中小企業のDX成功の鍵は、目標実現への“伴走者”と“伴走力”にある(前編)
- 2021/4/30
- インタビュー
近年、少子高齢化や労働力不足などといった問題から、多くの企業はデジタル技術を生かして競争力を強化するDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が不可欠と考えるようになりました。しかし、DXツールの導入だけでは既存業務の効率化にしかならず、ビジネスの変革までは期待できません。
そこで今回は、中小企業のDXをテーマに、人工知能搭載型RPAの開発・販売を行う、株式会社battonの代表取締役・川人寛徳さんにお話を伺いました。インタビュアーは、税理士であり、幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家でもある、SAKURA United Solution代表・井上一生さんです。DX成功の鍵となるのは何か、お二人の対談記事から紹介します。
目次
経営課題の中心は人の問題。真摯に取り組むうちにつながりが拡大
井上一生氏(以下、井上氏)――川人さんとは、お付き合いが長いわけではありませんが、重要な局面でお会いしている気がします。
とてもビジョナリーで応援したくなります。
きっかけは、京橋にある東京スクエアガーデンのWeWorkに私たちが入居している頃でしたね。
川人寛徳氏(以下、川人氏)―― たまたま知っていたベンチャー企業の方が、会計事務所のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入支援をされていて。
それで井上先生と引き合わせていただきました。
井上氏 ―― そうでしたね。どのような経緯で、battonを設立されたのですか?
川人氏 ―― batton は、2019年に設立した会社です。
その前は、7年ほどビジネスモデル塾をしていました。
ビジネスモデルの作り方や脳科学を伝える経営塾です。
経営には“人の問題”が必ず出てくるので、人事コンサルタントとして人材採用や育成、定着などの支援もしていたのですが、少子高齢化で人材面の支援だけでは限界を感じていました。
それで、中小企業にもRPAが必要だと確信したわけです。
前職から事業を買い取ってbattonを設立しました。
battonという社名には、「新しい働き方へバトンをつなぐ」という意味と、「オーケストラの指揮者が揮うバトン」の意味を込めています。
RPAとは何か
井上氏 ―― 川人さんは様々な事業を手掛けられていますよね。
ビジネスモデル塾や人事コンサルティング、RPA開発や導入支援だけでなく、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などの支援もされています。
最初に、RPAについて簡単に教えてください。
川人氏―― RPAは、「パソコン上で動くロボット」と捉えるとわかりやすいと思います。
「ロボット」というと「白いマシン」を想像する方もいるかもしれませんが、ここで指す「ロボット」とはシステムのこと、つまり「自動で動いてくれる仕組み」です。
異なるソフト間でデータを移行する場合、人間が行うとどうしても隙間の作業が生じます。
その作業を自動化するのがRPAです。
例えば、会計事務所では「会計ソフトからCSVでデータをダウンロードしてまとめる」といった繰り返しの作業があります。
その繰り返す作業をシステムに覚えさせ、自動化させるのがRPAです。
▶次のページでは、中小企業のRPAが上手くいかない原因を明らかにしてくださいます!