…
  3. ブラウザで作れる履歴書・職務経歴書「Yagish」ヤギッシュで人気の(株)Yagishが、企業の採用…

編集部おすすめ記事

年別アーカイブ

ページ上部へ戻る