世界を越境した信頼関係の構築も担う!web3による職業の多様化

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前編に引き続き、web3の世界的な潮流と金融への影響について、アビームコンサルティング株式会社のシニアマネージャーでweb3コンサルタントの森田直樹氏に、暗号資産投資にお詳しい経営戦略アドバイザーの中島宏明氏がインタビューしてくださいます。私たちの働く環境へも影響がありそうです。

Web2.0×web3で強みを引き出す

中島氏――前編に続き、シンガポールのフィンテックイベント「Singapore Fintech Festival(以下、SFF)2022」について伺いたいと思います。日本ですと、「Web2.0 対 web3」の二項対立で語られがちですが、シンガポールではどうでしたか?

森田直樹氏(以下、森田氏) ――海外では、「Web2.0対web3」という対立軸があまりないように感じました。
web3に関する講演を聞くなかで、「Web2.0」というワード自体を耳にすることが少なかったですから、対立軸よりも、Web2.0とweb3の強みを掛け合わせたサービス開発が進んでいる印象です。

SFFに参加してみて、Web2.0とweb3どちらの企業も、より良い金融を目指して協力し合うといった、Web2.0 × web3=「web6」的な視点が必要ではないかとも感じました。

分散する暗号資産それぞれの役割

中島氏――web3は、「web3起業家と投資家がいるだけでユーザー不在」と言われることがあり、そのせいか「web6の登場人物はPeople(人々)であるべき」という主張もあります。Web2.0にはすでに多くのユーザーいるわけですから、良いところを融合させて新しい価値や体験を創り出せたら良いですよね。

森田氏――バイナンス※3CEOのチャンポン・ジャオ氏のお金の未来に関する講演での以下の主張も印象的でした。

CBDC(中央銀行デジタル通貨)※1とステーブルコイン※2、ネイティブ暗号資産は共存する。

今後はステーブルコインが決済の主流になり、CBDCやネイティブ暗号資産は、それぞれ役割が根本的に異なり重複することはない。

現状、多くの国は用途を限定したCBDCの供給を目指しています。
各国ともロードマップを作成し、長期間の投資や実験が必要な段階で、国境を越える取引には中央当局の許可が必要になる見込みです。

ジャオ氏の主張はさらに続きます。

ステーブルコインは、法定通貨とネイティブ暗号通貨の仲介者として機能し、ブロックチェーン上で価値を移転できるため支払いに最適である。
ビットコインやイーサリアム等のネイティブ暗号資産は、NFTやメタバースを含む多様なユースケースを提供していて、CBDCやステーブルコインといったデジタルマネーとは役割がまったく異なる。
多くの人は「暗号資産」で一括りにしていて、CBDCが登場すればすべてを置き換えられると考えているが、それは大きな間違いだ。

これについては私もまったく同意見です。

※1 Central Bank Digital Currencyの略で、既存の中央銀行預金とは異なり、電子的な新たな中央銀行マネーのこと
※2 法定通貨、または市場で取引されるコモディティ(商品先物市場で取引されている金などの貴金属や、原油などのエネルギー、穀物などの“商品”)などと価格連動するよう設計された暗号通貨
※3 2017年ジャオ・チャンポン氏によって香港で設立された暗号資産取引所

▶次のページでは、web3へと向かう世界で生まれる職業と淘汰されゆくものについて、森田さんの分析を伺います!

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中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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