飲食店経営の奇才が語る「成功の秘訣とエンターテイメント性」(後編)
- 2021/4/2
- インタビュー
店舗ナンバーワンホールディングス株式会社代表取締役 三浦正臣さんが今、夢中になっているという「海苔弁いちのや」の開業秘話とブランド価値の高め方、安定利益を確保する秘訣を前編でお話いただきました。今回は、三浦さんが過去に手掛けてきた飲食店の成功の秘訣について迫っていきます!最近の飲食店は「おいしいのは当たり前」と語る三浦さん。おいしい飲食を提供することの次は何を考えなければならないのか、お話を伺います。
目次
秘訣は「気になる店」
人が人に食べさせたいと思える飲食
――三浦さんは、「恵比寿横丁」を手掛けたことで有名ですが、そのすぐ横にあるので横丁と一体化して見えてる「牡蠣とシャンパン 牡蠣ベロ 恵比寿店」も手掛けていらっしゃいますよね。
三浦正臣氏(以下、三浦氏)――一体化してますよね(笑)。
オイスターバーの前はラーメン屋さんだったのですが、そこを200万円で買って大工さんたちとリニューアルしました。
180万円くらいしかかかっていません。
6.8坪の立ち飲みスタイルのオイスターバーで、650万円くらい売るお店になりました。
利益率も45~50%と高いです。
このオイスターバーは、パリで見た牡蠣の屋台からインスピレーションを得ています。
パリでは、レストランに入る前に店先で売られている牡蠣を2~3個つまんで行く文化があって。
それがすごくカッコよく思えて、そういう文化を日本でも作りたかった。
恵比寿のオイスターバーでは、少し触っただけで動く牡蠣だけを提供するようにして、名称も「活き牡蠣」にしました。
一発でわかるじゃないですか。
調理しないので、剥き方だけ教えればできるのも良かったです。
他に、「女性はシャンパン半額」というのもやっていて、これもすごく集客力がありました。
結局は男性もシャンパンを頼むので実質は75%です(笑)。
「鐘を鳴らすと1杯500円のテキーラを全員に驕る」というのもやって、それもすごく盛り上がりましたね。
――そういう企画力や発想力が三浦さんの強みですね。恵比寿横丁の他にも、コリドー街のW ginza*もプロデュースされていますよね。
三浦氏――W ginzaは、もともと駐車場だったところですね。
コンテナを3つ置いて、全部真っ白に塗りました。
そうすると「なんだ?なにができるんだ?」と通る人が気にしてくれて。
松明を焚いて南国風のお店にしたんですが、松明を焚くお店は中央区でうちだけだったと思いますよ。
近隣から苦情が来てたいへんでしたけど(笑)。
そういう「気になるお店」を今後もつくっていきたいですね。
おいしいのは、もう当たり前のことじゃないですか。
コンビニの弁当とかもおいしいし、カップラーメンもおいしい。
まずいラーメン屋とか昔はいっぱいあったんですけど、今はもうないですよね。
まずいものをお店で食べたことない人が増えたと思います。
だから、おいしいのは当たり前。
それなら、「人を連れて来たい」「食べさせてあげたい」そんな動機で来店してもらえるお店をつくっていきたいですね。
「なんか気になるお店」をつくるのが面白いです。
飲食はエンターテイメント
――そういうユーモアや遊び心が、三浦さん独自のインスピレーションに結び付いているのを感じます。手掛けられている飲食店が持つエンターテイメント性の源泉にもなっているのでしょうね。
三浦氏――どうしたら気にしてもらえるお店にできるか、常日頃考えていますからね。
バンコクでの影響が大きいと思っています。
バンコクというと屋台のイメージが強いかもしれませんが、少し離れるとオーストラリア人などの外国人オーナーのお店がたくさんあるんですよ。
全部エメラルドグリーンの外装とか、内装もこだわっていて。
トマホークステーキを頼んだら、すごくワイルドで「ドンッ」と出てきて衝撃を受けました。
それから、気になるお店・楽しいお店をつくることで、飲食店で働いている人たちの意識や働き方も変えていきたいという想いがあります。
パリでは、働いている人がすごくかっこいいんですよ。
日本では、「居酒屋の厨房」という仕事が正直下に見られているというか。
でも、パリではそうじゃない。
ハイタッチとかしてるし、すごく楽しそう。
だから、お店の雰囲気も良いんですよ。
みんなが誇りを持ってイキイキと働ける。
そんな環境もつくっていきたいですね。
▶飲食はエンターテイメントであり働く側も楽しむことが大切とおっしゃる三浦さん。次のページでは、飲食店経営の成功の秘訣をお話くださいます。